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シオギク [キクの仲間]

岬めぐり&野菊めぐり
 山渓ハンディ図鑑11日本の野菊(いがりまさし. 2007. 山と渓谷社)に「海岸を染め分ける野菊」(p38ー39)という図説がある。日本列島の全海岸線を踏破することは困難でも,この図を参考にすれば特定地域に分布する野菊を愛でることができる。今回は四国南部にある幾つかの岬を目標にして,その地方特有の野菊を観察した。
 シオギクはイソギク(犬吠埼~御前崎に分布)に似ているが,頭花の径,総苞外片の形,染色体数などに違いが見られる。観察すると頭花が大きい分,見応えがあった。ところが事前に承知していたことだが,本来のシオギク(写真A~D)はわずかしか見られず,様々な雑種(写真E)が蔓延っていることに愕然とした。原因はこの岬にはないノジギクを観光用に植栽したことにはじまる。野生化した雑種の除去作業が行われたが,その効果はあまりないように思えた。遺伝子汚染によるシオギクの衰退が顕著である。
※ 写真は上からA~E
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シオギク(キク科)Chrysanthemum shiwogiku 潮菊
 徳島県東端の蒲生田岬から太平洋側に沿って高知県物部川まで分布,海岸の崖に生える多年草。根茎を長く伸ばす。茎は斜上して高さ25-35㎝,下部は曲がって地につく。下部の葉は長柄があり,開花に枯れてない。中部の葉の葉身は倒卵形~長楕円形で,長さ4-5㎝,幅2.5-3㎝,基部はくさび形,上半部は羽状に浅~中裂し,裂片は広くて全縁または1-2個の鈍鋸歯があり,表面は緑色,縁は白色,密に腺点があり,裏面はT字状毛を密生し銀白色で,厚い。葉柄の長さは1-1.5㎝。花期は11-12月。頭花は黄色で,径8-10㎜,散房状につき,イソギクより少ないが,少し大きい。頭花の柄も少し長い。総苞は半球形,総苞片は3列で,外片は線形または狭長楕円形,中片より短い。縁の雌花の花冠は筒状,3-4歯がある。中の両生花の花冠は筒状で,長さ4㎜,5歯がある。痩果は長さ1.8㎜。染色体数2n=72。 (2020.11.18)

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