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ナカガワノギク [キクの仲間]

特殊な環境に生える野菊
 キク属Chrysanthemum では珍しく渓流に適応した野菊といわれている。分類上,葉の基部の形や総苞片の長さで類似するリュウノウギクとは,葉の形や染色体数の違いで区別されている。自生地の多くは増水時には水没することもある。こうした環境に適応するために葉の形が進化したと考えられている。
 何度も行けるような地域ではないので,本種に関する情報収集を事前に行ってきた。その中で最近発表された調査報告「ナカガワノギクの自生地と地質について」(福富純一郎他.2018)を興味深く拝読した。自生地の様子は秩父地方にある三波川変成帯「長瀞の岩畳」を思わせるが,実際には海底でマグマが冷え固まった火成岩と思われる。
 橋梁工事の影響で予定よりも到着が遅れた。陽は傾きはじめ,快晴で強い日差し,どちらかといえば避けたい条件で撮影した。満足な写真はほとんどない。

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ナカガワノギク(キク科)Chrysanthemum yoshinaganthum 那賀川野菊
 徳島県那賀川水系に分布,川岸のやや乾いた崖に生える多年草。茎は叢生し,斜上して高さ60㎝内外,多く分枝する。葉はやや厚く,葉身は倒卵状くさび形または倒披針状くさび形で,長さ4-5㎝,幅1.5-2.5㎝,深く3中裂または浅裂し,3脈が目立つ。表面は密に短毛があり,裏面はT字状毛を密生して灰白色,葉柄は5-10㎜。花期は11-12月。頭花はやや散房状につき,径3-4㎝。舌状花は白色,のちに淡紅色となる。総苞は長さ9-10㎜,総苞片は3列でほぼ等長,外片は線形,灰白毛があり,やや草質である。痩果は長さ1.5㎜。染色体数2n=36。 (2020.11.17)

【参考文献】
福富純一郎他. 2018. ナカガワノギクの自生地と地質について.  植物地理・分類研究. 66(2): 121-133
いがりなさし. 2007.  山渓ハンディ図鑑11 日本の野菊:  41-42 山と渓谷社
大橋広好他. 2017. 改訂新版 日本の野生植物5 : 335,337-338 平凡社 

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