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ヤマトリカブト

変異に富む
 ヤマトリカブトの和名はよく知られているが,分布域は狭い(改訂新版・日本の野生植物2,2016),とされている。自宅から徒歩数10分の林縁(標高約250m)に数株のトリカブトが毎年咲く。分類が面倒な植物を少しでも理解すべきと思い,じっくり観察した。
 屈毛の生える花柄(写真C),葉及び葉柄は無毛(写真D),疎らな毛のある雄蕊(写真E),などを確認して同定した。
 ※ 写真は上から順にA~E
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ヤマトリカブト(キンポウゲ科)Aconitum japonicum subusp. japonicum 山鳥兜 別名 ハコネトリカブト
 本州(栃木県~愛知県)に分布,温帯域の林内や林縁,ときに山地草原に生える擬似1年草。変異に富んだ植物である。
 茎は高さ60-200㎝,普通斜上して先端が垂れ,中部でよく分岐するが枝はあまり伸長しない。
 根出葉と下部の葉は花期に枯れる。中部の茎葉の葉身は5角形状~5角形状円形,長さ6-17㎝,幅6-22㎝,3深裂~中裂し,裂片は粗い鋸歯があるか羽状に切れ込み,鋸歯または欠刻片は卵形~卵状披針形で幅2-5㎜。葉柄は長さ2-8㎝。葉脈や葉柄に屈毛は見られない
 花期は8-11月。花は長さ5-8㎝の散房状~総状花序に1-5個ほどが着き,青紫色~青色あるいは赤紫色,まれに黄白色,長さ3-5㎝。花柄は長さ3-10㎝,屈毛が生え,小苞は線形~披針形で長さ3-10㎜,花柄の中部に着く。
 上顎片は円頭の円錐形~僧帽形,嘴は長くあるいは短く,長さ20-28㎜。
 花弁は無毛あるいはまれに有毛,舷部の長さは9-13㎜,強く膨らみ,距は普通細くかつ長く,180度以上に内曲し,まれに短く囊状,唇部は長さ2-4㎜,先端は2浅裂し,反り返る。
 雄蕊は有毛ときに無毛。雌蕊は3-4(-5)個,無毛あるいは屈毛がある。袋果は長さ10-15㎜,直立するかときに斜開し,種子は長さ4㎜。染色体数2n=32。

 風衝草原に生える直立型をハコネトリカブトとして区別することもある。
 ヤマトリカブトの和名はよく知られているが,分布域は狭い。(2022.10.11)


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