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ナカガワノギク [キクの仲間]

特殊な環境に生える野菊
 キク属Chrysanthemum では珍しく渓流に適応した野菊といわれている。分類上,葉の基部の形や総苞片の長さで類似するリュウノウギクとは,葉の形や染色体数の違いで区別されている。自生地の多くは増水時には水没することもある。こうした環境に適応するために葉の形が進化したと考えられている。
 何度も行けるような地域ではないので,本種に関する情報収集を事前に行ってきた。その中で最近発表された調査報告「ナカガワノギクの自生地と地質について」(福富純一郎他.2018)を興味深く拝読した。自生地の様子は秩父地方にある三波川変成帯「長瀞の岩畳」を思わせるが,実際には海底でマグマが冷え固まった火成岩と思われる。
 橋梁工事の影響で予定よりも到着が遅れた。陽は傾きはじめ,快晴で強い日差し,どちらかといえば避けたい条件で撮影した。満足な写真はほとんどない。

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ヤッコソウ [寄生植物]

葉緑素をもたない寄生植物3
 命名者は牧野富太郎氏,花を大名行列の奴に見立てたという。花は雄花期(写真D)から雌花期(写真B,C)と変化する。雄花期には帽子のような雄蕊筒が雌蕊を被っている。分泌した蜜が鱗片葉の付け根に溜まるようなつくりで,蜜を求めて訪れた昆虫や小動物などによって,雄蕊筒が抜け落ちるようになっている(写真A)と思われる。
 ※ 写真は上から順にA~D
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キイレツチトリモチ [寄生植物]

葉緑素をもたない寄生植物2
 ツチトリモチ属Balanophora は,雌雄同株であるかどうかで分類されている。本種は同株のグループに入る。こぶ状に分岐する塊茎支を形成するというが,花茎を生じた株はその年限りで腐って消滅することから,1年生あるいは2年生とする考え方もあるようだ。この自生地では写真上のような群生が点在しており,株を踏みつけないよう細心の注意を払って観察した。
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ツチトリモチ [寄生植物]

葉緑素をもたない寄生植物
 落葉広葉樹の広がる標高約1000mの山中で歪な形をした塊を見たことがある。栽培されているコンニャクイモが変形したようなもので,ミヤマツチトリモチの塊茎であると教えていただいた。ハイノキ属に寄生するツチトリモチの存在もこの時に知り,この奇妙な植物に興味を持っていた。
 雌雄異株で雌株のみが知られ,信じ難いが単為生殖で種子はつくられるという。球形~長楕円体の肉穂状の花序表面にある無数の赤い粒は,花でも果実でもなく小棍体と呼んでいるようだ。花に相当するものは内部にある。ツチトリモチを踏みつけないように自生地を歩いていると,ちょうど頂部が欠損している株(写真下)を見つけた。帰宅後画像を拡大して確認すると,鮮紅色層と橙黄色層の境目付近に雌花があるようだ。雌花は1花序に数え切れないほどあることになる。
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マルバアサガオ

立冬過ぎて
 各地で野生化している熱帯アメリカ原産のアサガオ,秩父盆地でも珍しくはなくなった。立冬過ぎて霜の降りる日が多くなったが,それでも咲き続けている。熱帯原産でありながら耐寒性はありそうだ。和製アサガオに比べて花持ちが良く,秋になると夕方まで咲いていることがある。
 自生場所は北側の一段高いローカル鉄道南斜面で,北風の当たらない陽だまりにある。本種の特徴である様々な色の花が咲いている。白い花冠のものはミルキーウェイと呼ばれている。白地に薄い模様が放射状に入るが,時間経過と共に模様の色が変化していく。
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ベニバナボロギク [キクの仲間]

伐採跡のパイオニア
 立冬を過ぎると花をつける植物は数少ない。そのため花をつけた帰化植物も被写体となる。
 11月となればベニバナボロギクも花期終盤となるが,北風の当たらない南向き斜面ではまだ花盛りである。

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ヤクシソウ [キクの仲間]

花の季節に幕
 この花が咲きはじめると秩父盆地で野生の花を見ることは難しくなる。ヤクシソウは11月になっても咲き続けるが,霜を受けた葉(写真下)は変色してしだいに見栄えが悪くなる。林の伐採跡では,日当たりを好む植物が息を吹き返したように繁茂していた。
 秩父市の最低気温は2.3℃(10月31日),2.0℃(11月5日),0.7℃(10日),と下がり季節は冬に向かっている。観測地点・秩父特別観測所は市街地に近いことから,郊外ではすでに氷が張ったと思われる。
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ヒヨドリジョウゴ

ヒヨドリが食べる前に
 この個体は猛暑の続く9月初旬に見つけた。その後,刈られることもなく,順調に果期を迎えている。まだ熟さない緑色の果実も見られるが,約1㎝の花も平開から反り返る形に変わるなど,意外に趣がある。
 和名の由来はヒヨドリが好んで食べることに因るという。酒豪が酒を飲むような勢いで啄むヒヨドリを見たことはない。また,冬枯れの野に映える鮮やかな実は意外にも長く残っている。和名の由来はやや信じ難い。
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ナメラダイモンジソウ

変異の幅が大きい
 花をつけた株の葉を観察すると,図鑑の検索にあるような「5-7中裂」の葉は少なかった。他の特徴を消去法で突き詰めてナメラダイモンジソウと同定した。
 母種ダイモンジソウについて,図鑑(日本の野生植物Ⅱ 1982,平凡社)には次のような記述がある。
 本種(ダイモンジソウ)は地理的だけでなく,垂直的にも海岸から高山にいたる広い範囲に分布している。他方,変異の幅もたいへん広く,特に葉の形,大きさ,切れ込みの程度の差などに基づいて,ミヤマダイモンジソウ,アカバナダイモンジソウ,ハマダイモンジソウなど多数の型が区別されている。
 また,広島大学デジタル自然博物館には
 これまで広島県から報告されたダイモンジソウ(var. incisolobata Nakai)及びカエデダイモンジソウ(var. partita Nakai)(堀川ほか 1959,土井 1983)は本変種である。
 と「解説」に示されている。 
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ヒトツバ [シダの仲間]

裏面全体のソーラス
 前日のリュウビンタイ同様,本種も2度目の掲載となる。2017-11-19のものは何一つ意図のない写真で,特徴である裏面のソーラスも写っていない。今回は古い石垣に着生した格好の被写体に恵まれ,このシダを多面的に観察できる写真になった。
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リュウビンタイ [シダの仲間]

今回はデジタルカメラで撮影
 2019-02-06以来,2度目の投稿。前回はポジフィルムの写真(1984年撮影)をデジタル化したものを使用した。今回は,大型シダ(この個体は高さ約1.5m,葉柄の太さは約2㎝)らしく全体の様子が分かるアングルにした。背景にあるナチシダ(黄緑色)も大型の部類であるがその大きさを越えている。昔は大部分が標準マクロレンズでの撮影だったが,飛躍的に向上したズームレンズのおかげで全体が一画像に収まった。
 小羽片には脈の間に下行偽脈があり,この部分でさらに種を見分けていくようである。
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オオイタビ

奇妙な形をした果実
 海岸に咲くある花を探していたときに,木の枝に奇妙なものを見つけた。何かの虫こぶと思ったが,のちにイチジクの仲間と判明した。この仲間は,関東地方内陸部ではお目にかかれない植物である。
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