ミヤマツチトリモチ [寄生植物]
ツチトリモチ科3種め
はじめて見た時にはキノコの一種か,と思うほど異質な植物,さらに種子植物と聞いて驚いた。日本には雌株のみが確認され,単為生殖をおこなうと説明されて2度ビックリ。所持する図鑑にはかなりのスペースを割いて事細かく記述されている。
この日は3度目となる観察,改めて場所によって個体差が大きいことが分かった。撮影した個体(写真A,B)はウリハダカエデに自生していた。山中で出会った方は,オオウラジロノキにも寄生し,シカによる食害もある,と言った。食害については,裏付けとなる塊根(写真D)を6年前に写していた。図鑑には,渓流近くの斜面に発生するものが多い,とあるが,筆者がこれまで観察したのは,いずれも渓流から離れた山腹から尾根である。まだ分からないことが多いのかもしれない。
※ 写真は上から順にA~D
はじめて見た時にはキノコの一種か,と思うほど異質な植物,さらに種子植物と聞いて驚いた。日本には雌株のみが確認され,単為生殖をおこなうと説明されて2度ビックリ。所持する図鑑にはかなりのスペースを割いて事細かく記述されている。
この日は3度目となる観察,改めて場所によって個体差が大きいことが分かった。撮影した個体(写真A,B)はウリハダカエデに自生していた。山中で出会った方は,オオウラジロノキにも寄生し,シカによる食害もある,と言った。食害については,裏付けとなる塊根(写真D)を6年前に写していた。図鑑には,渓流近くの斜面に発生するものが多い,とあるが,筆者がこれまで観察したのは,いずれも渓流から離れた山腹から尾根である。まだ分からないことが多いのかもしれない。
※ 写真は上から順にA~D
ゴキヅル
オオヒキヨモギ
ありそうでないもの
環境省カテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(UV),埼玉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。日当たりの良い乾いた草地に生育するとされているが,この場所は林縁部で乾いた環境でもなかった。類似種ヒキヨモギとは,葉の切れ込みが浅いこと,花が鮮緑色でないこと,などの違いがある。
環境省カテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(UV),埼玉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。日当たりの良い乾いた草地に生育するとされているが,この場所は林縁部で乾いた環境でもなかった。類似種ヒキヨモギとは,葉の切れ込みが浅いこと,花が鮮緑色でないこと,などの違いがある。
アイナエ
クサレダマ
ミヤマママコナ
ヤクシマヒメアリドオシラン [ランの仲間]
唇弁の裂片に注目
ハクウンラン属Odontochilus は,唇弁の様子で2分するようだ。唇弁舷部の裂片が4角形になるハクウンランに対し,本種の裂片は概ね3角形になる。初産地が屋久島でヒメアリドオシ(アカネ科)の葉に似ることが和名の由来である。別属にヒメアリドオシランがあるので紛らわしい。
ハクウンラン属Odontochilus は,唇弁の様子で2分するようだ。唇弁舷部の裂片が4角形になるハクウンランに対し,本種の裂片は概ね3角形になる。初産地が屋久島でヒメアリドオシ(アカネ科)の葉に似ることが和名の由来である。別属にヒメアリドオシランがあるので紛らわしい。
サクライソウ
摩訶不思議な植物
分類学上,様々な議論を経て今日の位置づけとなった植物である。写真Aは沢沿いの落葉常緑混交林下で湿潤な環境に生育していた。一部にはミズゴケやバイカオウレンなども生えていた。写真Bは緩やかな尾根に通じる落葉広葉樹林下の山腹に群生していた。絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されているが,想像を絶する群生である。両者の環境の共通点は,北東向きで朝陽だけが当たる樹林下であることと,十分な孔隙(隙間)がある土壌であることの2点である。ふかふかな土で踏み込むのを躊躇うほどだ。菌従属栄養植物であることから土壌微生物の豊かさを思わせる。林内の菌類が放つ「香気」を強く感じ,何ともいえない心地良い匂いが立ち込めていた。前年の植物体がまだ残るような個体(写真B)は意外に多い。極細の淡黄色の茎は堅く腐植し難い感じだ。
別の目的でこの付近を訪れた時,このサクライソウ自生の存在を教えていただいた。生涯見ることはできないと思っていたが,奥深い菌従属栄養植物の世界を体感することができた。感謝しなければならない。
※ 写真は上から順にA~D
分類学上,様々な議論を経て今日の位置づけとなった植物である。写真Aは沢沿いの落葉常緑混交林下で湿潤な環境に生育していた。一部にはミズゴケやバイカオウレンなども生えていた。写真Bは緩やかな尾根に通じる落葉広葉樹林下の山腹に群生していた。絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されているが,想像を絶する群生である。両者の環境の共通点は,北東向きで朝陽だけが当たる樹林下であることと,十分な孔隙(隙間)がある土壌であることの2点である。ふかふかな土で踏み込むのを躊躇うほどだ。菌従属栄養植物であることから土壌微生物の豊かさを思わせる。林内の菌類が放つ「香気」を強く感じ,何ともいえない心地良い匂いが立ち込めていた。前年の植物体がまだ残るような個体(写真B)は意外に多い。極細の淡黄色の茎は堅く腐植し難い感じだ。
別の目的でこの付近を訪れた時,このサクライソウ自生の存在を教えていただいた。生涯見ることはできないと思っていたが,奥深い菌従属栄養植物の世界を体感することができた。感謝しなければならない。
※ 写真は上から順にA~D
コメツツジ [ツツジの仲間]
ヒメシャジン
リンネソウ
夫婦花と称される
生物の学名表記を二名法で体系づけたカール・フォン・リンネが愛好していた植物として知られている。学名にはリンネ自身の名が引用されている。
常緑小低木でありながら,細い茎は苔生した岩上や地表をはいながら伸長し,ときに群生する。強い日射を嫌い,湿潤で肥沃な土壌を好むといわれている。白馬岳のハイマツ帯一部で密生しているが,私の体力では山小屋泊を要すことから,日帰りコースでまとまって咲くところを探していた。標高差約300mを上り詰めた巨岩に囲まれた北向き斜面(写真上)で群生を見つけた。見頃は過ぎて落下した花が散見された。この群生近くの薄暗い針葉樹林下(写真下)で咲きはじめのものをようやく見つけることができた。
生物の学名表記を二名法で体系づけたカール・フォン・リンネが愛好していた植物として知られている。学名にはリンネ自身の名が引用されている。
常緑小低木でありながら,細い茎は苔生した岩上や地表をはいながら伸長し,ときに群生する。強い日射を嫌い,湿潤で肥沃な土壌を好むといわれている。白馬岳のハイマツ帯一部で密生しているが,私の体力では山小屋泊を要すことから,日帰りコースでまとまって咲くところを探していた。標高差約300mを上り詰めた巨岩に囲まれた北向き斜面(写真上)で群生を見つけた。見頃は過ぎて落下した花が散見された。この群生近くの薄暗い針葉樹林下(写真下)で咲きはじめのものをようやく見つけることができた。