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ミヤマツチトリモチ [寄生植物]

ツチトリモチ科3種め
 はじめて見た時にはキノコの一種か,と思うほど異質な植物,さらに種子植物と聞いて驚いた。日本には雌株のみが確認され,単為生殖をおこなうと説明されて2度ビックリ。所持する図鑑にはかなりのスペースを割いて事細かく記述されている。
 この日は3度目となる観察,改めて場所によって個体差が大きいことが分かった。撮影した個体(写真A,B)はウリハダカエデに自生していた。山中で出会った方は,オオウラジロノキにも寄生し,シカによる食害もある,と言った。食害については,裏付けとなる塊根(写真D)を6年前に写していた。図鑑には,渓流近くの斜面に発生するものが多い,とあるが,筆者がこれまで観察したのは,いずれも渓流から離れた山腹から尾根である。まだ分からないことが多いのかもしれない。
 ※ 写真は上から順にA~D
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ミヤマツチトリモチ(ツチトリモチ科)Balanophora nipponica 深山土鳥餅
 本州(秋田県・岩手県以南)~九州に分布,標高500-1,600m(1,000m付近のところが多い)のほとんどが積雪地帯の落葉樹林に生育する多年草。寄主はカエデ属のイタヤカエデ,ウリハダカエデ,ヤマモミジ,コミネカエデなどのほか,イヌシデ,クロヅルなどで,まれにウワミズザクラ,ダケカンバなどに寄生する。渓流近くの斜面に発生するものが多い。雌雄異株であるが,雄株は発見されていない。高さ8-14㎝,根茎は表面に星状の白い皮目が散在し,多数の大小不同の小さな根茎支に分かれ,そのうちのいくつかから一度に花茎を出すが,他の根茎支は栄養を十分に蓄積したものから,次々に毎年花茎を出す。年数が経つにつれて,根茎と寄生の根の先端の接合部は肥大化して木化し,球形になり,寄生木こぶを生じ,径5-9㎝になるが,まれには20㎝に達する。寄生木こぶが肥大するにつれて花茎の発生力が衰え,ついに地表にこの木こぶだけが残るようなり,その周辺に細い根を放射状に出して養分の吸収をして,さらに肥大を続ける。花茎は1個の根茎に普通3-4個,ときには10個以上生ずる。花穂は長楕円体~楕円体で,橙赤色~橙黄色,ときに淡い赤みの混じった枯草色で,色の変化が多い。小棍体の表面は平である。雌花は小棍体の間に無数に埋もれている。花柱は花の初期には短いが,盛期になると長く伸びて小棍体の間から出て,細毛状に見える。花期は7月下旬~8月中旬。花期を秋と誤り伝えられているのは,果期に見る機会が多いためと思われる。(A,B:2021.8.26 C,D:2015.8.1)

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