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キイレツチトリモチ [寄生植物]

葉緑素をもたない寄生植物2
 ツチトリモチ属Balanophora は,雌雄同株であるかどうかで分類されている。本種は同株のグループに入る。こぶ状に分岐する塊茎支を形成するというが,花茎を生じた株はその年限りで腐って消滅することから,1年生あるいは2年生とする考え方もあるようだ。この自生地では写真上のような群生が点在しており,株を踏みつけないよう細心の注意を払って観察した。
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キイレツチトリモチ(ツチトリモチ科)Balanophora tobiracola 喜入土鳥黐
 四国(高知県)・九州(長崎県・宮崎県・鹿児島県)・南西諸島から台湾を経て中国及びインドシナ半島に分布,暖かい地方の,主として海岸近くの自然林中に生える多年草。雌雄同株。塊茎は平滑でやや光沢があり,皮目がなく,多数の小さな塊茎支が集まっている。1個の塊茎から出る花茎の数は3-10個で,花時の高さは1-5㎝,全体乳黄白色,まれにやや赤みを帯びる。普通花茎を生じた株はその年限りで腐って消滅する。花序は楕円体から長卵状で,1個の花序に雄花と雌花がつく。雄花は散生し,肉眼ではっきり見える大きさだが,雌花は小棍体の間に埋もれているので外部からは見えない。小棍体のクチクラは平滑。雄花は短い柄があり,花被は3裂して,内側がくぼんだまま開く。中央に柄のない3個の葯があり,白色の花粉を出す。盛期を過ぎると,雄花は茶褐色に変色し,やがて黒化する。雌花は花被がなく,紡錘状で乳黄色。花柱は初め短いが,花の盛期に急に伸び出し,柱頭を小棍体の間から現して受粉する。花期は10月下旬ー11月中旬。果序は花序に比べ大きく膨らみ,高さ10㎝に達する。人工接種も試みられ,接種後2年後で花茎を生ずることが確認されている。寄主はトベラ,シャリンバイ,ネズミモチであるが,まれにハマヒサカキ,ツルウメモドキにも寄生する。和名は初採集地(鹿児島県喜入町)に因む。 (2020.11.19)

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