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ワタラセツリフネソウ

花には4型あり
 通常のツリフネソウによく似ているが,翼弁の上裂片が楕円形,急に細くなって濃い青紫色の凸点で終わり,突起毛を欠くこと,花序軸や花柄は無毛,などの形態的な違いから2005年に新種として発表された。遺伝子レベルの研究でも違いが確認されているという。種小名ohwadae は新種発表に尽力された大和田真澄氏への献名である。
 群落内の一つ一つの花をよく観察すると,花の内部に4パターンがあるといわれている。内部が黄色のものと白色のもの,その内部に斑点があるものとないもの,それを組合わせて4型になる。今回,その4つを探したが,無斑型が見つけられなかった。探せたのは斑点のある黄色と白色の2パターン(写真C,D)のみ,改めて根気のない人間であることを自覚した。大和田氏の観察力の鋭さは,まさに敬服の至りである。
 ※写真は上からA~D
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イヌショウマ

白いブラシが目立つ季節
 山林では花が少なくなり,少しずつ落ち葉の季節が近づいている。サラシナショウマ属に分類されている植物は3種,一見どれも長いブラシのような形状の花をつけるが,根生葉の様子で区別することが多い。
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コバノカモメヅル

興味深い鴎蔓
 旧ガガイモ科は地味な花が多いが,興味深い花も多い。花冠は5裂して,喉部に副花冠が発達する。ラン科のような花粉塊をつくることで知られ,種名に「カモメヅル」がつくものが数種があり,少し分かりづらい。クロンキストやエングラー分類体系では花粉塊につく柄の有無で大きく分けるようだ。すでに掲載したクサタチバナイケマも花粉塊に柄がある仲間である。

 オオカモヅル属はかって,花粉塊の形態の誤認によりキジョラン連に含まれていたが,分子系統学的解析からトウワタ連のカモメヅル属と単系統群になることが明らかにされている。近年の研究では,オオカモメヅル属はカモメヅル属の異名として扱うことが指示されている。そのため,今回は旧版のオオカモメヅル属として扱われていた種はすべてカモメヅル属に含めた。
 検索上では,オオカモメヅルやコカモメヅルは,花冠は径6㎜以下,果実は線形披針形で幅5-6㎜,対になることが多い。
 一方,コバノカモメヅルは,花冠が径6㎜以上,果実は狭披針形~広披針形で幅6㎜以上,1つだけ発達することが多い,と示されている。
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ツユクサシュスラン [ランの仲間]

2015年宮崎県の花巡り4
 前回のタニワタリノキと同じ渓谷で撮影した。シュスランの一種であることは分かるが,普段見られない遠隔地の植物は図鑑で調べなけれは正確な同定はできないことが多い。
 宮崎市郊外にあるこの渓谷には豊かな植生が広がり,軌道跡のハイキングコース沿いに多様な植物を観察することができた。 
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タニワタリノキ

2015年宮崎県の花巡り3
 房総半島以南に分布するカギカズラの花に似ているが,本種は九州南部でなければ見られない。おもしろい形をした花で関東地方北部では類似したものはない。
 アカネ科は約500属約6000種からなる大きな科で,熱帯に種数が多い。特に木本の大半は熱帯~暖帯に分布するという。
 
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チャボホトトギス

2015年宮崎県の花巡り2(同定に迷うホトトギス)
 キバナノツキヌキホトトギスを堪能後,下山した登山口で見つけた。その時からずっとキバナノホトトギスと考えていたが,迷ったあげくチャボホトトギスとした。宮崎県のみに産するキバナノホトトギスは花期が9ー11月とやや遅く,茎の高さは20ー50㎝,類似種よりも花柄が長いことなどが特徴で,この個体はその特徴に合致しない。九州南部・大隅半島周辺にはタカクマホトトギス(高隈杜鵑草)という変種も分布している。南九州の「黄色の杜鵑草」は魅力的であり,紛らわしい。
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キバナノツキヌキホトトギス

2015年宮崎県の花巡り(世界でここだけに咲く花
 
直近に撮影した花を掲載したいところであるが,例によって,ブログ開始以前に写したものを取り上げたい。

 ちょうど4年前,友人から宮崎県の限られた渓谷にある「黄色のホトトギス」探訪の誘いをいただいた。この地方に「襲速紀(そはやき)要素の植物」が分布していることは承知していたが,関東からはあまりにも遠く,何かのきっかけがなければ訪れることは難しい。ありがたいことに,友人がシルバーウィーク直前の格安プランを探してきてくれた。例年の花期には少し早いと心配したが,この年は咲き始めが早くドンピシャリ,満足のいく花巡りができた。それにしても噂に聞いていたが,この谷のヤマビルには閉口した。ヒル対策用のスプレーを持参し,終始足元を気にする山行となった。
(参考)熊(くま:南九州  瀬戸(はやすいのせと):豊予海峡周辺  :紀伊半島 
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シシラン [シダの仲間]

オオフジシダの自生地で
 シシランやアマモシシランは,クロンキストやエングラー分類体系ではシシラン科として独立しているが,APG分類体系ではイノモトソウ科に移行され,シシラン属の属名もVittaria からHaplopteris と大きく変化した。分布の中心は熱帯であるが,本種は関東地方以西の暖地に分布している。
 オオフジシダ自生地の近くには水が滴る苔生した岩壁があり,オオフジシダと同属のフジシダやシシランが着生している。フジシダの株数が減り,思うように撮れない代わりとして写した。フジシダについては改めて紹介させていただく。
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オオフジシダ [シダの仲間]

鮮緑色の美しいシダ
 秩父市街地から10㎞足らずのところにゴルジュ帯の渓谷がある。県内でも屈指のカツラの巨木があり,堰堤などもほとんどない。渓流釣りの経験があるのでこの渓谷はある程度把握していた。歩き始めてまもなく杣道に入ると,そこには美しいシダが群生している。
 シダ植物にはどれも同じように見えるものが多いが,このシダは比較的分かりやすい。

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ハッカ

在来種の貴重な自生地
 現在では化学合成されるメントール(メンソール Menthol)はハッカから採取されていた。在来種はニホンハッカまたはワシュハッカと呼ばれているが,ヨーロッパ原産(ヨウシュハッカ)やアメリカ大陸原産(アメリカハッカ)などが導入され,品種改良や交雑を繰り返してきた。そのため,これらの種の同定は紛らわしいといわれる。これらの中で在来種の萼片は最も細く尖り,狭3角形であることが特徴のようだ。
 自生地は浸食されてできた崖と川に挟まれた狭い湿地にある。里山でありながら地形的に人家や田畑から隔離され,栽培などの人の手が容易く入れるような場所ではない。タデ科やイネ科の植物に被われている状態で,かき分けながら約10個体ほどを確認した。この場所のハッカは白花で,雄しべや雌しべがわずかに紅紫色を帯びている程度である。  
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ハグロソウ

特徴的な2唇形の花
 花に露出を合わせて,ファインダーをのぞくと見た目よりも葉が黒っぽく見える。和名の由来がなんとなく実感できるが,定かではない。特徴的な花を唇にたとえ,花の斑紋をお歯黒に見立てたという説もある。花はキツネノマゴよりも大きく疎らに咲くことから,見栄えの良い写真にならない。
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サネカズラ(雌花)

地味な花
 晩秋に目立つ果実は2016-12-03で紹介しているが,初秋に咲く花に気づくことは少ない。赤い葯隔の雄花を探していたのだが,見つかったのは雌花だけで来期への課題となってしまった。
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ゴマナ [キクの仲間]

野菊のシーズン到来
 色々な花が咲き乱れる草原で久しぶりに美しいゴマナに出会えた。遠目にはシラヤマギクに似ているが,葉や頭花の違いから見分けることができる。ススキの穂が目立つ草原では様々な野菊が見頃となっている。今週13日には十五夜を迎える。
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ヤマハギ

秋の七草
 拙ブログでは,クズオミナエシに続いて3種めの秋の七草となる。種の特徴が分かるように写せばよいのだが,咲きはじめの美しい花をメインにして撮影した。
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ジンバイソウ [ランの仲間]

やっと見頃に
 ツレサギソウ属 Platanthera の仲間はよく似た花が多く,分類に戸惑うことがある。不思議な和名のジンバイソウ(神拝草)は相接するような葉,ブナ帯に分布,花期,などから意外と容易に見分けられる。別の花を目的に訪れた際に偶然見つけた。花期は8月下旬と予想したが,見頃の花を写せるまでには約2週間を要した。
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ヒキヨモギ

キク科でないヨモギ
 和名の由来は定かではないが,葉の切れ込みのようすがヨモギを思わせるからであろうか。草刈りが行われ,比較的自然度の高い草地に生育するといわれている。
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ナンバンギセル [寄生植物]

万葉集にも登場
 「道の辺の 尾花がしたの 思い草 今さらになど 物か思はむ」(作者不詳) とオモイグサ(思草)の名で詠まれているが,ナンバンギセルが尾花(ススキ)の下で咲く様子がよく分かる。万葉の作者の鋭い観察力や豊かな感性がうかがえる。
 叢生するススキの株内から花柄を伸ばすものから,写真のように株外から花柄を伸ばすものもある。この自生地では日当たりのよい南側よりも,直射日光が当たらない北側に多くの個体を見ることができた。
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ヤマハハコ [キクの仲間]

後悔先に立たず
 目についたヤマハハコを特に意識もせずに写した。帰宅後,図鑑で再確認する種名は間違いないが,雌雄異株であることをすっかり忘れていた。筒状の両性花が集まっているものが雄株,雌株は花柱が細く伸びたものが多いという。何となく雄株のような感じであるが,雑な写真では同定不能である。MFで撮影することが多いが,この時ばかりはAFであった。
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タムラソウ [キクの仲間]

長月を迎えて
 花はアザミに似ているが,刺はなく柔らかい感じがする。近くに生えているノハラアザミよりも背丈が高く,全体的にすらっとした印象を受ける。
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