イワブクロ
エゾツツジ [ツツジの仲間]
ギンリョウソウ [ツツジの仲間]
北東北地方蛇紋岩地の植物-最終
12回にわたり,早池峰山の植物を紹介してきた。見頃のミヤマアズマギクやミヤマオダマキなども撮影したが,気に入るような写真が撮れなかった。最後の掲載種は関東地方でも普通に見られるもので,あまりにも見事な咲き方にシャッターを切った。撮影した場所は蛇紋岩地ではなく,登山口・小田越にほど近い針葉樹林帯である。
1990年,1994年に続き3度目の早池峰山は変わりなくどっしりそびえているが,河原の坊コースは一部が2016年に崩落して通行禁止になっている。復旧の見通しは今のところ未定のまま。この山では6月半ばに咲くサクラソウ科2種を足腰が元気な内に見たいものである。しかし,関東からは遠く思いつきで来られるような所ではない。山に登れる年齢もしだいに少なくなってきた。
12回にわたり,早池峰山の植物を紹介してきた。見頃のミヤマアズマギクやミヤマオダマキなども撮影したが,気に入るような写真が撮れなかった。最後の掲載種は関東地方でも普通に見られるもので,あまりにも見事な咲き方にシャッターを切った。撮影した場所は蛇紋岩地ではなく,登山口・小田越にほど近い針葉樹林帯である。
1990年,1994年に続き3度目の早池峰山は変わりなくどっしりそびえているが,河原の坊コースは一部が2016年に崩落して通行禁止になっている。復旧の見通しは今のところ未定のまま。この山では6月半ばに咲くサクラソウ科2種を足腰が元気な内に見たいものである。しかし,関東からは遠く思いつきで来られるような所ではない。山に登れる年齢もしだいに少なくなってきた。
ミヤマヤナギ
ホソバイワベンケイ
北東北地方蛇紋岩地の植物
これまでに固有種及び貴重種として,北上山地最高峰・早池峰山南面登山口から中腹に見られた植物を紹介してきた。今日からの残り3種は,より広い分布の植物を掲載する。
イワベンケイに比べ,葉が細く鋸歯が多い。早池峰山には両種が見られるというが,葉で容易に見分けられる。雌雄異株でそれぞれが退化した雌しべ,雄しべをもつ。雄株は花弁4枚,雄しべ8本,雌株は雄しべ4本,雌しべ4本,といわれている。この解像度を落とした写真では分からないが,元画像では雄しべ4本を確認した。
これまでに固有種及び貴重種として,北上山地最高峰・早池峰山南面登山口から中腹に見られた植物を紹介してきた。今日からの残り3種は,より広い分布の植物を掲載する。
イワベンケイに比べ,葉が細く鋸歯が多い。早池峰山には両種が見られるというが,葉で容易に見分けられる。雌雄異株でそれぞれが退化した雌しべ,雄しべをもつ。雄株は花弁4枚,雄しべ8本,雌株は雄しべ4本,雌しべ4本,といわれている。この解像度を落とした写真では分からないが,元画像では雄しべ4本を確認した。
リシリシノブ [シダの仲間]
北東北地方蛇紋岩地の貴重種6-約30年前の写真から
最初にお断りしなければならないが,今回の山行で撮影したものではなく,1990年撮影のポジフィルムをデジタル化した。このシダが自生しているところまで登り,デジタルカメラで写そうとしたが,残念ながら30年ぶりの再会は実現しなかった。これまで紹介してきた固有種及び貴重種を含め,最も産地及び個体数が少ないと思われる。和名は産地の利尻島に因む。
最初にお断りしなければならないが,今回の山行で撮影したものではなく,1990年撮影のポジフィルムをデジタル化した。このシダが自生しているところまで登り,デジタルカメラで写そうとしたが,残念ながら30年ぶりの再会は実現しなかった。これまで紹介してきた固有種及び貴重種を含め,最も産地及び個体数が少ないと思われる。和名は産地の利尻島に因む。
エゾウラジロハナヒリノキ [ツツジの仲間]
コミヤマハンショウヅル
北東北地方蛇紋岩地の貴重種4
学名からも分かるようにミヤマハンショウヅルに良く似ているが,葉を比較して分類する。コミヤマハンショウヅルの葉は1回3出複葉,一方のミヤマハンショウヅルは2回3出複葉である。
学名からも分かるようにミヤマハンショウヅルに良く似ているが,葉を比較して分類する。コミヤマハンショウヅルの葉は1回3出複葉,一方のミヤマハンショウヅルは2回3出複葉である。
チシマフウロ
ホソバツメクサ
カトウハコベ
ナンブトラノオ
ミヤマヤマブキショウマ
北東北地方蛇紋岩地の固有種2
古い話になるが,石灰岩地や鉱山に生える植物について学ぶ機会があった。それと同時に超塩基性岩地に生える植物についても多少知ることができた。
二酸化ケイ素SiO₂含有量が45%以下の岩石を超塩基性岩という。アルミニウムAlやマグネシウムMgなどの金属成分が多く,見た目が青緑色のかんらん岩・斑れい岩,明るい赤褐色の蛇紋岩などがこれに属する。これらの岩石が露出したり,分解土壌となる山では,含有金属成分が植物の根に害を与えるため,普通の植物は生育できない。北海道の夕張岳・アポイ岳,東北地方の早池峰山,上越国境の谷川岳・至仏山,飛騨山系の白馬岳周辺,などは超塩基性岩の山として有名である。こうした山々には厳しい環境に耐性をもつ固有種が分布している。
ハヤチネウスユキソウやミヤマヤマブキショウマの背景に写る岩石は蛇紋岩,風化した表面を削ると,この岩石本来の色・暗緑色の部分が現れる。濡れると滑りやすく,登山には注意が必要である。
写真上で左奥に雲のかかる山頂部は薬師岳(1645m)で,花崗岩からなる山である。花崗岩は,二酸化ケイ素SiO₂含有量が66%以上で酸性岩の代表的な岩石である。早池峰山南面と対峙する薬師岳は,登山口の小田越を挟んで全く別の地質となる。薬師岳は山頂まで針葉樹林帯であるが,早池峰山南面は約1300mという標高ながら森林限界に達する。
古い話になるが,石灰岩地や鉱山に生える植物について学ぶ機会があった。それと同時に超塩基性岩地に生える植物についても多少知ることができた。
二酸化ケイ素SiO₂含有量が45%以下の岩石を超塩基性岩という。アルミニウムAlやマグネシウムMgなどの金属成分が多く,見た目が青緑色のかんらん岩・斑れい岩,明るい赤褐色の蛇紋岩などがこれに属する。これらの岩石が露出したり,分解土壌となる山では,含有金属成分が植物の根に害を与えるため,普通の植物は生育できない。北海道の夕張岳・アポイ岳,東北地方の早池峰山,上越国境の谷川岳・至仏山,飛騨山系の白馬岳周辺,などは超塩基性岩の山として有名である。こうした山々には厳しい環境に耐性をもつ固有種が分布している。
ハヤチネウスユキソウやミヤマヤマブキショウマの背景に写る岩石は蛇紋岩,風化した表面を削ると,この岩石本来の色・暗緑色の部分が現れる。濡れると滑りやすく,登山には注意が必要である。
写真上で左奥に雲のかかる山頂部は薬師岳(1645m)で,花崗岩からなる山である。花崗岩は,二酸化ケイ素SiO₂含有量が66%以上で酸性岩の代表的な岩石である。早池峰山南面と対峙する薬師岳は,登山口の小田越を挟んで全く別の地質となる。薬師岳は山頂まで針葉樹林帯であるが,早池峰山南面は約1300mという標高ながら森林限界に達する。
ハヤチネウスユキソウ [キクの仲間]
北東北地方蛇紋岩地の固有種
7月17日朝,秩父地方は快晴,地元で青空を見るのは何日ぶりであろうか。7月になってはじめてのような気がする。
今年も6月下旬にはキタダケソウが見頃になった。6月25,26日は3000m級の山も天候が回復するという予報で準備を整えた。いざ出発と思いきや,前日24日に降雹(積雹5-10㎜)があり,見頃の花々は大打撃という。北岳山行を断念してから重く垂れ込める梅雨空の下,悶々と過ごす日々が続いた。関東地方では,しばらく同様の天候とのこと。一方,北東北地方では好天が続いているという。軽薄な人間はすっかり北東北に咲く花へ思いを強くした。
7月17日朝,秩父地方は快晴,地元で青空を見るのは何日ぶりであろうか。7月になってはじめてのような気がする。
今年も6月下旬にはキタダケソウが見頃になった。6月25,26日は3000m級の山も天候が回復するという予報で準備を整えた。いざ出発と思いきや,前日24日に降雹(積雹5-10㎜)があり,見頃の花々は大打撃という。北岳山行を断念してから重く垂れ込める梅雨空の下,悶々と過ごす日々が続いた。関東地方では,しばらく同様の天候とのこと。一方,北東北地方では好天が続いているという。軽薄な人間はすっかり北東北に咲く花へ思いを強くした。
日本産ウスユキソウ属Leontopodium は7種あるが,この仲間はユーラシアの高山に約50種あり,中国(四川省,雲南省),ヒマラヤを中心に分布するという。ヨーロッパではアルプスのセイヨウウスユキソウ(エーデルワイスEdelweiss 学名L. alpinum )が有名であるが,分布するのはこの1種といわれている。本種の存在を知ったのは学生の頃で,エーデルワイスに近い種として記憶した。世界的に大ヒットしたミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年公開)の挿入歌も少なからず影響していた。ウスユキソウ属の分布から見れば,ヨーロッパよりもこちらの方が本家本元であろう。
ギンバイソウ
コクラン [ランの仲間]
オカトラノオ
梅雨空続く
相変わらずの天候が続いている。イネが不作で,米を求めて長蛇の列ができた平成5年の気候に似てきた。あれから26年,年月の移り変わり早いものである。厚い雲の曇天続きでは写真も重々しい。マイフィールドの丘陵で咲く花を爽やかな雰囲気で撮りたいのだが・・・
相変わらずの天候が続いている。イネが不作で,米を求めて長蛇の列ができた平成5年の気候に似てきた。あれから26年,年月の移り変わり早いものである。厚い雲の曇天続きでは写真も重々しい。マイフィールドの丘陵で咲く花を爽やかな雰囲気で撮りたいのだが・・・
イチヤクソウ [ツツジの仲間]
菌根を形成する常緑多年草
2017-06-22に続き,拙ブログ2度目の掲載となる。拙ブログに何度も登場する丘陵では,6月中旬からイチヤクソウがあちこちで咲き出した。咲く花が少ない時期であるが,林床のあちこちで見られる。さすがに見頃は過ぎたが,7月になっても咲いている。今年は当たり年のようである。
前回では本種の生育環境について「アカマツとコナラからなる二次林で、アカマツの根元だけに」と記録したが,このことを撤回しなければならない。それは,今年はアカマツよりもコナラが優占する林床に多く,薄暗いコナラ林でもふつうに見られた。掲載した写真も同様な環境にある。常緑多年草のイチヤクソウは自らの光合成に加えて,菌根を形成して他からも栄養を得るという。近年の研究からも,イチヤクソウが樹種よりも土壌環境に大きな影響を受けることを知った。
※参考文献等「異なる光環境に生育するイチヤクソウの菌根の季節変化と定着する菌根」(松田陽介他 日本菌学会第53回大会)
2017-06-22に続き,拙ブログ2度目の掲載となる。拙ブログに何度も登場する丘陵では,6月中旬からイチヤクソウがあちこちで咲き出した。咲く花が少ない時期であるが,林床のあちこちで見られる。さすがに見頃は過ぎたが,7月になっても咲いている。今年は当たり年のようである。
前回では本種の生育環境について「アカマツとコナラからなる二次林で、アカマツの根元だけに」と記録したが,このことを撤回しなければならない。それは,今年はアカマツよりもコナラが優占する林床に多く,薄暗いコナラ林でもふつうに見られた。掲載した写真も同様な環境にある。常緑多年草のイチヤクソウは自らの光合成に加えて,菌根を形成して他からも栄養を得るという。近年の研究からも,イチヤクソウが樹種よりも土壌環境に大きな影響を受けることを知った。
※参考文献等「異なる光環境に生育するイチヤクソウの菌根の季節変化と定着する菌根」(松田陽介他 日本菌学会第53回大会)