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イヌゴマ

迷いながらの同定
 よく見かけるイヌゴマとは少し様子が違う。イヌゴマの茎にはふつう下向きの毛が生える。ここの個体群に生える毛は剛毛そのもの。すぐに未見のエゾイヌゴマを連想した。1980年代の図鑑では分布は北海道に限るようだが,近年では本州まで分布するという資料やネット情報もあるためである。一方で両種の区別は容易でないという事例もある。最終的には無難なイヌゴマと同定した。
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クロバナヒキオコシ

連日の小さい花
 オオヒナノウスツボとは別の科になるが,草丈は同じように1mを越える。花はさらに小さい。同じ仲間(ヤマハッカ属Isodon)ではヤマハッカヒキオコシセキヤノアキチョウジカメバヒキオコシをすでに掲載しているが,これらと比較しても小さくて目立たない。花の色は独特で,なかなか渋い色合いである。
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オオヒナノウスツボ

花の形と名がおもしろい
 過去に数回観察してその都度写してきたが,納得できるピントの写真ではなかった。背の高い草本の先にある小さな花が微妙に揺らいでいることも一因である。壺形の花冠内(写真下)には,4個の黄色の雄蕊,長く突き出る花柱が確認できる。雄蕊の上側には花冠と同系色の仮雄蕊も見られる。
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シロバナカモメヅル

袋果をつけたカモメ
 コバノカモメヅルには3つの変種(シロバナカモメヅル,アズマカモメヅル,ジョウシュウカモメヅル)が知られている。花の色や花冠の大きさが分類の決め手になるようである。対生する細長い葉を「飛翔するカモメの姿」に見立てたことが,カモメヅルの名の由来といわれている。shirobanakamomeduru.jpgshirobanakamomeduru2.jpgshirobanakamomeduru3.jpg

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クルマバナ

例年と違う草地
 晩夏になると草地ではシソ科の花が目立つようになる。このような場所では草刈りが行われることが多いが,何故か例年とは違うような気がする。色々なところにコロナ禍や猛暑が影を落としている。皮肉なことに形の良いクルマバナが多く見れられた。
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ミズタマソウ

果実は「くっつき虫」
 自宅から数㎞離れた休耕田の水路脇で,目立たない小さな花を見つけた。カメラを三脚に据えて拡大して見ると,ミズタマソウ属Circaea であることが分かった。似たものにタニタデ,ウシタキソウなどがあるので種の特徴を意識して写したつもりである。花を拡大するとなかなか面白い花だ。和名は丸い果実についている毛が,水玉のように見えることに因る。
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コボタンヅル

虫の音に安堵する
 連日,猛暑とコロナのしつこいばかりの報道に息苦しさを感じる。夕食を済ませて家のまわりを歩くと,虫の音を耳にした。昆虫には秋の気配が感じられるのだろう。3日後には処暑を迎える。

 前出のボタンヅルの変種とされている。分類の決め手は2回3出複葉であるが,1個体全ての葉が同じようにはならない。撮影したこの個体にも1回3出複葉と2回3出複葉があり,一部には2回2出複葉もある。随分前になるが,“葉は根や茎と同格の単位と考えるよりも,茎の付属物として考える” と教えていただいたことがある。つる性のように茎を長く伸長するものには成熟と未成熟な部分があるので,全ての葉が2回3出複葉とはならないと思われる。本変種やボタンヅルの花が終わる頃,秩父地方ではセンニンソウの花が咲き出す。

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ボタンヅル

炎天下に咲く
 秩父地方で熱帯夜になることは少ないが,この2日間の最低気温は25℃を下回らず寝苦しい夜を過ごした。涼を求めて近くの林縁を歩くと,猛暑をものともせず白い花が見頃を迎えていた。
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ミソハギ

送り盆
 本来の旧盆には親戚への盆参りや知人宅の新盆見舞いを行うが,今年は新型コロナ感染症流行で自宅のみの盆行事となった。「オガラ」を焚いて墓参りを済ませたが,何となく空しさが残る旧盆となった。連綿と行われてきた様々な物事が消滅していくような気がしてならない。

 和名の「禊萩」は祭事に用いることに因る。また,溝萩とも書くという。エゾミソハギに似るが,茎,葉,花序に毛がないこと,葉の基部が茎を抱かないこと,などで区別することができる。秩父盆地の休耕田や湿地には両種が自生する。
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コカモメヅル

極小の花を見つける
 クロンキスト及びエングラー分類体系ではガガイモ科オオカモメヅル属Tylophora であるが,APG分類体系ではキョウチクトウ科カモメヅル属Vincetoxicum に移行した。コバノカモメヅルと混同しやすいが,花序の長さや花の大きさで区別することができる。また,花冠に毛があることでも見分けられる。花の大きさなどは,オオカモメヅルの方に似ている。
 茎は長く伸びるが,細くて弱々しい。この日,良い個体が少なく,全体の様子が分かるような写真は写せなかった。
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スズサイコ

梅雨明けの朝に
 開花条件の表記が図鑑によって異なるようである。実感では,日没前後から開花し,翌日の午前8~9時には閉じると思われる。曇天や雨天時には日中でも開花すると報告されている。写真A,Bは午前6時30分前後に撮影,すでに陽は照り,朝露にしっとり濡れた花は平開状態。午前7時過ぎに自生地を後にしたが,依然として平開したままで,まだ閉じる気配はなかった。花期は終盤,すでに袋果をつけはじめた個体(写真D)もあった。写真Cでは単子葉植物を思わせるが,葉(写真E)を観察するとキョウチクトウ科という雰囲気も多少ある。
 「半自然草原」という言葉がある。湿潤な気候帯にある日本では,草原は遷移の進行とともにほとんどが森林に移行する。ところが人間活動(火入れ,草刈り,放牧など)によって遷移が妨げられ,草原が維持される。高度経済成長以降,こうした半自然草原は激減し,この環境に適応した動植物は絶滅の危機に瀕している。本種は半自然草原を代表する植物の一つといわれている。

 今年の梅雨の中休みもなく雨天続き,除草もままならなかった。空き屋状態になった実家は草ボウボウ。この日(8月1日)は早起きして,除草前にこの自生地に立ち寄った。山からは梅雨明けの秩父盆地(写真F)を臨むこともできた。まさに早起きは三文の徳。 ※写真は上からA~F
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ムカゴソウ [ランの仲間]

極端な天気続く
 梅雨明け後の数日間で7月の総日照時間を超えたという。記録的な雨量後は異常渇水にならないこと切に願うばかりだ。熱中症警戒アラート発令中とのこと,なんだか世の中はアラート流行り。
 相変わらず過去の写真で恐縮するが,猛暑の草原で5年前に撮影したものである。

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バアソブ

見分け難い「ソブ」
 花期は図鑑によって異なるが,よく似たツルニンジン(ジイソブ)よりも一月ほど早いように感じる。産地は少なく観察したのは3回のみ。図鑑にしたがって同定するのだが,差が小さく迷ってしまう。大きさ,花冠の色,葉の毛などに違いはあるが,時期によってもそれぞれに異なることもある。決定的な違いは種子にある,といわれている。
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ハクサンフウロ

変異の多い種
 葉形や毛の状態,花色などに変異が多く,ハマフウロ var. pseudopratense(北海道や東北地方北部の海岸),オガフウロ var. pseudopratense f. intermedium(秋田・男鹿半島),エゾフウロ var. yesoense(千島列島~東北地方)などが知られている。ハクサンフウロをイブキフウロとして分類する考え方もある。
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ミヤマリンドウ [リンドウの仲間]

飯豊の星を連想
 日本産リンドウ属Gentiana には茎の基部が長く匍うものがあり,2種1変種が知られている。この花を見ると,本種の変種イイデリンドウ(飯豊の星とも呼ばれるも呼ばれる)を連想する。しかし,飯豊山は南北アルプスや八ヶ岳を登るような装備ではとても行けない。
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キタヨツバシオガマ

北方系のヨツバシオガマ
 6年前に月山で撮影したものを掲載する。前回のハリブキ同様,東北地方のヨツバシオガマは北アルプスなどで見られるものと少し違うので数枚撮影した。迷った挙句,ヨツバシオガマとして保存していた。

 その後,この仲間の分類にも考え方を異にするものがあることを知った。それは,ヨツバシオガマ内には北方系と本州中部系統の2つの系統が存在し,両者が種レベルまで分化していること,が示唆されている。北方系はエゾヨツバシオガマ Pedicularis chamissonis var. chamissonis(千島列島原産) を基本種とし,キタヨツバシオガマやレブンシオガマ var. rebenensis が近縁種,と考えられている。特に,キタヨツバシオガマの分布は飯豊山までとされていたが,実際には本州中部山岳からも観察された,と報告されている。
 すでに2019-08-02でヨツバシオガマを掲載しているが,これもキタヨツバシオガマとして考えたほうがよさそうである。参考文献では,ヨツバシオガマ P. japonica の北限は月山までとしている。
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ハリブキ

分布域による形態的違い
 写真上下ともに東北地方で撮影したが,関東甲信地方に分布するハリブキと少し様子が異なる。具体的には裂片の形や葉脈上の刺が少ないことである。図鑑では同一種として扱っているものが多いが,東北地方のものをヒロハハリブキとして分類する考え方もある。写真下は雄株。
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エゾアジサイ

梅雨明け間近?
 天気予報に期待して出かけると雨が降り出す。7月はそんな日が多かった。さらに追い討ちをかけるようにコロナ禍が秩父盆地にも押し寄せてきた。自分の身は自分で守るしかない。しばらくは,未掲載の写真を取り上げたり,人の居ない場所での花巡りしかないだろう。8月は6年前の写真でスタートしたい。
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