ヒメマツカサススキ
オシャグジデンダ [シダの仲間]
予期せぬ群生
多くのフレッシュな個体が岩壁に着生していた。前回の2022-04-18で本種を掲載した際に「深山に産す」としたが,今回はこの表記を変えなければならないような環境に生育していた。道脇から5分ほど歩いたところで素晴らしい群落が見られるとは思いもよらなかった。
多くのフレッシュな個体が岩壁に着生していた。前回の2022-04-18で本種を掲載した際に「深山に産す」としたが,今回はこの表記を変えなければならないような環境に生育していた。道脇から5分ほど歩いたところで素晴らしい群落が見られるとは思いもよらなかった。
ツクバトリカブト
猛毒の植物に触れる
トリカブトの仲間を注意深く見ていくと少しずつ面白さが出てくる。ノギクなど観察しながら山麓の砂利道を進むと,終盤を迎えたトリカブトを所々で目にした。花柄,葉や葉柄の毛の状態を確認し,ヤマトリカブトよりも分布が広いとされるツクバトリカブトとした。
キンポウゲ科の多くは萼が花の大部分を占めて意識しないと花弁に気づかない。トリカブトでは上萼片内部に1対の花弁が隠れている。残り花の上萼片を開く(写真C)と面白い形の花弁が現れた。この部分も分類上重要であることを改めて知ることができた。
※ 写真は上から順にA~D
トリカブトの仲間を注意深く見ていくと少しずつ面白さが出てくる。ノギクなど観察しながら山麓の砂利道を進むと,終盤を迎えたトリカブトを所々で目にした。花柄,葉や葉柄の毛の状態を確認し,ヤマトリカブトよりも分布が広いとされるツクバトリカブトとした。
キンポウゲ科の多くは萼が花の大部分を占めて意識しないと花弁に気づかない。トリカブトでは上萼片内部に1対の花弁が隠れている。残り花の上萼片を開く(写真C)と面白い形の花弁が現れた。この部分も分類上重要であることを改めて知ることができた。
※ 写真は上から順にA~D
シロバナアブラギク [キクの仲間]
初冠雪
昨日(10月25日)は曇天にも関わらず奥秩父の山並みを見渡せた。山では前日の冷たい雨が雪となり,薄っすら雪化粧した。この時期の奥秩父山系での冠雪は記憶に残るが,標高1500m位の山では記憶にない。10日前は夏日となったが,紅葉を通り越して一挙に冬到来を思わせる。今日の掲載種はあまり見栄えのしない写真であるが,なかなか見られない花なので取り上げた。
キクタニギク C. seticuspe f. boreale と リュウノウギク C. makinoi の自然交雑種で,花の径は母種に比べてひとまわり小さい。過去にもナカガワノギク × シマカンギク(=ワジキギク),シオギク × ノジギクなどの自然交雑種を取り上げたが,母種の形態が様々な形で見られる。また,花が小形化するなど母種に比べて見劣りする傾向がある。
昨日(10月25日)は曇天にも関わらず奥秩父の山並みを見渡せた。山では前日の冷たい雨が雪となり,薄っすら雪化粧した。この時期の奥秩父山系での冠雪は記憶に残るが,標高1500m位の山では記憶にない。10日前は夏日となったが,紅葉を通り越して一挙に冬到来を思わせる。今日の掲載種はあまり見栄えのしない写真であるが,なかなか見られない花なので取り上げた。
キクタニギク C. seticuspe f. boreale と リュウノウギク C. makinoi の自然交雑種で,花の径は母種に比べてひとまわり小さい。過去にもナカガワノギク × シマカンギク(=ワジキギク),シオギク × ノジギクなどの自然交雑種を取り上げたが,母種の形態が様々な形で見られる。また,花が小形化するなど母種に比べて見劣りする傾向がある。
ベンケイソウ
ムラサキベンケイソウ属(その3)
チチブベンケイ,チチッパベンケイで大満足のこの日,さらに幸運が続いた。ゆとり時間があったので,9月に見頃を迎えるベンケイソウの自生地に立ち寄った。予想通りほとんどが花を終えていたが,少し奥まったところに花を着けた個体が見つかりビックリ。葉柄がないのでムラサキベンケイソウと思って小躍りしたが,よく見ると葉柄がある(写真中)。図鑑には「野生のものはしばしば誤ってムラサキベンケイソウと同定」という記載がある。
それにしてもムラサキベンケイソウ属3種を一挙に見ることができ,あまりの幸運続きで少々恐ろしさを感じた。喜び勇んで調子に乗りすぎると足をすくわれる。帰宅するまで慎重を期した。
※ 写真は上から順に上,中,下
チチブベンケイ,チチッパベンケイで大満足のこの日,さらに幸運が続いた。ゆとり時間があったので,9月に見頃を迎えるベンケイソウの自生地に立ち寄った。予想通りほとんどが花を終えていたが,少し奥まったところに花を着けた個体が見つかりビックリ。葉柄がないのでムラサキベンケイソウと思って小躍りしたが,よく見ると葉柄がある(写真中)。図鑑には「野生のものはしばしば誤ってムラサキベンケイソウと同定」という記載がある。
それにしてもムラサキベンケイソウ属3種を一挙に見ることができ,あまりの幸運続きで少々恐ろしさを感じた。喜び勇んで調子に乗りすぎると足をすくわれる。帰宅するまで慎重を期した。
※ 写真は上から順に上,中,下
チチッパベンケイ
チチブベンケイ
「秩父」を冠した和名にこだわる ムラサキベンケイソウ属(その1)
本種は図鑑には掲載されていないが,長野県植物誌(1997)や秩父多摩甲斐国立公園指定植物種の改訂(2021)では,学名Sedum shimizuanum として掲載されている。
チチブリンドウを発見した清水大典氏が(秩父市出身,菌類研究者,冬虫夏草研究の第一人者)が奥秩父山系で採集(1950)し,後に東京大学教授・本田正次博士によって新種として発表(1952),論文では次のように記載(一部抜粋)されている。
本種は図鑑には掲載されていないが,長野県植物誌(1997)や秩父多摩甲斐国立公園指定植物種の改訂(2021)では,学名Sedum shimizuanum として掲載されている。
チチブリンドウを発見した清水大典氏が(秩父市出身,菌類研究者,冬虫夏草研究の第一人者)が奥秩父山系で採集(1950)し,後に東京大学教授・本田正次博士によって新種として発表(1952),論文では次のように記載(一部抜粋)されている。
清水大典氏が昭和25年8月,奥秩父で採集されたベンケイソウの一種は,ミツバベンケイソウに比べて,株立ちとなり,花が正開せず,秋になると上部の葉腋に無数の肉芽を生する特性があるので,これも新種として発表する。(以下 略)
拙ブログでは「BG Plants 和名ー学名インデックス」(YList)を参考にしているがここにも掲載されていない。同じような形質があることからショウドシマベンケイ Hylotelephium venticillatum (L.) H.Ohba var. lithophilos H.Ohba とする考え方がある。「ベンケイソウ属の2新分類群」(大場秀章.1991)がその根拠と思われる。この論文には次のような記述(一部抜粋)がある。
本田正次教授が記載したチチブベンケイ Sedum shimizuanum は,小豆島の型に近似するが,ミツバベンケイソウの別の型であると考えられる。 (略) 学名には好岩性を意味する名前を与えたが,和名にはショウドシマベンケイソウを提案したい。 (以下 略)
ネナシカズラ [寄生植物]
帰化ではなく在来種
日本に分布するネナシカズラ属 Cuscuta は帰化を含めて9種,といわれている。その多くは花柱が2個あるが,本種の花柱は1個(写真B)である。
要注意外来生物指定のアメリカネナシカズラと在来種のマメダオシや本種との違いは見分け難いが,在来種2種は垂直方向に絡まる傾向がある。一方,アメリカネナシカズラは覆いつくすように水平方向に広がる傾向がある,と感じた。
本種が寄生できる植物(宿主)はどんなものがあるのか興味深い。いくつかの研究を見ると,多くの植物に寄生して宿主特殊性は低いようだ。遺伝子解析が進み,宿主への侵入システムが次第に明らかになっている。
※ 写真は上から順にA~D
日本に分布するネナシカズラ属 Cuscuta は帰化を含めて9種,といわれている。その多くは花柱が2個あるが,本種の花柱は1個(写真B)である。
要注意外来生物指定のアメリカネナシカズラと在来種のマメダオシや本種との違いは見分け難いが,在来種2種は垂直方向に絡まる傾向がある。一方,アメリカネナシカズラは覆いつくすように水平方向に広がる傾向がある,と感じた。
本種が寄生できる植物(宿主)はどんなものがあるのか興味深い。いくつかの研究を見ると,多くの植物に寄生して宿主特殊性は低いようだ。遺伝子解析が進み,宿主への侵入システムが次第に明らかになっている。
※ 写真は上から順にA~D
ヤマトリカブト
ヒメミズワラビ [シダの仲間]
フタバムグラ
コキクモ
水辺の珍種
茎や萼に軟毛が密生するキクモにとても良く似ている。よく見ると本種には腺点はあるが茎や萼に毛は生えていない。花柄があることが特徴といわれる。花期の花柄は目立たないが,花が終わり果実になると柄は伸長して明瞭となる。水が抜かれ,稲刈りが終えた田んぼ脇に生えていた。
茎や萼に軟毛が密生するキクモにとても良く似ている。よく見ると本種には腺点はあるが茎や萼に毛は生えていない。花柄があることが特徴といわれる。花期の花柄は目立たないが,花が終わり果実になると柄は伸長して明瞭となる。水が抜かれ,稲刈りが終えた田んぼ脇に生えていた。
アキザキヤツシロラン [ランの仲間]
初見の菌従属栄養植物(クロヤツシロランと比べる)
1998年版埼玉県植物誌には県東部での自生が報告されていたが,現在では自生していない,と聞いた。環境省RDBでは特に指定されていないが,埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)となっている。
埼玉県から次のような報告もある。
(略)主な生育地は竹林であるが,生育に適する竹林は減少傾向にあるので,今後発見される可能性は少ない。二次メッシュによる分布は総計で1区画のみの記録である。 (以下略) (埼玉県環境部自然環境課,2012.埼玉県の希少野生生物 埼玉県レッドデータブック2011 植物編,210p)
私見であるが,この自生地の生育環境に似た竹林が埼玉県内には残っており,減少傾向にあるとは思えない。可能性のある竹林の立入許可を得て,組織的及び総合的な調査が必要と考える。他の自治体に比べて本県の劣るところである。
1998年版埼玉県植物誌には県東部での自生が報告されていたが,現在では自生していない,と聞いた。環境省RDBでは特に指定されていないが,埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)となっている。
埼玉県から次のような報告もある。
(略)主な生育地は竹林であるが,生育に適する竹林は減少傾向にあるので,今後発見される可能性は少ない。二次メッシュによる分布は総計で1区画のみの記録である。 (以下略) (埼玉県環境部自然環境課,2012.埼玉県の希少野生生物 埼玉県レッドデータブック2011 植物編,210p)
私見であるが,この自生地の生育環境に似た竹林が埼玉県内には残っており,減少傾向にあるとは思えない。可能性のある竹林の立入許可を得て,組織的及び総合的な調査が必要と考える。他の自治体に比べて本県の劣るところである。