SSブログ

アメリカネナシカズラ [寄生植物]

要注意外来生物指定
 新型コロナウイルスのデルタ株には他の株に比べて段違いの感染力があるという。8月26日の朝刊記事では,このデルタ株を雑草の「ひっつき虫」に例えて報道している。
 「ひっつき虫」を体験した者や植物の知識のある者には,これが刺の多いオナモミ(キク科)の果実であることは直ぐに思いつくであろう。ネット検索してみると学校現場などでは,この記事が既に引用されている。感覚的には分かりやすい「例え」であるが,個人的には違和感を感じた。科学分野である医学に携わる者であれば,科学的に論じるべきと思うからだ。
 デルタ株に例えられたオナモミは,今や雑草という格付けではなく絶滅危惧種に指定されるほどの希少種だ。すでに東京都や近畿地方では絶滅種。種子には動脈硬化の予防となるリノール酸が多量に含まれ,漢方薬などでも使われる,という。拡大解釈によってオナモミが除去されないことを願う。
 
 いつものことながら前書きが長くなってしまった。新聞記事を読んだ翌日,凄まじい植物に出会った。何度も見ているが,こちらの方が段違いに悪影響を与える植物である。国立環境研究所侵入生物データベースを参照すると`50年以上,動物の胃中でも生存´とある。真偽はやや疑いたくなるが,こちらの方が例えには相応しい。河川敷100m以上にわたって写真Aの状態が続く。
 ※ 写真は上から順にA~D
amerikanenashikazura.jpgamerikanenashikazura2.jpgamerikanenashikazura3.jpgamerikanenashikazura4.jpg
アメリカネナシカズラ(ヒルガオ科)Cuscuta campestris 亜米利加根無葛
 北アメリカ原産の1年生の帰化植物。ヨーロッパ,アジア,ロシアなど極東地方に帰化しているつる性の寄生植物である。全体に淡黄色~淡黄赤色を帯びる。茎は細く,太さ約1㎜,分岐して左巻きに他の草本に巻きつき,所々に寄生根(吸盤)を出し,長さ50㎝内外。葉緑素を欠き,葉は退化。夏から秋にかけて花序を出し,直径3㎝の白色の花をかためて着ける。萼は先が5裂し,先は円い。花弁も5裂し,裂片は3角形,花筒内側の細裂する5鱗片,雄蕊5個,雌蕊1個,花柱2個。昭和40年代後半に東京中心に見いだされ,現在では九州から北海道まで全国的に発生する。道端や荒れ地のほか,野菜畑や鉢植えを含めた園芸植物に発生して被害を与えている。在来のネナシカズラは茎が太く細紐状で,山野に生え,花序は総状に伸びて穂状となる。本種の花序は穂状にならず固まって着くので区別がつく。(A:2021.8.27 B~D:2021.9.7)

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。