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クロヤツシロラン [ランの仲間]

開花後の変化を追う
 個体が2年以上生存するような植物を多年生植物と呼ぶ。塊茎をもつ菌従属栄養植物のクロヤツシロランもこの範疇にあるが,光合成を行う多年草とは別物である。塊茎の寿命は菌が寄生している枯死植物からの養分供給にかかわるからである。塊茎からの根は少なく,根と菌類が作る共生体(菌根)が大きな役割を果たしているという。塊茎からの根は地下深くではなく,落葉の腐植層で水平方向に伸ばす傾向があり,この周辺に発生する菌糸は驚くほど多い。

 毎年訪れる自生地では極めて出現数が少なかった。長期にわたる異常高温のうえ,梅雨期と秋雨期の少雨が菌類の成長にダメージを与えた。菌類は気温変化に敏感で,適温になると一気に発生することが知られている。秋雨後に気温が下がり突如として出現するキノコを何度も見てきた。

 出現数の少ない中から数個体を抽出して定期的に観察し,果期に最も生長する部分は花柄であることを確認した。
 ※ 写真は上から順にA~F
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アケボノシュスラン [ランの仲間]

曙色の花
 過去に数回見てきたがいずれも単体,ようやく10株ほどの群生を地元で見ることができた。大径木のスギに守られるように3箇所で群生していた。花を着けたものはわずか2個体で物足りないが,良い花づきのものが1株あった。9月初旬に蕾をつけはじめ10月に入って開花した。8月下旬に見頃となるところもあり,地域や標高によって開花時期に大きな差がある。埼玉県RDBカテゴリーでは絶滅危惧ⅠB類(EN)であることからここは貴重な自生地だ。
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テガタチドリ [ランの仲間]

掌状に肥厚する根
 上信越地方の日当たりの良い草地(2000m前後)で見ることができる。奥秩父でも亜高山帯の草原に生育していたと記憶していたが,現在の県カテゴリーでは絶滅となっている。
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シロテンマ [ランの仲間]

オニノヤガラの変種
 母種 G. elata 比べて大型のものは少なく,大きいもので高さ50㎝あまり,他は30㎝前後であった。母種に比べて花期は遅く,より湿った土壌に生えていた。
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ミズチドリ [ランの仲間]

別名は麝香千鳥
 群生する個体の多くが花期終盤,相性が悪いのか見頃の予想がいつも外れる。痛みの少ない唯一の個体(写真AB)をようやく見つけ,クローズアップで撮ることができた。
 ※ 写真は上から順にA~C
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ヤクシマヒメアリドオシラン [ランの仲間]

自生地は多湿な渓谷
 2021-08-10に続き,2度目の掲載となる。開花したばかりのたくさん美しい花をたくさん見ることができた。個体数は想像以上に多く,未開花のものを踏みつけないように注意しながら林内を移動した。
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ベニシュスラン [ランの仲間]

美しい繻子
 繻子とは織物の1種で,経(たて)糸・緯(よこ)糸どちらか一方のみが表れているかのような織り方で,和名はこの淡紅色の繻子模様に因る。色抜けの白花タイプ(写真D)では繻子は緑色を呈し,葉も通常のものより薄い。シュスラン属 Goodyera の中では花が大きく見応えがある。
 ※ 写真は上から順にA~F
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タシロラン [ランの仲間]

爆発的出現
 埼玉県ではじめて発見されたのが2001年,それから20年あまりですっかり定着したようだ。前回2020-07-27は暖温帯常緑広葉樹林で観察したが,この爆発的出現地は中間温帯林に近い。写真Aの大径木はコナラ,近くの尾根にはモミも自生する。写真Aは群落の一部で,登山道沿いに約30mにわたり広がっていた。個体数は4桁のレベルと推測した。県報告の「県南部の台地林内に分布」とは全く異にする地域である。年に数回登るこの出現地は標高約300mの頂上部で,この一帯でのタシロランは初見だ。コナラの大径木に進行するナラ枯れが気になった。
 ※ 写真は上から順にA~E
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トキソウ [ランの仲間]

美しき朱鷺色
 関東地方では低地帯から山地帯までの日当たりの良い湿地に分布,低地帯ではゴールデンウイークから咲きはじめ徐々に高度を上げる。湿地の環境遷移や開発,盗掘などで絶滅した自生地も多い。埼玉県では自生地のほとんどが開発された。この自生地ではまさに当たり年,数100個体がちょうど見頃を迎えていた。
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ショウキラン [ランの仲間]

旬な花に遭遇
 キバナショウキランシナノショウキランは拙ブロクで取り上げているが,本家本元ともいえるショウキランが最後になってしまった。谷川岳,北信,八ヶ岳などで数回見てきたが,蕾や花後のもので旬に出会ったことがなかった。秩父地方にも産地はあったが,近年では見られなくなった。生育環境は,湿り気のある日陰地,湿潤な腐植土壌,周辺にはササが生えていた。当てにならぬ勘を頼りに歩くとまもなくこの個体に遭遇した。神出鬼没で同じ場所で見られるとは限らない。
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トケンラン [ランの仲間]

無斑のトケンラン
 2年前,花後の個体を偶然見つけた。緑色の花茎からコケイランと思ったが,葉は長楕円形で謎となっていた。同じ場所を2年ぶりに訪れると見頃の花が出迎えてくれた。それも図鑑に掲載されている花とは異なる無斑の花(写真AB)である。和名の由来とされる特有の斑紋は全く見られない。アルビノタイプと思われるが,分類に詳しい方がきっと素晴らしい命名をされると思う。近くに生えていた有斑の個体(写真CDE)も,側花弁や萼片は黄褐色ではなく地色は緑色であった。それにしても巧妙で美しい花である。
 ※ 写真は上から順にA~E
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オニノヤガラ [ランの仲間]

多様な気候帯に適応
 はじめて見たのは約30年前,外秩父山地の開けた落葉広葉樹林だった。その後,冷温帯の標高約1700mの草地や道路脇でも見たことがあった。今回は暖温帯の落葉広葉樹林。出現は菌従属栄養植物らしく神出鬼没である。今年の傾向で開花は早く,ほとんどが写真下の状態であった。
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マメヅタラン [ランの仲間]

マメヅタに似る
 花のない時期はシダ植物のマメヅタに似ているが,実際に観察した葉はより小さく感じた。横や後ろ向きの花がほとんどで紅紫色の唇弁は確認できなかったが,安全な位置から撮影できたことだけでも嬉しい。空中湿度の高いところの樹幹や岩上に着生するが,そのような環境は少なく自生地は限られる。
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ササバギンラン [ランの仲間]

難しい開花予測
 同属のギンランヤビツギンランも観察したが,どの花も痛んだものばかり。今季は開花時期が予測不能,旬な花にはなかなか出会えない。
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ユウシュンラン [ランの仲間]

生育環境は一安心
 自生地の状態を確認するため,昨年に続いて訪れた。採取されることもなく個体数は現状維持である。
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アキザキヤツシロラン [ランの仲間]

初見の菌従属栄養植物(クロヤツシロランと比べる)
 1998年版埼玉県植物誌には県東部での自生が報告されていたが,現在では自生していない,と聞いた。環境省RDBでは特に指定されていないが,埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)となっている。
 埼玉県から次のような報告もある。

 (略)主な生育地は竹林であるが,生育に適する竹林は減少傾向にあるので,今後発見される可能性は少ない。二次メッシュによる分布は総計で1区画のみの記録である。 (以下略) (埼玉県環境部自然環境課,2012.埼玉県の希少野生生物 埼玉県レッドデータブック2011 植物編,210p)

 私見であるが,この自生地の生育環境に似た竹林が埼玉県内には残っており,減少傾向にあるとは思えない。可能性のある竹林の立入許可を得て,組織的及び総合的な調査が必要と考える。他の自治体に比べて本県の劣るところである。 
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クロヤツシロラン [ランの仲間]

有毛の唇弁
 種小名 pubilabiata には「毛のある唇弁」という意があるようだ。まだ見ぬアキザキヤツシロランの唇弁には毛がないという。今年はこの違いを意識して撮影した。
 自宅近くにある自生地の開花は,例年彼岸明けの頃だったが今年は少し早い。
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カイサカネラン [ランの仲間]

緑色の菌従属栄養植物
 本種の最初の発見地は山梨県三ッ峠(1948年),その後は2箇所の産地が知られていただけで,1998年に再発見されるまでは絶滅種と思われていた。さらに新たな産地に関する報告があるが,産地及び個体数は非常に少ないと思われる。
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タカネフタバラン [ランの仲間]

目立たない小さなラン
 花も含めて全体に緑色で意識しないと見つからないようなランである。アオフタバランに似ているが,葉の位置,葉先の形,葉の色や模様が異なる。
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ミヤマモジズリ [ランの仲間]

一方に向いて咲く
 8月に入ると亜高山帯の針葉樹林下で咲きはじめる。特に苔生した岩上などで見かける。別のものを探している時に出会うことが多く,花の見頃と合致しない。群生していたもの(写真上)はアップには厳しい状態だった。
 ※ 写真は上から順に上,中,下
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トラキチラン [ランの仲間]

豊かな美しい針葉樹林で
 別の地で7年前に撮影したことがある。薄暗い針葉樹林下に生える1株で,幽霊のような雰囲気をもっていた。この時,夢中で撮った写真はすべて不満足のものばかり。後で分かったことだが,デジタル一眼の不具合が原因だった。
 今回はほぼ狙ったところにピントを合わせられた。最大の収穫は旬の素晴らしい個体群に出会えたことである。撮影しながら巧妙な花のつくりや美しさに感嘆。これだけ豊かな針葉樹林は久々である。
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オオミズトンボ [ランの仲間]

白い蜻蛉咲く
 サギソウを写した湿地の近くに本種が自生することを知り,2週間後に再び現地を訪れた。その地形からこの一帯は扇状地の一部と思われる。オミナエシが群生する乾いた草原の一部から伏流水が湧いて湿地を形成していた。
 絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されている稀少種は個体数も少なく,ほとんどの花は見頃を過ぎて変色していた。幸運なことに残っていた2個体で十分楽しむことができた。感謝。
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トサノクロムヨウラン [ランの仲間]

今年も開花
 昨年(2021),地元で始めて開花を確認することができた。今年も8月中旬から咲きはじめ,昨年撮影した株から数10㎝離れて別の株も現れていた。花の着き方から新たなものではなく休眠していたものと思われる。
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ミズトンボ [ランの仲間]

次回は旬の時期に
 この日はミズオトギリを優先したため,終盤の花を承知のうえで訪れた。周囲の草に埋もれたこの個体を探すまでに時間を要した。ミズオトギリの開花に合わせて昼過ぎに着いたため,強烈な逆光と時折吹く風に悩ませられた。
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サギソウ [ランの仲間]

白鷺舞う
 分布は広いが生育環境は低地の湿地となる。こうした場所は開発の対象となることが多く,人気の園芸植物とあいまって本来の自生地は激減した。環境省カテゴリでは準絶滅危惧(NT)に指定,本県では絶滅したと思われる。
 さらに近年危惧されているのは,遺伝子攪乱の実態が報告されていることである。その原因の一つが保存の手段として行われている“植物の植え戻し”といわれている

 周辺に民家はほとんどなく,谷津(谷戸)と呼ばれるわずかな湿地はひっそりと静まりかえっていた。朝霧は上がっていたが,まだ花は露をまとい少し透明感(写真A)があった。日曜日にもかかわらず訪れる人は皆無。静かな湿地で至福の時を過ごした。
※ 写真は上から順にA~E
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サガミラン [ランの仲間]

相模から関東各地に
 Cymbidium シュンラン属には「cymbe(舟)+eidso(形)」という意味があるという。唇弁をボートような舟に見立てたと思われる。和名は発見地に因む。埼玉県では県南部の低地や丘陵地の常緑広葉樹林内に散発的に生育しているという報告がある。別名の「モドキ」について検索すると数多くヒットし,別種として確立するまでの経緯が推察できる。夏の花後,別の花茎を伸ばして,秋に花を着けることもある。
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ムカゴサイシン [ランの仲間]

花後2か月経過
 2か月前,珍しい植物に出会えた。かすかな情報を頼りに現地を訪れると,想像しなかった環境に生えていた。花は完全に開かず,見頃はやや過ぎていた。開花期は菌従属栄養植物を思わせるが,結実期の終わり頃から葉(写真D)を広げて光合成を行う。多年生草本であるが,野生の成熟個体の寿命は短いという報告もある。
※ 写真は上から順にA~D
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ウズラバハクサンチドリ [ランの仲間]

ハクサンチドリの1品種
 ハクサンチドリは北方寒冷地の植物といわれ,東北地方や北海道の多雪地の草地では群生することがある。この日も雪が早く消えたところで約50個体ほどが群生していた。これは少し標高を上げたところで無班の個体に交じって生えていたものを写した。
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エンシュウムヨウラン [ランの仲間]

初見のムヨウラン属
 1980年遠州・春野町(現・浜松市)で発見,近年では関東地方(東京都,埼玉県,茨城県)にも新産地報告があり,現在の北限は新潟県である。ムヨウラン属Lecanorchis の仲間はその名のとおり情報量が少ない。わずかな情報と過去の経験をもとに自生する環境を推測した。予想したコナラ林を30分ほど歩き,2箇所目で発見することができた。
 本種の特徴である筒状で開かない花がほとんどである。唯一半開したものを見つけ,唇弁の毛を撮影することができた。

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サイハイラン [ランの仲間]

采配は増加傾向
 見頃を迎えたサイハイランをハイキング道脇で見つけた。個体数が増加傾向なのか,随所で観察できた。叢に隠れて注視しなければ気づかない。ほとんどのハイカーやバードウォッチャーは素通りだ。色の薄い個体の葉(写真上)は大きな葉をつけていた。ところが前側に生えている色の濃い花の2個体は黄変したり,葉そのものが欠損していた。これだけの花を着けるには相当な養分を要するだろう。一枚の葉の光合成だけでなく,菌類にも養分を依存する部分的菌従属栄養植物だからこそ可能となる。
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