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オトメアオイ

花期が特徴
 カンアオイ属 Asarum の中では異質な存在で6月から8月に開花期を迎え,新しい葉は翌春に出るという。和名は発見地の箱根乙女峠に因む。
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ベニシュスラン [ランの仲間]

美しい繻子
 繻子とは織物の1種で,経(たて)糸・緯(よこ)糸どちらか一方のみが表れているかのような織り方で,和名はこの淡紅色の繻子模様に因る。色抜けの白花タイプ(写真D)では繻子は緑色を呈し,葉も通常のものより薄い。シュスラン属 Goodyera の中では花が大きく見応えがある。
 ※ 写真は上から順にA~F
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タシロラン [ランの仲間]

爆発的出現
 埼玉県ではじめて発見されたのが2001年,それから20年あまりですっかり定着したようだ。前回2020-07-27は暖温帯常緑広葉樹林で観察したが,この爆発的出現地は中間温帯林に近い。写真Aの大径木はコナラ,近くの尾根にはモミも自生する。写真Aは群落の一部で,登山道沿いに約30mにわたり広がっていた。個体数は4桁のレベルと推測した。県報告の「県南部の台地林内に分布」とは全く異にする地域である。年に数回登るこの出現地は標高約300mの頂上部で,この一帯でのタシロランは初見だ。コナラの大径木に進行するナラ枯れが気になった。
 ※ 写真は上から順にA~E
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コスギラン [シダの仲間]

最大の収穫
 今回訪れた蛇紋岩の山の目的はオゼソウ。目的を達成して植物相に変化がなくなったので山頂を目前に下山を決めた。登山者で賑わう山頂は目的外,このシダはその時に見つけた。トウゲシバの仲間であることは分かったが見たことのないシダである。黄緑色の葉と胞子嚢,一部には無性芽らしき痕跡もある。自信はないがこれ以外に該当するものはない。
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タカネバラ

最も標高の高いところに生育
 咲きはじめの美しい花になかなか出会えないバラだ。花期は短く,咲いても痛んだものが多い。森林限界を越えた数箇所で見られたが,ほとんどが痛んでいた。 
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ミネウスユキソウ [キクの仲間]

ウスユキソウの高山型
 母種 Ljaponicum に比べて花柄がほとんどない。この蛇紋岩地での個体数はホソバヒナウスユキソウに比べて非常に少ない。
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アズマギク [キクの仲間]

3種めのアズマギク
 ジョウシュウアズマギクに続いてミヤマアズマギクを取り上げたので,8年前に写したアズマギクも合わせて比較した。花にピントを合わせ,深度の浅い写真なので花茎や葉に生える毛は不鮮明であるが,元画像を拡大するとミヤマアズマギクに似ている。海抜10m足らずの海沿いの草原で写した。この個体は葉がやや厚く光沢もある。
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ミヤマアズマギク [キクの仲間]

ミヤマアズマギクとジョウシュウアズマギク
 ミヤマアズマギクを数箇所で撮影してきたが未掲載である。写真の善し悪しは別として,ジョウシュウアズマギクとの違いを比較するために,過去に写したものを取り上げた。
 撮影地は八方尾根上部(A),白馬岳(B),早池峰山(C)の3地点,いずれも花茎,花茎の葉,さらには総苞までが長軟毛に被われている。3つの写真から長軟毛の多さは早池峰山>白馬岳>八方尾根 という順,早池峰山のものは産毛で被われているような感じだ。
 これらから
ジョウシュウアズマギクの葉には毛が少ないことがわかる。
 ※ 写真は上から順にA~C
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ジョウシュウアズマギク [キクの仲間]

上越国境の固有種
 母種ミヤマアズマギク subsp. glabratus は,各地の高山帯で分化が見られて幾つかの変種に分けられる。前回のダイモンジソウとは異なり,この仲間は細かく区別されている。
 本変種は谷川岳,笠ヶ岳,至仏山の蛇紋岩地に分布,母種と比較すると花茎の葉にはほとんど毛は見られなかった。花茎や葉に残るわずかな毛は長短様々で,種々の毛の」という変種名glabratus に相応しい
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ウラベニダイモンジソウ

多様な変異
 学名を読み解くと変種名 alpina は高山性,品種名 rubrifolia は赤い葉,でミヤマダイモンジソウの1品種ということになる。図鑑には「地理的だけでなく,垂直的にも海岸から高山のいたる広い範囲に分布」とあり,ミヤマダイモンジソウやウラベニダイモンジソウについての解説はない。一般にダイモンジソウの葉は有毛でミヤマダイモンジソウの葉は無毛であるが,図鑑では区別しないのだろう。
 撮影地には普通の葉の個体も生えているのでウラベニは蛇紋岩地特有のものとは思えない。秩父地方の石灰岩地でもウラベニダイモンジソウが自生している。
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コケモモ [ツツジの仲間]

果実は食用
 酸味が強いので砂糖を加えてジャムなどに加工される。赤く熟した実を食べたことがあるが確かに酸っぱい。汗をたっぷりかいた登山にはこの味で元気が出てくる。
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ムラサキタカネアオヤギソウ

基準標本の産地
 図鑑には「アオヤギソウ,シュロソウの類は,環境により,形態,花の色などに変化が多く,種,変種の区分が難しく,学名の扱い方もなかなか面倒である。」と記載されている。
 花はアオヤギソウが黄緑色,シュロソウが暗紫褐色と程度の知識しか持ち合わせていないが,本品種の基準標本の産地であることを踏まえて同定した。湿原では花が黄緑色のタカネアオヤギソウが見られる。
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オガラバナ

和名の由来は幹の柔らかさ
 この日,亜高山帯の針葉樹に交じって最も目についた広葉樹である。葉はアサノハカエデ,花はテツカエデに似ているが,立ち上がる穂咲きの花で区別できる。雄花だけの花序と雄花と両性花の混ざる花序があると記憶していたが,写したものは全て雄花であった。 
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ベニサラサドウダン [ツツジの仲間]

深紅の更紗
 針葉樹が密生する亜高山帯では少なく,森林限界に近い疎林で多く見られた。ハイマツ帯にも生育していたが,強い日射で発色が悪い(写真C)。今年の花づきは格別に良い。
 ※ 写真は上から順にA~C
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クモイイカリソウ

母種と比較
 拙ブログ2018-06-10 キバナイカリソウで本変種についても触れた。「これはキバナイカリソウに近いものか,イカリソウに近いものか,なお研究を要する」とある日本の野生植物(1982. 平凡社)が約30年ぶりに改訂されたので,期待して改訂新版(2015. 平凡社)を読んだが同じ記述のままであった。キバナイカリソウをイカリソウの1品種として,さらにキバナイカリソウとクモイイカリソウを区別しないという考え方もある。
 観察して母種と比べると,草丈はより低く15㎝程度,小葉の先は尾状にならない。小葉の縁の刺状毛はほとんどないか疎ら。1個体が着ける花はかなり少ない。
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クチバシシオガマ

嘴のような上唇
 シオガマギク属Pedicularis 数種を取り上げてきた。6年前に戸隠山系で写したものが気がかりで研究成果を検索していると「ヨツバシオガマの分類学的研究」が見つかり,次のように記述されている。
 ヨツバシオガマの分類学的な研究も進めています。分子データと形態的な解析から,ヨツバシオガマの北方系統と本州中部系統は種レベルまで分化していることが明らかとなりました。これまでの分類学的な取り扱いの経緯から,これまでは両系統は合わせて一つの種(Pedicularis chamissonis)とされていたのですが,これからは北方系統をP. chamissonis 本州中部系統をP. japonica として扱うのが妥当であると提案しています(Fujii et al 2013) 。(熊本大学院植物多様性学 藤井研究室HP)
 クチバシシオガマの学名は現在YListでは異分類というステイタスとなっている。学名や和名などが見直されるかもしれない
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ヨツバシオガマ

再びヨツバシオガマ 
 2019-08-02で取り上げたヨツバシオガマは,2020-08-03で述べたようにキタヨツバシオガマの可能性が高い。本来のヨツバシオガマに近い個体を観察したので改めて掲載した。
 高山帯の砂礫地に生えるタカネシオガマミヤマシオガマに比べてやや地味で,亜高山~高山帯の湿り気のある草地を好むようだ。この仲間はイネ科やカヤツリグサ科の根に寄生することから半寄生植物といわれる。
 エゾヨツバシオガマP. chamissonis var. chamissonis の変種と考えられていたが,本州中部のものは固有に分化したものとして独立種P. japonica と扱われるようになった。
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タカネシオガマ

蛇紋岩地を彩る紅紫色
 遠目にはミヤマシオガマに似ているが,葉の切れ込みは少なく,花の上唇は尖らない。多年草のミヤマシオガマヨツバシオガマとは異なる1年草,来年も同じ花風景が再現するとは限らない。
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ホソバヒナウスユキソウ [キクの仲間]

上越国境に咲くエーデルワイス
 ミヤマウスユキソウの変種で花期は早く,7月上旬の高山帯でも見頃を過ぎることがある。雪が少なく季節の進みが早い今年は尚更で,クローズアップにすると痛んだ花が目立つ。蛇紋岩の割れ目に生える個体は比較的花期が遅い。変種名angustifolium は「狭い葉」である。
 ※ 写真は上から順にA~D
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ジョウエツキバナノコマノツメ [スミレの仲間]

キバナノコマノツメの1品種
 登山道に蛇紋岩の露頭が目立ってくると黄花のスミレが現れてくる。岩の割れ目や岩盤に生じた僅かな土壌に生育していた。葉が柔らかく葉表や縁に毛がある母種キバナノコマノツメに比べ,葉は厚く毛はほとんどない。品種名glabri は「無毛の」である。
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オゼソウ

地味な花を味わう
 花には派手さはなく,多くの人はハクサンイチゲシナノキンバイユキワリソウ,ハクサンコザクラを写していた。踏みつけに弱く一時は個体数減が危惧された。木道やロープ設置により回復傾向(写真AD)と感じた。
 撮影地は雪田周辺で例年雪が残る場所であるが,今年はやや湿っている程度であった。北海道では針葉樹帯の湿った崩壊砂礫地に生えるという。蛇紋岩適応種というよりも蛇紋岩における残存種と思われる。クロンキスト及びエングラー分類体系ではユリ科植物,APG分類体系ではサクライソウと同科に分類されている。
 ※ 写真は上から順にA~D
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オニルリソウ

茎は開出毛
 同じような環境でオオルリソウを見たことがあるので今回も同種と思った。花茎(写真D)の毛はやや斜上傾向であるが,茎の開出毛(写真C)からオニルリソウとした。一部は分果となり,「くっつき虫」となっていた。
 ※ 写真は上から順にA~D
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トキソウ [ランの仲間]

美しき朱鷺色
 関東地方では低地帯から山地帯までの日当たりの良い湿地に分布,低地帯ではゴールデンウイークから咲きはじめ徐々に高度を上げる。湿地の環境遷移や開発,盗掘などで絶滅した自生地も多い。埼玉県では自生地のほとんどが開発された。この自生地ではまさに当たり年,数100個体がちょうど見頃を迎えていた。
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キバナコウリンカ [キクの仲間]

石灰岩地の希少種
 この植物が生育する地は筆者が最も通った山域である。拙ブログでも昔の写真シリーズ1~6(希少になった桃源郷の花々桃源郷の早春桃源郷の春桃源郷・新緑の候桃源郷の初夏桃源郷の秋)で紹介した。希少な本種が後になったのは,再撮影を考えていたからである。掲載した7年前の写真は不十分で撮り直すつもりでいた。しかし,その気持ちはすっかり失せてしまった。
 高校生の頃,方解石の観察で訪れたのが最初で1960年代後半だった。その後,植物を目的にで毎週のように登った40年前とは全く別な山に変わり果てていた。自生地は唯一採掘を免れた山であるが,食害だけでなく林道開通,クライミング人気などで登山道は踏み固められていた。明らかに過剰利用(オーバーユース)が原因である。筆者らが設置した道標の一部が括り付けられて残っていたが,その当時の豊かな自然が懐かしい。

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アヤメ

アヤメが生える草原で憂う
 山地の草原などで見られるが,今ではそのような環境は食害によって壊滅状態にある。大群落ではないが久し振りに防護柵のない草原(写真上・中)で撮影した。写真下は,ここから700mほど標高を上げたところでちょうど10年前に写したものである。写真下の自生地はほぼ消滅した。近年,数頭のニホンカモシカが棲み着き,花の少ない草地に変わった。定住性があり,しかも特別天然記念物に指定されている動物のため,現状では手の施しようがない。これが国立公園の現状である。
 ※ 写真は上から順に上,中,下
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