ヤマゴボウ
フジキ
当たり年
2017-06-26のユクノキにとても良く似ている。毎年訪れる場所近くで“手の届くような所に咲いている”との情報をいただいた。フジキの小葉の柄の基部に小托葉(写真下の矢印)があることが大きな違いであるが,高木の葉を確認するのは容易ではない。刺状の小托葉の長さは短く(1-4㎜),色が変わりはじめていた。葉よりも先に脱落するようだ。
今年はユクノキとともにいろいろな所で白い花を見かける。
2017-06-26のユクノキにとても良く似ている。毎年訪れる場所近くで“手の届くような所に咲いている”との情報をいただいた。フジキの小葉の柄の基部に小托葉(写真下の矢印)があることが大きな違いであるが,高木の葉を確認するのは容易ではない。刺状の小托葉の長さは短く(1-4㎜),色が変わりはじめていた。葉よりも先に脱落するようだ。
今年はユクノキとともにいろいろな所で白い花を見かける。
ヤマタバコ
シシガシラ [シダの仲間]
クルマバソウ
同定に迷う
ヤエムグラ属Galium はアカネ属Rubia に似て,対生する本来の2枚の葉と2-8枚の葉と全く同形の托葉があり,4枚から多数の葉が輪生(偽輪生)しているように見える。数㎜の花はやや魅力に欠け,葉の枚数も変異があるので取っ付きにくい。撮影した個体はクルマムグラと思ったが,葉は6-8枚で,葉縁には毛を確認した。花冠はクルマムグラに似ていて,この同定には不安もあり課題としたい。本種をクルマバソウ属Asperula とする考え方もあり,非常に近縁であることは理解できる。
この日,お目当てのタガソデソウが見つかり,気を良くして苦手な植物に挑戦した。
ヤエムグラ属Galium はアカネ属Rubia に似て,対生する本来の2枚の葉と2-8枚の葉と全く同形の托葉があり,4枚から多数の葉が輪生(偽輪生)しているように見える。数㎜の花はやや魅力に欠け,葉の枚数も変異があるので取っ付きにくい。撮影した個体はクルマムグラと思ったが,葉は6-8枚で,葉縁には毛を確認した。花冠はクルマムグラに似ていて,この同定には不安もあり課題としたい。本種をクルマバソウ属Asperula とする考え方もあり,非常に近縁であることは理解できる。
この日,お目当てのタガソデソウが見つかり,気を良くして苦手な植物に挑戦した。
レンゲツツジ [ツツジの仲間]
無人の群生地
蕾の様子を蓮華に見立てたことが和名の由来で,別名は同色のヤマツツジに対する名といわれている。有毒植物で牛や馬なども食べないことから群生地して有名な牧場もある。個人的にはあまり馴染めない花であるが,残雪の山並みの美しさにしばし見蕩れ,至福のひとときを過ごした。
蕾の様子を蓮華に見立てたことが和名の由来で,別名は同色のヤマツツジに対する名といわれている。有毒植物で牛や馬なども食べないことから群生地して有名な牧場もある。個人的にはあまり馴染めない花であるが,残雪の山並みの美しさにしばし見蕩れ,至福のひとときを過ごした。
ダンドタムラソウ
地域限定
キソキバナアキギリを撮影中,近くに白っぽい花に気づいた。アキノタムラソウが脳裏を過ったが,繊細で草丈も低くナツノタムラソウに近い。この周辺には茎の基部から長い走出枝を出す変種の存在を教えていただいたので,容易に思い出した。よく見ると花の色は薄っすらと青紫色を帯びていた。見頃は終盤で唯一残っていた個体を撮影した。種小名stolonfela には“匍枝をもった”という意味がある。
キソキバナアキギリを撮影中,近くに白っぽい花に気づいた。アキノタムラソウが脳裏を過ったが,繊細で草丈も低くナツノタムラソウに近い。この周辺には茎の基部から長い走出枝を出す変種の存在を教えていただいたので,容易に思い出した。よく見ると花の色は薄っすらと青紫色を帯びていた。見頃は終盤で唯一残っていた個体を撮影した。種小名stolonfela には“匍枝をもった”という意味がある。
キソキバナアキギリ
タガソデソウ
ニッコウバイカウツギ
毛の有無を確認
バイカウツギを観察したのは約10年前,デジタル一眼を使い始めた頃だ。写したものはピントが甘く気に入らないものばかり。それ以降は出会うことなく,梅雨に入ると毎年気にかけていた.
久しぶりに見るバイカウツギに心躍った。前回は葉の様子を気にかけることもなかったが,今回はじっくり観察した。それは葉裏に毛のあるニッコウバイカウツギの存在を知ったからである。撮るまでもなく,触れるだけで毛のあることが分かる。3日後,別の場所でもバイカウツギを見つけたが,やはり「ニッコウ」であった。調べると関東地方周辺ではニッコウバイカウツギの報告が多いようだ。
ルーペで確認すると毛が多いのは葉裏で,表より裏の毛が2倍ほど長い。真正面からの葉裏の接写(写真6)は毛の存在が一目瞭然。一方,葉表を同様の方法で写すと毛は白い点でしかない。葉を反らせて斜め方向から葉表一部にピントを合わせた(写真5)。
ウツギ,マルバウツギ,ヒメウツギなど(ウツギ属Deutzia) とは別属である。ウツギ属Deutzia の葉は星状毛であるが,バイカウツギ属Philadelphus の毛は枝分かれしない。
※ 写真は上から順に1~6(写真5と写真6の倍率は一致しない。)
バイカウツギを観察したのは約10年前,デジタル一眼を使い始めた頃だ。写したものはピントが甘く気に入らないものばかり。それ以降は出会うことなく,梅雨に入ると毎年気にかけていた.
久しぶりに見るバイカウツギに心躍った。前回は葉の様子を気にかけることもなかったが,今回はじっくり観察した。それは葉裏に毛のあるニッコウバイカウツギの存在を知ったからである。撮るまでもなく,触れるだけで毛のあることが分かる。3日後,別の場所でもバイカウツギを見つけたが,やはり「ニッコウ」であった。調べると関東地方周辺ではニッコウバイカウツギの報告が多いようだ。
ルーペで確認すると毛が多いのは葉裏で,表より裏の毛が2倍ほど長い。真正面からの葉裏の接写(写真6)は毛の存在が一目瞭然。一方,葉表を同様の方法で写すと毛は白い点でしかない。葉を反らせて斜め方向から葉表一部にピントを合わせた(写真5)。
ウツギ,マルバウツギ,ヒメウツギなど(ウツギ属Deutzia) とは別属である。ウツギ属Deutzia の葉は星状毛であるが,バイカウツギ属Philadelphus の毛は枝分かれしない。
※ 写真は上から順に1~6(写真5と写真6の倍率は一致しない。)
トウゲシバ [シダの仲間]
ナンゴクミネカエデ
カエデの花に注目
山腹上部から尾根にかけて見られることがミネ(峰)の由来と聞いた。以前の図鑑では本州は近畿地方南部とされていたが,現在では東北地方まで分布するといわれている。ヒメコザクラを観察後,登山口から駐車場に戻る県道(標高約1200m)で撮影した。
本種は独立種とする考えとミネカエデの亜種または変種とする考えがある。ミネカエデとの違いは「葉の裂片すべてが尾状鋭先頭である」といわれるが,同一のシュート(主軸)であっても生長とともに葉形が変わることから,同定は容易いことではない。
花序及び花はミネカエデに似て,葉形はコミネカエデに近いと感じる。花序と花(花弁と萼片)を確認すれば,確かな同定が可能と思われる。開きはじめの花を手持ちで撮影した。薄曇りで静穏,強力な手振れ防止に助けられ,自己満足の写真となった。
山腹上部から尾根にかけて見られることがミネ(峰)の由来と聞いた。以前の図鑑では本州は近畿地方南部とされていたが,現在では東北地方まで分布するといわれている。ヒメコザクラを観察後,登山口から駐車場に戻る県道(標高約1200m)で撮影した。
本種は独立種とする考えとミネカエデの亜種または変種とする考えがある。ミネカエデとの違いは「葉の裂片すべてが尾状鋭先頭である」といわれるが,同一のシュート(主軸)であっても生長とともに葉形が変わることから,同定は容易いことではない。
花序及び花はミネカエデに似て,葉形はコミネカエデに近いと感じる。花序と花(花弁と萼片)を確認すれば,確かな同定が可能と思われる。開きはじめの花を手持ちで撮影した。薄曇りで静穏,強力な手振れ防止に助けられ,自己満足の写真となった。
ミヤマキンバイ
登山道は金梅ロード
ヒメコザクラを目指す登山道は黄色で彩られていた。この時期,咲く花の種類は限られ,さしあたって田の畔に咲くヘビイチゴといった感じ。梅雨が明けた高山(2018-08-02)では残り花が多くなり,接写には耐えられない。
ヒメコザクラを目指す登山道は黄色で彩られていた。この時期,咲く花の種類は限られ,さしあたって田の畔に咲くヘビイチゴといった感じ。梅雨が明けた高山(2018-08-02)では残り花が多くなり,接写には耐えられない。
ミツバオウレン [オウレンの仲間]
3小葉の黄蓮
様々な場所で見てきたが,そのほとんどが花期終盤のものばかりだった。今回は花期の早いヒメコザクラを目的としていたので,登山口周辺で咲き始めの個体をたくさん見ることができた。名の由来である3小葉はまだ閉じ気味で,蕾の状態のものもあった。
様々な場所で見てきたが,そのほとんどが花期終盤のものばかりだった。今回は花期の早いヒメコザクラを目的としていたので,登山口周辺で咲き始めの個体をたくさん見ることができた。名の由来である3小葉はまだ閉じ気味で,蕾の状態のものもあった。
ナンブヒョウタンボク
無毛の葉,アラゲヒョウタンボクの品種
絶滅危惧ⅠA類のヒメコザクラを堪能した後,下山しながら撮影した。アラゲヒョウタンボクとは少し様子が異なるので証拠として撮影した。見落とした可能性もあるが,自生を確認したのは1箇所で数株のみ。本品種の個体数を1とするとヒメコザクラの個体数は数えきれないほどの数。環境省レッドデータでは無指定,図鑑には「葉が両面とも無毛で縁にだけ毛が散生するものをナンブヒョウタンボクという」という記述があるのみで,下記の種の詳細については,アラゲヒョウタンボクを参考にした。
標高約1700m,周囲にはミヤマヤナギ,ハイマツが広がり,6月半ばにはイワウメが一斉に咲き,しばしば強風が吹き抜ける場所だ。この個体の樹高は50㎝に満たない。
絶滅危惧ⅠA類のヒメコザクラを堪能した後,下山しながら撮影した。アラゲヒョウタンボクとは少し様子が異なるので証拠として撮影した。見落とした可能性もあるが,自生を確認したのは1箇所で数株のみ。本品種の個体数を1とするとヒメコザクラの個体数は数えきれないほどの数。環境省レッドデータでは無指定,図鑑には「葉が両面とも無毛で縁にだけ毛が散生するものをナンブヒョウタンボクという」という記述があるのみで,下記の種の詳細については,アラゲヒョウタンボクを参考にした。
標高約1700m,周囲にはミヤマヤナギ,ハイマツが広がり,6月半ばにはイワウメが一斉に咲き,しばしば強風が吹き抜ける場所だ。この個体の樹高は50㎝に満たない。
エンシュウムヨウラン [ランの仲間]
ヒメコザクラ [サクラソウの仲間]
35年越しの念願叶う
本種の産地を最初に訪れたのは元号が平成となった夏休み。学生時代の恩師と7,8人での山行だった。その時に白花のPrimulaがあることを知った。花期は入梅前後,山開きの頃と聞いた。すでに職に就いていたのでこの季節に訪れることなど無理,当時は登山者も少なく,登山道がロープで制限されることもなかった。
地球温暖化が危惧される今日,生活圏では多発する豪雨被害が問題であるが,深刻なのは人の住まないような極地に甚大な影響があらわれることと思う。
“森林帯の寸詰まり現象”のあるこの山は,登山口から約30分弱の標高1300m付近でハイマツ帯となる。岩塊の累積地を登りはじめるとまもなく白いPrimulaが現れた。地元の方は“今年の開花日は5月6日,冬が寒く雪が多かった割には季節の進み具合は異常に早い。どこまで開花が早まるのだろうか。”と嘆きながら語った。標高1500m付近まではすでに花は萎れかけ,1700m付近から瑞々しい花が見られるようになった。まだ5月なのに。
本種の産地を最初に訪れたのは元号が平成となった夏休み。学生時代の恩師と7,8人での山行だった。その時に白花のPrimulaがあることを知った。花期は入梅前後,山開きの頃と聞いた。すでに職に就いていたのでこの季節に訪れることなど無理,当時は登山者も少なく,登山道がロープで制限されることもなかった。
地球温暖化が危惧される今日,生活圏では多発する豪雨被害が問題であるが,深刻なのは人の住まないような極地に甚大な影響があらわれることと思う。
“森林帯の寸詰まり現象”のあるこの山は,登山口から約30分弱の標高1300m付近でハイマツ帯となる。岩塊の累積地を登りはじめるとまもなく白いPrimulaが現れた。地元の方は“今年の開花日は5月6日,冬が寒く雪が多かった割には季節の進み具合は異常に早い。どこまで開花が早まるのだろうか。”と嘆きながら語った。標高1500m付近まではすでに花は萎れかけ,1700m付近から瑞々しい花が見られるようになった。まだ5月なのに。
想像以上に小さなPrimulaだ。絶滅危惧ⅠA類指定にもかかわらず,写真6,7のように随所で観察でき,個体数も多い。若葉には白い粉(写真4),葉は外巻き傾向(写真1,2,4,5)で,終盤の花の葉(写真3)は展開し,葉身の中部以下まで歯牙がある。一方,ヒナザクラの葉は内巻き傾向で上部のみに歯牙がある。
※ 写真は上から1~7
※ 写真は上から1~7