ベニシュスラン [ランの仲間]
タシロラン [ランの仲間]
爆発的出現
埼玉県ではじめて発見されたのが2001年,それから20年あまりですっかり定着したようだ。前回2020-07-27は暖温帯常緑広葉樹林で観察したが,この爆発的出現地は中間温帯林に近い。写真Aの大径木はコナラ,近くの尾根にはモミも自生する。写真Aは群落の一部で,登山道沿いに約30mにわたり広がっていた。個体数は4桁のレベルと推測した。県報告の「県南部の台地林内に分布」とは全く異にする地域である。年に数回登るこの出現地は標高約300mの頂上部で,この一帯でのタシロランは初見だ。コナラの大径木に進行するナラ枯れが気になった。
※ 写真は上から順にA~E
埼玉県ではじめて発見されたのが2001年,それから20年あまりですっかり定着したようだ。前回2020-07-27は暖温帯常緑広葉樹林で観察したが,この爆発的出現地は中間温帯林に近い。写真Aの大径木はコナラ,近くの尾根にはモミも自生する。写真Aは群落の一部で,登山道沿いに約30mにわたり広がっていた。個体数は4桁のレベルと推測した。県報告の「県南部の台地林内に分布」とは全く異にする地域である。年に数回登るこの出現地は標高約300mの頂上部で,この一帯でのタシロランは初見だ。コナラの大径木に進行するナラ枯れが気になった。
※ 写真は上から順にA~E
コスギラン [シダの仲間]
アズマギク [キクの仲間]
3種めのアズマギク
ジョウシュウアズマギクに続いてミヤマアズマギクを取り上げたので,8年前に写したアズマギクも合わせて比較した。花にピントを合わせ,深度の浅い写真なので花茎や葉に生える毛は不鮮明であるが,元画像を拡大するとミヤマアズマギクに似ている。海抜10m足らずの海沿いの草原で写した。この個体は葉がやや厚く光沢もある。
ジョウシュウアズマギクに続いてミヤマアズマギクを取り上げたので,8年前に写したアズマギクも合わせて比較した。花にピントを合わせ,深度の浅い写真なので花茎や葉に生える毛は不鮮明であるが,元画像を拡大するとミヤマアズマギクに似ている。海抜10m足らずの海沿いの草原で写した。この個体は葉がやや厚く光沢もある。
ミヤマアズマギク [キクの仲間]
ミヤマアズマギクとジョウシュウアズマギク
ミヤマアズマギクを数箇所で撮影してきたが未掲載である。写真の善し悪しは別として,ジョウシュウアズマギクとの違いを比較するために,過去に写したものを取り上げた。
撮影地は八方尾根上部(A),白馬岳(B),早池峰山(C)の3地点,いずれも花茎,花茎の葉,さらには総苞までが長軟毛に被われている。3つの写真から長軟毛の多さは早池峰山>白馬岳>八方尾根 という順,早池峰山のものは産毛で被われているような感じだ。
これらからジョウシュウアズマギクの葉には毛が少ないことがわかる。
※ 写真は上から順にA~C
ミヤマアズマギクを数箇所で撮影してきたが未掲載である。写真の善し悪しは別として,ジョウシュウアズマギクとの違いを比較するために,過去に写したものを取り上げた。
撮影地は八方尾根上部(A),白馬岳(B),早池峰山(C)の3地点,いずれも花茎,花茎の葉,さらには総苞までが長軟毛に被われている。3つの写真から長軟毛の多さは早池峰山>白馬岳>八方尾根 という順,早池峰山のものは産毛で被われているような感じだ。
これらからジョウシュウアズマギクの葉には毛が少ないことがわかる。
※ 写真は上から順にA~C
ジョウシュウアズマギク [キクの仲間]
ウラベニダイモンジソウ
ムラサキタカネアオヤギソウ
オガラバナ
クモイイカリソウ
母種と比較
拙ブログ2018-06-10 キバナイカリソウで本変種についても触れた。「これはキバナイカリソウに近いものか,イカリソウに近いものか,なお研究を要する」とある日本の野生植物(1982. 平凡社)が約30年ぶりに改訂されたので,期待して改訂新版(2015. 平凡社)を読んだが同じ記述のままであった。キバナイカリソウをイカリソウの1品種として,さらにキバナイカリソウとクモイイカリソウを区別しないという考え方もある。
観察して母種と比べると,草丈はより低く15㎝程度,小葉の先は尾状にならない。小葉の縁の刺状毛はほとんどないか疎ら。1個体が着ける花はかなり少ない。
拙ブログ2018-06-10 キバナイカリソウで本変種についても触れた。「これはキバナイカリソウに近いものか,イカリソウに近いものか,なお研究を要する」とある日本の野生植物(1982. 平凡社)が約30年ぶりに改訂されたので,期待して改訂新版(2015. 平凡社)を読んだが同じ記述のままであった。キバナイカリソウをイカリソウの1品種として,さらにキバナイカリソウとクモイイカリソウを区別しないという考え方もある。
観察して母種と比べると,草丈はより低く15㎝程度,小葉の先は尾状にならない。小葉の縁の刺状毛はほとんどないか疎ら。1個体が着ける花はかなり少ない。
クチバシシオガマ
嘴のような上唇
シオガマギク属Pedicularis 数種を取り上げてきた。6年前に戸隠山系で写したものが気がかりで研究成果を検索していると「ヨツバシオガマの分類学的研究」が見つかり,次のように記述されている。
ヨツバシオガマの分類学的な研究も進めています。分子データと形態的な解析から,ヨツバシオガマの北方系統と本州中部系統は種レベルまで分化していることが明らかとなりました。これまでの分類学的な取り扱いの経緯から,これまでは両系統は合わせて一つの種(Pedicularis chamissonis)とされていたのですが,これからは北方系統をP. chamissonis 本州中部系統をP. japonica として扱うのが妥当であると提案しています(Fujii et al 2013) 。(熊本大学院植物多様性学 藤井研究室HP)
クチバシシオガマの学名は現在YListでは異分類というステイタスとなっている。学名や和名などが見直されるかもしれない。
シオガマギク属Pedicularis 数種を取り上げてきた。6年前に戸隠山系で写したものが気がかりで研究成果を検索していると「ヨツバシオガマの分類学的研究」が見つかり,次のように記述されている。
ヨツバシオガマの分類学的な研究も進めています。分子データと形態的な解析から,ヨツバシオガマの北方系統と本州中部系統は種レベルまで分化していることが明らかとなりました。これまでの分類学的な取り扱いの経緯から,これまでは両系統は合わせて一つの種(Pedicularis chamissonis)とされていたのですが,これからは北方系統をP. chamissonis 本州中部系統をP. japonica として扱うのが妥当であると提案しています(Fujii et al 2013) 。(熊本大学院植物多様性学 藤井研究室HP)
クチバシシオガマの学名は現在YListでは異分類というステイタスとなっている。学名や和名などが見直されるかもしれない。
ヨツバシオガマ
再びヨツバシオガマ
2019-08-02で取り上げたヨツバシオガマは,2020-08-03で述べたようにキタヨツバシオガマの可能性が高い。本来のヨツバシオガマに近い個体を観察したので改めて掲載した。
高山帯の砂礫地に生えるタカネシオガマやミヤマシオガマに比べてやや地味で,亜高山~高山帯の湿り気のある草地を好むようだ。この仲間はイネ科やカヤツリグサ科の根に寄生することから半寄生植物といわれる。
エゾヨツバシオガマP. chamissonis var. chamissonis の変種と考えられていたが,本州中部のものは固有に分化したものとして独立種P. japonica と扱われるようになった。
2019-08-02で取り上げたヨツバシオガマは,2020-08-03で述べたようにキタヨツバシオガマの可能性が高い。本来のヨツバシオガマに近い個体を観察したので改めて掲載した。
高山帯の砂礫地に生えるタカネシオガマやミヤマシオガマに比べてやや地味で,亜高山~高山帯の湿り気のある草地を好むようだ。この仲間はイネ科やカヤツリグサ科の根に寄生することから半寄生植物といわれる。
エゾヨツバシオガマP. chamissonis var. chamissonis の変種と考えられていたが,本州中部のものは固有に分化したものとして独立種P. japonica と扱われるようになった。
ホソバヒナウスユキソウ [キクの仲間]
上越国境に咲くエーデルワイス
ミヤマウスユキソウの変種で花期は早く,7月上旬の高山帯でも見頃を過ぎることがある。雪が少なく季節の進みが早い今年は尚更で,クローズアップにすると痛んだ花が目立つ。蛇紋岩の割れ目に生える個体は比較的花期が遅い。変種名angustifolium は「狭い葉」である。
※ 写真は上から順にA~D
ミヤマウスユキソウの変種で花期は早く,7月上旬の高山帯でも見頃を過ぎることがある。雪が少なく季節の進みが早い今年は尚更で,クローズアップにすると痛んだ花が目立つ。蛇紋岩の割れ目に生える個体は比較的花期が遅い。変種名angustifolium は「狭い葉」である。
※ 写真は上から順にA~D
ジョウエツキバナノコマノツメ [スミレの仲間]
オゼソウ
オニルリソウ
茎は開出毛
同じような環境でオオルリソウを見たことがあるので今回も同種と思った。花茎(写真D)の毛はやや斜上傾向であるが,茎の開出毛(写真C)からオニルリソウとした。一部は分果となり,「くっつき虫」となっていた。
※ 写真は上から順にA~D
同じような環境でオオルリソウを見たことがあるので今回も同種と思った。花茎(写真D)の毛はやや斜上傾向であるが,茎の開出毛(写真C)からオニルリソウとした。一部は分果となり,「くっつき虫」となっていた。
※ 写真は上から順にA~D
トキソウ [ランの仲間]
キバナコウリンカ [キクの仲間]
石灰岩地の希少種
この植物が生育する地は筆者が最も通った山域である。拙ブログでも昔の写真シリーズ1~6(希少になった桃源郷の花々,桃源郷の早春,桃源郷の春,桃源郷・新緑の候,桃源郷の初夏,桃源郷の秋)で紹介した。希少な本種が後になったのは,再撮影を考えていたからである。掲載した7年前の写真は不十分で撮り直すつもりでいた。しかし,その気持ちはすっかり失せてしまった。
高校生の頃,方解石の観察で訪れたのが最初で1960年代後半だった。その後,植物を目的にで毎週のように登った40年前とは全く別な山に変わり果てていた。自生地は唯一採掘を免れた山であるが,食害だけでなく林道開通,クライミング人気などで登山道は踏み固められていた。明らかに過剰利用(オーバーユース)が原因である。筆者らが設置した道標の一部が括り付けられて残っていたが,その当時の豊かな自然が懐かしい。
この植物が生育する地は筆者が最も通った山域である。拙ブログでも昔の写真シリーズ1~6(希少になった桃源郷の花々,桃源郷の早春,桃源郷の春,桃源郷・新緑の候,桃源郷の初夏,桃源郷の秋)で紹介した。希少な本種が後になったのは,再撮影を考えていたからである。掲載した7年前の写真は不十分で撮り直すつもりでいた。しかし,その気持ちはすっかり失せてしまった。
高校生の頃,方解石の観察で訪れたのが最初で1960年代後半だった。その後,植物を目的にで毎週のように登った40年前とは全く別な山に変わり果てていた。自生地は唯一採掘を免れた山であるが,食害だけでなく林道開通,クライミング人気などで登山道は踏み固められていた。明らかに過剰利用(オーバーユース)が原因である。筆者らが設置した道標の一部が括り付けられて残っていたが,その当時の豊かな自然が懐かしい。