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サイコクサバノオ [シロカネソウの仲間]

繊細な花に感動
 本種がなかなか見つからず源頭部が目前に迫ってきた。諦めて尾根に上がろうとしたその時ようやく出会えた。自生地は想像していた環境とは異なっていた。沢筋でありながら水捌けの良い向陽の斜面に群生していた。記録的な多量降雨では浸食されるような不安定な環境にあった。花弁状の部分は萼片,花弁は黄色~橙色,光が十分当たらないと花は平開しない。茶色っぽい葉は次第に緑を帯びる。自生箇所及び個体数は限られ,シロバナネコノメソウと共に生えるトウゴクサバノオの方が圧倒的に多い。
 近畿地方の花弁の舷部は橙色気味,色は九州に自生するサバノオの舷部(2個)に似ているが,本種の舷部は1個である。以前はサバノオの変種とされていた。種小名univalve はuni(一条の)とvalve(弁)である。
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サイコクサバノオ(キンポウゲ科)Dichocarpum univalve 西国鯖の尾
 本州(近畿地方)・四国に分布,温帯林の林床に生える繊細な多年草。
 根茎は短くほとんど発達しない。茎は高さ(5-)10-20㎝,無毛ときにやや開出する毛が疎らに生える。
 根出葉は1-4個あるいは欠き,頂小葉は菱形~扇形,長さ0.7-1.5㎝,幅0.5-1.5㎝,無毛あるいは下面に伏毛があり,葉柄は2.5-6㎝,やや開出する毛が疎らにある。
 下部の茎葉は互生する。上部の茎葉は対生し,頂小葉は菱形~扇形卵形,長さ1-1.7㎝,幅0.8-1.5㎝,羽状に中裂するか粗い鋸歯縁となり,基部は楔形,両面ともほとんど無毛,葉柄はやや開出する毛が生え,基部で合着する。
 花期は3-5月。花は数個が集散花序に着き,径0.8-10㎜,点頭し,花柄は赤紫色,長さ0.5-1㎝,開出毛があり,小苞はない。
 萼片は5個,楕円形,長さ5-7㎜,幅2-4㎜,白色~緑白色で紫色の帯があり,斜上する。
 花弁の舷部は広楕円形,1片からなり,先端が浅く凹み,内曲して垂れ下がり,黄色,柄は白色。雄蕊は長さ4㎜,葯は長さ0.5㎜,白色,花糸は下部が少し広がる。柱頭は針状。袋果は0.9㎝,種子は球形,径約1㎜,褐色,平滑で光沢がある。染色体数2n=36。(2024.4.12)


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