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カタクリ

カタクリの寿命
 秩父地方では小鹿野町や旧荒川村(現秩父市)に有名な群生地があった。拙ブログでも2017-02-07桃源郷の春で紹介した。どこでも見られる植物だったが,シカの食害や落葉広葉樹林の荒廃でこれらは消滅した。やむを得ず多地域の数箇所で春の訪れを味わった。

 種子から発芽して花を咲かせるまでに7-9年の歳月を要すことは知っていたが,その一個体にも寿命があることを体感した。数個体が残る自生地で継続観察してきたが,数年前から個体小さくなり,今年は花を着けなくなった。カタクリの寿命に関する分献等は見つからなかったが,諸説があり平均寿命は40-50年と推定されている。見守ってきた個体の寿命は40年足らずと思われ,意外と短い。白花品の種小名  f. leucanthum は「白い花の」である。

 長年にわたりカタクリを観察してきてカタクリの生育斜面には一定の方位があると感じていた。興味深い研究報告を見つけた。この論文に次のような要旨がある。
 カタクリの生育地は北向きの斜面に偏る傾向があり,10調査地点では,N90°E(真東) ~ N88°W(ほぼ真西)の間に限られていた。海抜400mを超える地点では,生育地の斜面方位が西に偏る傾向がわかった。(須永 智 1998 「カタクリの生育斜面の方位特性について」 群馬県立自然史博物館)
 ※ 写真は上から順にA~E
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カタクリ(ユリ科)Erythonium japonicum 片栗
シロバナカタクリ  f. leucanthum 白花片栗
 北海道~九州に分布するが,四国や九州ではまれで山野に群生する多年草。
 鱗茎は筒状長楕円形で長さ5-6㎝。葉は普通2個で花茎の下部に着き,長い柄があるが地下に埋まるため,地上には葉身だけが現れる。葉身は長楕円形または狭い卵形で長さ6-12㎝,黄緑色で暗紫色の斑紋がある。
 花期は3月下旬ー6月。高さ10-20㎝の花茎の先に1個着き,下向きに開く。花被片は紅紫色,披針形で長さ4-5㎝,基部の近くに蜜腺があり,その上部にW字状の濃紫色の斑紋がある。雄蕊は花被片の葯半長,葯は濃紫色で線状。蒴果は円く,深い3稜形となる。(ABC:2024.3.27 D:2024.3.31 E:2024.3.22)


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