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チチブリンドウ [リンドウの仲間]

「秩父」を冠した植物
 居住地の名前が、良い意味で世に出ることは嬉しいものである。有名なもので思いつくのは、祭や地質に関するものが多い。今回取りあげる希少な植物は、地元でもあまり知られていない。
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チチブリンドウ(リンドウ科)Gentianopsis contorta 秩父竜胆 別名 ヒロハヒゲリンドウ
 本州(埼玉、群馬、長野、滋賀)の一部に分布、深山に稀に生える1年草、越年草。
茎は高さ8-15㎝、単一またはわずかに分枝。環境省カテゴリでは絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。アカイシリンドウ(2017.9.14)と同じシロウマリンドウ属Gentianopsis である。

 本種については、数件の参考資料をもとに紹介したい。
 秩父出身の植物研究家・清水大典氏が秩父山地・十文字峠の石灰岩地帯で採集した(1952年)のが最初で、この時は花をつけていないことから種名が分からなかった。その後、清水氏は佐竹義輔博士ともに同地を訪れ、たった1本だが花をつけた個体を見つける(1960年)ことができた。佐竹博士の研究結果、日本からはるか離れたヒマラヤ山中を原産地とし、中国の雲南省と熱河省、さらには中国北東部に隔離分布する大変珍しい植物ヒロハヒゲリンドウであることが明らかになった。その後、秩父山地では40年以上にもわたって確認されることがなかったが、地元の植物研究家I氏によって再発見された。
 植林された急斜面の石灰岩地帯で数十個体を確認した。今年、現地には2回訪れたが、両日とも開花しているものは2~3個体。それも写真のような半開きの状態で、閉じているものが多い。茎が10㎝を越えるものは分枝し、各先端に花をつけていた。写真上には、好石灰植物といわれるクモスノシダも生えている。(2017.9.27)


【参考文献等】
佐竹義輔.秩父で発見されたヒマラヤ系リンドウ科植物について.秩父自然科学博物館研究報告.1955,6(43),p1-3
永野巌.埼玉四季の植物.埼玉新聞社.1990
佐竹義輔他.日本の野生植物 草本Ⅲ合弁科類.平凡社.1981

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