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希少になった桃源郷の花々 [デジタル化]

昔の写真シリーズ1
 ポジフィルムのデジタル化が進みはじめたので、しばらくは昔の写真を紹介したい。
 1980年代は秩父盆地にある西部山域によく通った。約1000mの石灰岩の山や桃源郷といえるような素晴らしい地域があった。クマの出没はまれで、シカを目撃することも少なかった。林道工事が始まる前で山仕事をしている人も多く、昔ながらの道が明瞭に残っていた。今では真逆の地域になってしまった。
utyouran1983.jpgsyunran1984.jpg

ウチョウラン(ラン科) Ponerorchis graminifolia 羽蝶蘭
 山地の湿った岩壁、人家の屋根などにもはえる。本州(関東以西)、四国、九州に分布。紅紫色の花に人気があり、山野草として栽培されてきた。湿り気のある岩壁にイワヒバなどと一緒に生えていたが、昭和40年代からのウチョウランブームで商業的な大量採集の対象となった。私がこの山域に通っている時にも、ロープを使用して岩壁に取りつき、イワヒバと共に取り尽くしている現場を見かけている。手の届く所にある野生の個体は、取り尽くされたといっても過言でない。今日では写真のような個体は皆無である。人間の欲というものは恐ろしい限りである。(1983.7.7)

シュンラン(ラン科) Cymbidium goeringii 春蘭(別名 ホクロ、ジジババ)
 北海道から九州の比較的乾いた落葉樹林に広く分布する。古くから親しまれている日本の代表的な野生ランである。山菜としても用いられたり、塩漬けにしてお茶として飲用することもあった。異なる花弁のものを品種として珍重したことから、観賞用として乱掘された。そのため、この山域でも貴重な植物になってしまった。野外で写真のような個体に出会えることは非常に少ない。(1984.4.15)


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