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オオヤマレンゲ

森の貴婦人5年ぶり
 梅雨時の深山に美しい花を咲かせることから「森の貴婦人」とよばれる。5年前はわずか2輪であったが,この日は2箇所で計4本の株,花数は20輪を越えていた。ホオノキでも紹介したが,モクレンの仲間に共通する雌性先熟の花を咲かせる。オオヤマレンゲは開花してからその後一旦閉じ,再び開くという。花の寿命は短く,開花して4~5日ほどで変色する。この日,人に出会うこともなく時間をかけて撮影した。数時間でも花がわずかに変化していく様子を確認することができた。モクレン属Magnolia のほとんどが上向き咲く。下向きに咲くのは,花期が梅雨時であることに関連するのではないか,と勝手な想像をした。
 南アルプス登山口の一つ広河原への入山が2年ぶりに解除され,キタダケソウは満開という。いざ北岳という思いはあるものの,必須となった寝具持参と事前予約,加えて不安定な天候,衰える体力等で諦めたが,清楚な花に癒された。
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ヒトツボクロ [ランの仲間]

撮影に苦労する植物
 微風でも揺れる細長い花茎,やや薄暗い林床に咲き,アングルも限られるなど,撮影には苦労する。過去に果期や葉だけのものを数回か見てきた。いずれも緩やかな尾根筋の防火帯になるような場所で,アカマツも混生する落葉広葉樹林下に生えていた。危うく見過ごすところであったが,花を着けない特徴的な葉に気づき,導かれるようにこの個体にたどり着いた。
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マルミノヤマゴボウ

一挙両得
 一瞬,こんなところまでヨウシュヤマゴボウか入り込んでいるのかと疑ったが,すぐに花序が異なることに気づいた。本種はあまり見る機会がなかったので,ヤマゴボウとの違いを意識して写した。この日の目的はツルガシワだったので,思いがけない出会いに得した気分になった。
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ツルガシワ

想像以上の群生
 それらしき株を数回見かけたことがあり,花期に見たい植物の一つであった。文献には秩父地方の自生が記録され,別な情報では私が知る場所付近であることも分かった。フタリシズカやオオバノイノモトソウが多く,やや興ざめな林下に忽然と異質な葉の群生が現れた。シカの食害が酷い場所であることから本種もシカが食べない植物かもしれない。
 下方の葉は大きくタチガシワに似ているが,上方の葉は急に小さくなる。花は茎をよく伸ばて蔓状になるコバノカモメヅルによく似ている。
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ノジトラノオ

意外な場所で
 環境省のカテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(VU),関東地方5県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。生育地の「やや湿り気のある原野」という環境は,首都圏では開発対象でまず見かけない。見頃という情報をいただき,旬を迎えた花を堪能した。撮影中,近くで除草剤を撒く噴霧器の凄まじい音に閉口したが,この場所周辺に限り,心ある人が大事に守っている跡がうかがえた。オカトラノオによく似ているが,茎及び葉や葉の付け根には明らかな違いが見られた。
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コアニチドリ [ランの仲間]

昔の記憶を辿って
 20年近く前になるだろうか,この渓谷周辺に訪れたことがある。その頃も水の滴る岩壁にランがあると感じていた。当時はカメラではなく釣竿を片手に渓流を遡行し,もっぱら魚影を追いかけていた。当時とあまり変わらない渓流沿いに,目的の花をすんなり見つけることができた。
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オオカメノキ

花序に装飾花
 カマズミ属には花序に装飾花のあるものと装飾花のないもの(ガマズミやコバノガマズミなど)がある。

 ガマズミ属の装飾花は花冠が変化したもの,アジサイの仲間の装飾花は萼が変化したものといわれている。ヤブデマリによく似ているが,違いは枝が斜上,葉の基部が心形で花序に柄がない,ことといわれている。(ヤブデマリは枝を水平に伸ばし,葉の基部が広い楔形~円形で,花序に柄がある)
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タムシバ

白映える
 この日,数箇所でタムシバを撮った。帰宅して画像整理中,一部にコブシと思われるものがあり,同定に迷うことになる。花の直下に葉があるものはコブシ,ないものはタムシバ。意識せず漠然と写すと同定の段階で苦しむことになる。
 日本海側に多く見られ,太平洋側にも分布する。いろいろなところで観察してきたが,ここでの花期は遅い。日当たりの悪い地形が影響しているのだろう。
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クジャクシダ [シダの仲間]

羽根は全開
 葉の全形からほぼ特定できるシダ植物で,あえて胞子嚢群や鱗片などの写真は添付しなかった。まさにクジャクが羽根を広げたように見える美しいシダだ。目立ち時の葉は紅色が帯びているものがあり,葉が広がるとともに紅色は薄れていく。
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ジガバチソウ [ランの仲間]

久しぶりの大株に満足
 10年以上前,この花をコンパクトデジカメで撮影したことがある。マクロ機能もなく,オートフォーカスで撮るため,写真全てがピンボケ。それ以来の観察となったが,性能が向上したデジタル一眼でストレスなく楽しい撮影ができた。低木の下に生育するため,ここでは限られたアングルになる。地面に這うことも考えたが,自生地を荒らすことになるので止めた。
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ハナヒリノキ [ツツジの仲間]

変異の大きい植物
 尾根道で花をいっぱい着けた低木に気づいた。ピント合わせをしていると,エゾウラジロハナヒリノキの記憶が蘇ってきた。葉は細長く,白っぽさはなく,葉の先端があまり尖っていないのが少し気になる。地域によって個体差があり,変種及び品種レベルなど見解が分かれている。また,イワナンテン属Leucothoe として分類する考えもある。
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ナツハゼ [ツツジの仲間]

赤みを帯びた花
 前回のネジキを撮影している時,まるで紅葉しているような個体に気づいた。生育環境は尾根筋の乾いた場所である。スノキ属Vaccinium の中で,花序が今年出した枝に頂生するものはナツハゼだけと思われる。赤みを帯びた淡黄緑色の花が一般的であるが,これとは逆のような個体である。
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ネジキ [ツツジの仲間]

花は整然と
 昔,植生調査を手伝ったことがある。時折,ヤブ漕ぎを強いられることがあり,この木が出てくると尾根が近いことを感じてほっとした。尾根には道があることが多いからだ。ここでは,随所に真っ白な花が咲き乱れ,そよ風に乗って花の芳香が漂っていた。花は整然と下向きに咲き,果期には上向きに転じる。
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オニスゲ

スゲ属は難しい
 5月下旬,花の端境期となったので,年に数回訪れる谷津を訪れた。写してから3週間ほど過ぎて,旬は過ぎたと思われる。とりわけ知識の乏しい仲間なので同定に時間を要した。果胞の特徴や葉などから自己流に同定したが,自信は全くない。
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ササユリ

過去の写真から
 本来ならば自生する地域に出かけ,改めて観察したい植物である。本種を見るためには中部地方以西に行かなければならない。パンデミック状況下では自粛せざるを得ない。昨日12日(土),首都圏でありながら山間部の秩父では,この時期信じられないような賑わい。過疎化地域ゆえ,地元の人々だけの賑わいではないことは確かだ。緊急事態宣言がすでに解除された雰囲気,減少傾向であった感染者数が増加に転じた自治体も出てきた。数字は正直である。
 ブログ開始前,ちょうど6年前に写した植物を取り上げた。東北地方南部から新潟県に分布するヒメサユリの花期に近い。

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ナンブワチガイソウ

先入観は禁物
 今迄はハコベの仲間だろうと安易に見過ごしていた。最近はノミノツヅリ属Arenaria ハコベ属Stellaria ,ワチガイソウ属Pseudostellaria などを注意深く見るように心がけている。一見ハコベの仲間と思われるような目立たない植物である。ワダソウを小さくしたような花はとても上品で美しい。上部にある葉は対生で,輪生状となるワダソウとは異なる。
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カイジンドウ

存在感のある地味な花
 数回見てきた植物であるが,いずれも見頃を過ぎていた。分布は北海道・本州・九州とされているが,中部地方以北と九州に隔離分布する,という話を聞いた。明るい林内や草原にあり,どこにでもありそうな生育環境である。環境省カテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(UV)に指定されている。
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ウスバスミレ [スミレの仲間]

亜高山帯に咲く
 イボタヒョウタンボクの自生地を訪ねるには峠越えをしなければならない。この時期,亜高山帯でスミレ3種が咲くことを知った。今回は1種のみであったが,咲きはじめた瑞々しい小さな花を堪能した。
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イボタヒョウタンボク

フォッサ・マグナ要素植物
 数年前,別の植物を探している時に偶然見つけた。スイカズラを小さくしたような残り花が印象的だった。花期を合わせて,ちょうど見ごろの花を狙い通りに写すことができた。
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ウツギ

夏は来ぬ
 ノビル同様,昔から馴染み深い植物で花は初夏の風物詩といわれる。枕草子や唱歌に登場することから別名の方がよく知られている。類似種のヒメウツギやマルバウツギと混同しやすい。秩父地方ではウツギ(空木)の花期が最も遅く,花は下向きに咲いて平開しない。
 一般に雄しべの花糸には翼があり,翼の先端は歯牙(写真下)となる。同じようにヒメウツギにも歯牙があるが,マルバウツギには歯牙がなく,先になるほど狭まっている。
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ノビル [ネギの仲間]

旬は春
 小学校1年の頃,ガキ大将に無理やり生で食べさせられた。10歳に満たない子どもにはあまりにも刺激的な味覚であった。
 縄文時代にはすでに食用とされ,古事記や万葉集にも登場するお馴染みの植物である。秩父地方では茎の立たない4-5月が旬となる。鱗茎は生で味噌をつけたり,ぬたや天ぷらなどでも食される。酒のつまみに最適とされ,小さい頃にはノビル摘みをする大人を見かけた。最初の体験がトラウマとなり,2度と口に入れたことはない。
 観察すると全部が花となる個体(写真A,B)は意外と少ない。ムカゴ(珠芽)と花の両方着けるものやムカゴだけのものもある。すでにムカゴから芽を出しているもの(写真C,D)も見られる。身近な植物であるが,まだ調べられていないこともある。
 ※写真は上から順にA~D
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マメグンバイナズナ

またまた帰化植物
 ヘラオオバコから数えて5つ目の帰化植物。立ち上がる一本の茎が上部で分岐して多数の花序を着ける。花序は次々に開花してまもなく果実となる。凄まじい生産能力である。道端の空き地に形成した群落からは想像を絶する種子が生産される。
 マメグンバイナズナ属Lepidium には17種が確認されているようだが,ほとんどが帰化植物とされる。地域で見かけるのは3種程度,そのうち萼よりも花弁が長いのは本種ぐらいと思われる。花序が八方に広がり,花弁は小さく,花序一つをクローズアップしてもインパクトに欠ける写真だ。
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ルリニワゼキショウ

今日も帰化植物
 秩父市には市街地から眺望のきく都市型ダムがある。完成してから20年以上が経過するが,ダム建設による残土の埋立で広大な平地が生まれた。病院や施設が少しずつ建てられているが,それもごく一部。樹木はわずかな生えてきたが,いまだに単純な植物相の草原が広がり,舗装の砂利道には帰化植物が定着している。
 最近,あまり見かけないニワゼキショウに気づいた。花や翼のある葉から1本の茎に1花序を着けるヒトフサニワゼキショウに似ているが,花序が分岐することで異なる。花は1日花と思われる。
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ニワゼキショウ

ターゲットは身近な植物へ
 1年間の計画を立ててもコロナ禍では実現は難しい。遠出することもできず,生活圏の帰化植物を調べながら花の端境期を凌く今日この頃である。
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ヒメイワダレソウ

栽培それとも逸出か
 低山は花の端境期を迎えた。写す花もなく麓まで下山すると,一面に小さな白花が咲いていた。山林と農地の間に広がる耕作放棄地。等間隔に植栽用の低木が植えられているが,多くは枯れかかり手入れも入っていない状況だ。見かけない花であることから撮影した。花のつくりが在来種イワダレソウに似ていることから同定することができた。やがては特定外来種と指定されるような植物になるかもしれない。ネット検索では周辺環境への影響を危惧するものがヒットする。
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