SSブログ

イワブクロ

ピーカンの秋田駒ヶ岳2
 目的の2つめはイワブクロ。エゾツツジ同様,大雪山以来である。火山特有の無機質な砂礫地に群生している。「大焼砂」という場所ではザレ場に足を取られて歩きづらい。強風を遮るものもないが,この日は無風。登山道両側には見頃を迎えたコマクサや花期後のタカネスミレ(写真下)の大群落が広がっていた。
iwabukuro.jpgiwabukuro2.jpgtakanesumire.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

エゾツツジ [ツツジの仲間]

ピーカンの秋田駒ヶ岳1
 早池峰山の翌日は,国の天然記念物指定の秋田駒ヶ岳植物帯を訪れた。早池峰山よりもさらに標高が低く正確な意味では高山帯を持たないが,頂上部が活火山の影響を受けることから偽高山帯が形成されている。登山基地の8合目(1305m)からお花畑の核心部までは約1時間で行くことができる。
 秋田駒ヶ岳を訪れた目的は,分布の中心が北海道にある植物2種。その1つがエゾツツジ,34年前に大雪山・黒岳で見たことがある。秋田駒ヶ岳周辺が分布の南限で,頂上部では随所に生育している。
ezotsutsuji.jpgezotsutsuji2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ギンリョウソウ [ツツジの仲間]

北東北地方蛇紋岩地の植物最終
 12回にわたり,早池峰山の植物を紹介してきた。見頃のミヤマアズマギクやミヤマオダマキなども撮影したが,気に入るような写真が撮れなかった。最後の掲載種は関東地方でも普通に見られるもので,あまりにも見事な咲き方にシャッターを切った。撮影した場所は蛇紋岩地ではなく,登山口・小田越にほど近い針葉樹林帯である。
 1990年,1994年に続き3度目の早池峰山は変わりなくどっしりそびえているが,河原の坊コースは一部が2016年に崩落して通行禁止になっている。復旧の見通しは今のところ未定のまま。この山では6月半ばに咲くサクラソウ科2種を足腰が元気な内に見たいものである。しかし,関東からは遠く思いつきで来られるような所ではない。山に登れる年齢もしだいに少なくなってきた。
ginryousou.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ミヤマヤナギ

北東北地方蛇紋岩地の植物
 早池峰山5合目を過ぎた標高1700m辺りから傾斜はなだらかになり,写真上のようなハイマツ帯が広がる。訪れた時期は春から夏の花の端境期,柳絮(りゅうじょ)をまとったヤナギが一際目立っていた。
miyamayanagi.jpgmiyamayanagi2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ホソバイワベンケイ

北東北地方蛇紋岩地の植物
 これまでに固有種及び貴重種として,北上山地最高峰・早池峰山南面登山口から中腹に見られた植物を紹介してきた。今日からの残り3種は,より広い分布の植物を掲載する。
 イワベンケイに比べ,葉が細く鋸歯が多い。早池峰山には両種が見られるというが,葉で容易に見分けられる。雌雄異株でそれぞれが退化した雌しべ,雄しべをもつ。雄株は花弁4枚,雄しべ8本,雌株は雄しべ4本,雌しべ4本,といわれている。この解像度を落とした写真では分からないが,元画像では雄しべ4本を確認した。
hosobaiwabenkei.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

リシリシノブ [シダの仲間]

北東北地方蛇紋岩地の貴重種6約30年前の写真から
 最初にお断りしなければならないが,今回の山行で撮影したものではなく,1990年撮影のポジフィルムをデジタル化した。このシダが自生しているところまで登り,デジタルカメラで写そうとしたが,残念ながら30年ぶりの再会は実現しなかった。これまで紹介してきた固有種及び貴重種を含め,最も産地及び個体数が少ないと思われる。和名は産地の利尻島に因む。
rishirishinobu.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

エゾウラジロハナヒリノキ [ツツジの仲間]

北東北地方蛇紋岩地の貴重種5
 地味な花なのでこの植物を目的に立ち止まることはなかったろう。前出のコミヤマハンショウヅルが絡まっていた植物で,しかも花をたくさんつけていたので念のため撮影した。ところがよく見られるハナヒリノキの葉(長楕円形で先端が尖る)と様子が違うことに気づいた。
 嚏(はなひり)とは「くしゃみ」の意,有害植物で葉を乾燥粉末化したものを殺虫剤として用いた。
ezourajirohanahirinoki.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

コミヤマハンショウヅル

北東北地方蛇紋岩地の貴重種4
 学名からも分かるようにミヤマハンショウヅルに良く似ているが,葉を比較して分類する。コミヤマハンショウヅルの葉は1回3出複葉,一方のミヤマハンショウヅルは2回3出複葉である。
komiyamahanshouduru.jpgkomiyamahanshouduru2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

チシマフウロ

北東北地方蛇紋岩地の貴重種3
 本州では早池峰山の他,青森県の一部で知られるのみ,北海道,千島,樺太など氷期に南下した亜寒帯の植物と考えられている。早池峰山南斜面高山帯ではふつうに見られる。まだ見頃には少し早く,花をつけた個体は少なかった。  chishimafuuro.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ホソバツメクサ

北東北地方蛇紋岩地の貴重種2
 母種は北半球の北部に広く分布する。礫地,乾いた草地,隙間の多い風衝草原などに生え,特に超塩基性岩地の礫原に多い。花弁に凹みがないので,整った星形に見え,いかにもツメクサに近い仲間に見えるが,花柱が3本でツメクサの4,5本とは異なる。
 カトウハコベやホソバツメクサにカメラを向ける人は少ない。撮影中に名前を聞かれるが,あらためて関心をもたれる方はほとんどいない。早池峰山南面では,夜空の天の川を形成する恒星のように美しい。
hosobatsumekusa.jpghosobatsumekusa2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

カトウハコベ

北東北地方蛇紋岩地の貴重種
 発見は1905年牧野富太郎博士,和名は同行の加藤子爵への献名,といわれている。蛇紋岩地に生える植物で,氷期に南下,のちに本家の周極地方では絶滅し,近縁の植物が残るのみとなった,と考えられている。
katouhakobe.jpgkatouhakobe2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ナンブトラノオ

北東北地方蛇紋岩地の固有種3
 「固有種2」で記したように早池峰山(1917m)南面は,標高約1300mあたりで森林限界,別な表現をすれば高山帯に相当する植生となる。薬師岳と同じ登山口・小田越(約1150m)では針葉樹林が広がるが,約30分ほど登る御門口(約1300m)辺りから写真上のような蛇紋岩帯となる。
 写真下はこの日(7月9日)の下山した午後2時過ぎ,駐車場のある河原の坊(約1050m)付近で撮影した。登りはじめ時には山頂部まで見通せたが,下りはじめる頃から「やませ」の影響で頂部は徐々に霧の中に隠れていった。よく晴れ男といわれるが,まさに面目躍如だ。
nanbutoranoo.jpgnanbutoranoo2.jpghayachinesan.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ミヤマヤマブキショウマ

北東北地方蛇紋岩地の固有種2
 古い話になるが,石灰岩地や鉱山に生える植物について学ぶ機会があった。それと同時に超塩基性岩地に生える植物についても多少知ることができた。
 二酸化ケイ素SiO₂含有量が45%以下の岩石を超塩基性岩という。アルミニウムAlやマグネシウムMgなどの金属成分が多く,見た目が青緑色のかんらん岩・斑れい岩,明るい赤褐色の蛇紋岩などがこれに属する。これらの岩石が露出したり,分解土壌となる山では,含有金属成分が植物の根に害を与えるため,普通の植物は生育できない。北海道の夕張岳・アポイ岳,東北地方の早池峰山,上越国境の谷川岳・至仏山,飛騨山系の白馬岳周辺,などは超塩基性岩の山として有名である。こうした山々には厳しい環境に耐性をもつ固有種が分布している。
 ハヤチネウスユキソウやミヤマヤマブキショウマの背景に写る岩石は蛇紋岩,風化した表面を削ると,この岩石本来の色・暗緑色の部分が現れる。濡れると滑りやすく,登山には注意が必要である。
 写真上で左奥に雲のかかる山頂部は薬師岳(1645m)で,花崗岩からなる山である。花崗岩は,二酸化ケイ素SiO₂含有量が66%以上で酸性岩の代表的な岩石である。早池峰山南面と対峙する薬師岳は,登山口の小田越を挟んで全く別の地質となる。薬師岳は山頂まで針葉樹林帯であるが,早池峰山南面は約1300mという標高ながら森林限界に達する。
miyamayamabukishouma.jpgmiyamayamabukishouma2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ハヤチネウスユキソウ [キクの仲間]

北東北地方蛇紋岩地の固有種
 7月17日朝,秩父地方は快晴,地元で青空を見るのは何日ぶりであろうか。7月になってはじめてのような気がする。
 今年も6月下旬にはキタダケソウが見頃になった。6月25,26日は3000m級の山も天候が回復するという予報で準備を整えた。いざ出発と思いきや,前日24日に降雹(積雹5-10㎜)があり,見頃の花々は大打撃という。北岳山行を断念してから重く垂れ込める梅雨空の下,悶々と過ごす日々が続いた。関東地方では,しばらく同様の天候とのこと。一方,北東北地方では好天が続いているという。軽薄な人間はすっかり北東北に咲く花へ思いを強くした。

 日本産ウスユキソウ属Leontopodium は7種あるが,この仲間はユーラシアの高山に約50種あり,中国(四川省,雲南省),ヒマラヤを中心に分布するという。ヨーロッパではアルプスのセイヨウウスユキソウ(エーデルワイスEdelweiss 学名L. alpinum )が有名であるが,分布するのはこの1種といわれている。本種の存在を知ったのは学生の頃で,エーデルワイスに近い種として記憶した。世界的に大ヒットしたミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年公開)の挿入歌も少なからず影響していた。ウスユキソウ属の分布から見れば,ヨーロッパよりもこちらの方が本家本元であろう。
hayachineusuyukisou.jpghayachineusuyukisou2.jpghayachineusuyukisou3.jpghayachineusuyukisou4.jpghayachineusuyukisou5.jpghayachineusuyukisou6.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ギンバイソウ

先端が2浅裂しない葉
 ギンバイソウの葉は独特で花期でなくても比較的見分けやすい。ところがこの個体には特徴的な葉が少なく,少々疑問をいだきながら証拠として撮影した。帰宅して調べたが,花は間違いなくギンバイソウである。
ginbaisou.jpgginbaisou2.jpgginbaisou3.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

コクラン [ランの仲間]

蜘蛛の巣と藪蚊に歓迎される
 今春,ヤマザクライヌシデの撮影中に偶然見つけたコクラン,花期を迎える頃なので再訪した。落葉広葉樹に混じって一部に常緑樹が混生する林の道沿いで群生していた。たくさんの花を期待していたが,花をつけた個体は意外と少なかった。藪蚊の襲来を予想して蚊取り線香なども用意して出かけたが,少々期待外れの結果となった。
kokuran.jpgkokuran2.jpgkokuran3.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ノリウツギ

夏の花咲く
 例年,この花が咲きはじめると梅雨明けが近いと感じる。今年は少し様子が違う。毎日が梅雨寒である。
noriutsugi.jpgnoriutsugi2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

オカトラノオ

梅雨空続く
 相変わらずの天候が続いている。イネが不作で,米を求めて長蛇の列ができた平成5年の気候に似てきた。あれから26年,年月の移り変わり早いものである。厚い雲の曇天続きでは写真も重々しい。マイフィールドの丘陵で咲く花を爽やかな雰囲気で撮りたいのだが・・・

 拙ブログのマイカテゴリー「サクラソウの仲間」は主としてPrimura(サクラソウ属)を扱っている。そのためLysimachia(ツマトリソウ属)のオカトラノオは「サクラソウの仲間」に入れていない。 
okatoranoo.jpgokatoranoo2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

イチヤクソウ [ツツジの仲間]

菌根を形成する常緑多年草
 2017-06-22に続き,拙ブログ2度目の掲載となる。拙ブログに何度も登場する丘陵では,6月中旬からイチヤクソウがあちこちで咲き出した。咲く花が少ない時期であるが,林床のあちこちで見られる。さすがに見頃は過ぎたが,7月になっても咲いている。今年は当たり年のようである。
 前回では本種の生育環境について「アカマツとコナラからなる二次林で、アカマツの根元だけに」と記録したが,このことを撤回しなければならない。それは,今年はアカマツよりもコナラが優占する林床に多く,薄暗いコナラ林でもふつうに見られた。掲載した写真も同様な環境にある。常緑多年草のイチヤクソウは自らの光合成に加えて,菌根を形成して他からも栄養を得るという。近年の研究からも,イチヤクソウが樹種よりも土壌環境に大きな影響を受けることを知った。
※参考文献等「異なる光環境に生育するイチヤクソウの菌根の季節変化と定着する菌根」(松田陽介他 日本菌学会第53回大会)
ichiyakusou3.jpgichiyakusou4.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

バイカモ

4年前の写真から③
 この水草はきれいな水が流れる浅い小川などに生育する。撮影地の近くには水量豊かな湧水があり,田園を潤す小川の源になっている。
baikamo.jpgbaikamo2.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

キヌガサソウ

4年前の写真から②-大雪渓の末端で
 深山の湿った場所に群生することが多い。何度も訪れている大雪渓の末端では,雪解けしたところから咲きはじめる。白い花弁のように見えるのは外花被片(萼片),内花被片は黄色の雄蕊よりも少し長く,糸状で目立たない。
 アイゼンをつけた登山者から大雪渓をバックにした撮影を頼まれることがある。私はここから先に進む気持ちにはならない。雪渓には音もなく滑り落ちてきた大きな落石が点在している。
kinugasasou.jpgkinugasasou2.jpgkinugasasou3.jpgshirouma_daisekkei.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

ユキワリソウ [サクラソウの仲間]

4年前の写真から①-雪割草とユキワリソウ
 ブナ帯に咲く花が気になるが,梅雨らしい天候続きで訪れることができない。霧のかかったブナ帯では熊と遭遇する恐れがある。いつものことであるが,ブログ開始前のこの季節に撮影したものを3つ紹介したい。

 雪割草という名は,文字通り雪解けの頃に咲く花を指している。地方によって咲く花も違うので,雪割草といっても種が異なる場合もある。新潟県ではオオミスミソウを雪割草と呼ぶようだ。イチリンソウニリンソウアズマイチゲなどを雪割草と呼ぶ地方もあるという。一般にユキワリソウと表記される和名の植物は本種を指しているので混同されることが多い。
yukiwarisou.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

オオルリソウ

決め手は圧毛
 舗装された林道を移動中,道路脇に咲くムラサキ科の植物に気づいた。ヘアピンカーブではこの植物が斜面(写真上)に広がっていた。繁茂状態から帰化植物を思わせるが,以前見たオニルリソウに似ている。現地では確かな同定ができないので証拠写真を撮った。帰宅して調べると,帰化ではなく在来種であることが分かった。オニルリソウの茎など生える毛は開出毛,このオオルリソウには圧毛が生える。秋に熟す果実には刺があり,動物付着散布(ひっつき虫)となるようだ。
oorurisou.jpgoorurisou2.jpgoorurisou3.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

キバナノショウキラン [ランの仲間]

今回も菌従属栄養植物
 図鑑等では落葉広葉樹林下で生育と解説されているが,秩父山系では湿度の高いスギ植林下で見られる。撮影地は沢沿いの標高約330m,気候区は暖温帯に入ると思われる。何度も通過した地域であるが,見たのははじめてある。最近は菌従属栄養植物にとりつかれている気がする。
 周辺にも数株が点在しているが,ここだけは各個体から出る花序が重なり合い,一つ一つを区別できないほど密集している。立ち込んでどの個体の花序なのかを確認することもできるが,踏みつけによって絶滅危惧ⅠB類を消滅させたくない。
kibananoshokiran.jpgkibananoshokiran2.jpgkibananoshokiran3.jpg

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)