オトメスミレ [スミレの仲間]
タチツボスミレ [スミレの仲間]
2020スミレ
暖冬のため,ソメイヨシノだけでなくスミレの開花も記録的な早さであった。スミレ探索は自ずと身近な場所に限られてしまったが,きらめくようなスミレに出会うことができた。この春に見られたスミレを数回にわたって取り上げたい。
スミレ V. mandshurica と並んで日本を代表とするスミレ。いままで何度も写してきたが,満足するような写真にならない。見事な群落を写しても,イマイチのものばかり。この3枚も「取り上げた根拠」に乏しい。
タチツボスミレは水平及び垂直ともに広く分布し,様々な品種が知られている。写真上・中は一般的なタイプ,写真下は葉脈に沿って紅紫色の斑が入る品種で,アカフタチツボスミレ V. grypoceras f. variegata 赤斑立坪菫と思われる。
暖冬のため,ソメイヨシノだけでなくスミレの開花も記録的な早さであった。スミレ探索は自ずと身近な場所に限られてしまったが,きらめくようなスミレに出会うことができた。この春に見られたスミレを数回にわたって取り上げたい。
スミレ V. mandshurica と並んで日本を代表とするスミレ。いままで何度も写してきたが,満足するような写真にならない。見事な群落を写しても,イマイチのものばかり。この3枚も「取り上げた根拠」に乏しい。
タチツボスミレは水平及び垂直ともに広く分布し,様々な品種が知られている。写真上・中は一般的なタイプ,写真下は葉脈に沿って紅紫色の斑が入る品種で,アカフタチツボスミレ V. grypoceras f. variegata 赤斑立坪菫と思われる。
エノキ
段丘斜面の大木
昔は街道の一里塚や村境,橋のたもとなどに植えられ,各地にはいわれのある大木が残っている。エノキの枝にはヤドリギがよく寄生し,2018-12-08ヤドリギも同様である。河岸段丘に生えるものを写したが,大木といってもエノキの部類では普通の大きさであろう。段丘斜面一帯には10数本のエノキが生えている。種子が鳥などに運ばれ,実生から生長したものと思われる。秋になると写真のエノキには多くの野鳥が,成熟した実を求めて群がる。
雌雄同株と理解していたが,ほとんどが雄花。画像を拡大して確認すると,両性花は先端部に集まっている。時折,雄花が弾けるように開き,風で花粉が飛んでいく。まさに風媒花である。
昔は街道の一里塚や村境,橋のたもとなどに植えられ,各地にはいわれのある大木が残っている。エノキの枝にはヤドリギがよく寄生し,2018-12-08ヤドリギも同様である。河岸段丘に生えるものを写したが,大木といってもエノキの部類では普通の大きさであろう。段丘斜面一帯には10数本のエノキが生えている。種子が鳥などに運ばれ,実生から生長したものと思われる。秋になると写真のエノキには多くの野鳥が,成熟した実を求めて群がる。
雌雄同株と理解していたが,ほとんどが雄花。画像を拡大して確認すると,両性花は先端部に集まっている。時折,雄花が弾けるように開き,風で花粉が飛んでいく。まさに風媒花である。
コクサギ
特異な葉序
コクサギには失礼だが,お世辞にもきれいな花とはいえない。全体に臭気があり,クサギより小形であることから小臭木の名がついたという。沢沿いや湿った所に普通に生える雑木だが,意外にも特異な葉序を持つことで知られている。葉が左右交互に2個ずつ特殊な互生で「コクサギ型葉序」と呼ばれている。クサギのような臭いではなく,ミカン科特有の柑橘系の匂いがする。特に,登山中などにはこの匂いが心地よく感じる。秋の黄葉も意外に美しい。雄株に比べて雌株の個体数が非常に少ないよう感じた。ようやく見つけた雌株の花はすでに終盤。
不要不急の外出自粛の折,オニグルミ同様,自宅に近い河岸段丘で撮影した。しばらくは散歩がてらの地味な花巡りが続く。
※写真は上から順に1~4 写真1:葉 写真2:雄花 写真3:雌花 写真4:昨年の分果
コクサギには失礼だが,お世辞にもきれいな花とはいえない。全体に臭気があり,クサギより小形であることから小臭木の名がついたという。沢沿いや湿った所に普通に生える雑木だが,意外にも特異な葉序を持つことで知られている。葉が左右交互に2個ずつ特殊な互生で「コクサギ型葉序」と呼ばれている。クサギのような臭いではなく,ミカン科特有の柑橘系の匂いがする。特に,登山中などにはこの匂いが心地よく感じる。秋の黄葉も意外に美しい。雄株に比べて雌株の個体数が非常に少ないよう感じた。ようやく見つけた雌株の花はすでに終盤。
不要不急の外出自粛の折,オニグルミ同様,自宅に近い河岸段丘で撮影した。しばらくは散歩がてらの地味な花巡りが続く。
※写真は上から順に1~4 写真1:葉 写真2:雄花 写真3:雌花 写真4:昨年の分果
オニグルミ
ミヤマエンレイソウ
人影のない山里で
登山にも自粛ムードが高まり,人の気配のない山麓や沢沿いでの散策に留めている。狭い盆地内で「井の中の蛙」状態だ。それでも,自宅で我慢する都市部の方に比べれば恵まれている。
本種はミヤマといっても,深山に行かなくとも低山で普通に見られる植物だった。昔の記憶をたよりに数箇所を訪れたが,全く見当たらない。ようやく最後に訪れた沢沿いで写すことができた。花をつけた個体は数個体,どの個体も貧弱で約10数㎝の草丈である。ここにはカタクリも群生していたが,数えられる程度で昔の面影は皆無。普通に見られたカンスゲはほとんどが刈られているような状態,ここでもシカの食害は酷い。ミヤマエンレイソウの毒はシカには関係ないのだろう。
登山にも自粛ムードが高まり,人の気配のない山麓や沢沿いでの散策に留めている。狭い盆地内で「井の中の蛙」状態だ。それでも,自宅で我慢する都市部の方に比べれば恵まれている。
本種はミヤマといっても,深山に行かなくとも低山で普通に見られる植物だった。昔の記憶をたよりに数箇所を訪れたが,全く見当たらない。ようやく最後に訪れた沢沿いで写すことができた。花をつけた個体は数個体,どの個体も貧弱で約10数㎝の草丈である。ここにはカタクリも群生していたが,数えられる程度で昔の面影は皆無。普通に見られたカンスゲはほとんどが刈られているような状態,ここでもシカの食害は酷い。ミヤマエンレイソウの毒はシカには関係ないのだろう。
クロモジ
高級爪楊枝の材料
クロモジ(雌雄異株の落葉低木)から作られる爪楊枝は高級品として知られている。和菓子に添えられ,茶道や華道にも用いられてきた。枝葉や果実から抽出した油は香料に使われた。葉芽と対の花芽からなる特徴的な冬芽は面白い被写体であるが,お見せできるような写真が見つからない。雌雄の花をセットで掲載すべきところ,今回は雄花のみとさせていただく。
※写真追加のお知らせ → 2020-03-21のイヌナズナに写真Dを加えました。
クロモジ(雌雄異株の落葉低木)から作られる爪楊枝は高級品として知られている。和菓子に添えられ,茶道や華道にも用いられてきた。枝葉や果実から抽出した油は香料に使われた。葉芽と対の花芽からなる特徴的な冬芽は面白い被写体であるが,お見せできるような写真が見つからない。雌雄の花をセットで掲載すべきところ,今回は雄花のみとさせていただく。
※写真追加のお知らせ → 2020-03-21のイヌナズナに写真Dを加えました。
トウゴクサバノオ [シロカネソウの仲間]
復活! 凛として咲く
2016年12月9日以来,2度目の掲載となる。前回撮影した自生地は消滅したが,5年を経て少し離れた路肩で強かに復活していた。径1㎝に満たない花であるが,クローズアップすると清らかで美しい。開花には十分な日照を必要とするので半開の花が多い。正式には淡黄色の花弁状は萼片で本来の花弁は橙黄色部で蜜を出す役割もある。一対の暗緑色部はサバノオ(鯖の尾)の由来となる果実で中には種子が詰まっている。この植物は茎の基部に閉鎖花をつけることから繁殖力も持ち合わせているようだ。本来は渓流畔や谷筋で被植の少ないところに群生するるが,わずかな間隙に適応していた。
2016年12月9日以来,2度目の掲載となる。前回撮影した自生地は消滅したが,5年を経て少し離れた路肩で強かに復活していた。径1㎝に満たない花であるが,クローズアップすると清らかで美しい。開花には十分な日照を必要とするので半開の花が多い。正式には淡黄色の花弁状は萼片で本来の花弁は橙黄色部で蜜を出す役割もある。一対の暗緑色部はサバノオ(鯖の尾)の由来となる果実で中には種子が詰まっている。この植物は茎の基部に閉鎖花をつけることから繁殖力も持ち合わせているようだ。本来は渓流畔や谷筋で被植の少ないところに群生するるが,わずかな間隙に適応していた。
ヤマアイ
オランダミミナグサ
コオニタビラコ [キクの仲間]
ようやく見つけた春の七草
諸説あるが,春の七草の「ホトケノザ」として考えられている。ハコベ,ナズナに続いて3つ目となるが,シソ科のホトケノザと混同されたり,同じキク科のヤブタビラコやオニタビラコと名が類似したり,非常に紛らわしい名前の一つである。
稲刈りのころに芽生え,翌年水が入れられるまでに結実する生活史をもつ。稲作とともに日本に入ってきた史前帰化植物という説もあるが,本種が生育する水田は近年激減している。伝統的な耕作をする水田で見られ,休耕田や湿地などではほとんど見られないという。激減の要因に圃場整備をあげる人もいるが,「田起こし」の時期が田植え前から晩秋及び冬季に移行したことも大きな要因であろう。秩父でも伝統的な水田耕作はほとんど行われていないが,圃場整備が完了した田んぼで偶然見つけた。大型農機が入り込めない畦際で強かに生育していた。
諸説あるが,春の七草の「ホトケノザ」として考えられている。ハコベ,ナズナに続いて3つ目となるが,シソ科のホトケノザと混同されたり,同じキク科のヤブタビラコやオニタビラコと名が類似したり,非常に紛らわしい名前の一つである。
稲刈りのころに芽生え,翌年水が入れられるまでに結実する生活史をもつ。稲作とともに日本に入ってきた史前帰化植物という説もあるが,本種が生育する水田は近年激減している。伝統的な耕作をする水田で見られ,休耕田や湿地などではほとんど見られないという。激減の要因に圃場整備をあげる人もいるが,「田起こし」の時期が田植え前から晩秋及び冬季に移行したことも大きな要因であろう。秩父でも伝統的な水田耕作はほとんど行われていないが,圃場整備が完了した田んぼで偶然見つけた。大型農機が入り込めない畦際で強かに生育していた。