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ウラシマソウ

長く伸びた付属体
 昔,山野で遊んでいた時,子供心に何と不気味なものがあると思った。この花が咲く頃から出るヘビと同じような感覚があった。俗称を「ヘビクサ」という地方があるそうな。釣糸に見立てた付属体の元に本来の花がある。
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ミミガタテンナンショウ

テンナンショウ属は難解
 秩父盆地周辺では比較的によく見られるが,外見上の同定ポイント,花の構造や名称など特異で分かり難い。種内変異だけでなく地域個体群間でも変異が大きいのでよりとっつき難い。まさに研究者の領域である。
 図鑑に本種の特徴に「口辺部が耳状に広く開出」とあるが,類似種ヒガンマムシグサと共有する特徴が多く,検索表を読み込んでいくと迷路にはまる。最終的に自生する環境から同定した。
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ムラサキケマン

黄花以外のキケマン属
 これまでにエンゴサクの仲間5種(ヤマエンゴサクミチノクエンゴサクオトメエンゴサクジロボウエンゴサクキンキエンゴサク)を取り上げた。これらは花色に濃淡はあるが紅紫色~青紫色(まれに白色)の花をつけ,地域などで分布を分けている。本種だけが日本全土で見られる植物である。
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キシダマムシグサ

自信のない同定
 サツマイナモリが群生する谷間で見られた。ほとんどの株に白斑が入ることや,舷部の先端が糸状に伸びることが特徴であった。この地域では普通に見られる植物のようだ。小葉の縁が全縁のものから鋸歯あるものまで様々である。
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サンショウソウ

初見の地味な花
 サツマイナモリの群生に隠れるように生えていた。初見の植物で全く不明,分かるのはイラクサ科程度で証拠として写した。球状に集まって腋生しているのが集散花序,写真は全て雌株ようだ。周囲には雄株は見当たらなかった。
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キンキエンゴサク

変種から種へ
 日本の野生植物(1982.平凡社)ではヤマエンゴサクの変種であったが,改訂新版(2016.平凡社)では種として扱われている。
 花序に花数が少ないこと,楕円状で小型の小葉などが本種の傾向という。しかし,花期に両種を区別するのは困難で,種子の状態を見て分類するという。しかも素人レベルで種子を観察するのは容易ではないようだ。
 ここでは一般的な傾向と自生する地域をふまえて同定した。改訂新版に我が「秩父地方にも分布」という記述に驚くとともに来年以降地元の
ヤマエンゴサクを注視したい。
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ヤマトチャルメウソウ

オオチャルメルソウではなくヤマトチャルメルソウ
 一度は「オオチャルメルソウとチャルメルソウを比較」として掲載したところ,拙ブログの読者から「オオチャルメルソウは九州のみの自生」というご指摘を頂戴した。根拠となる文献等を検索すると「日本産チャルメルソウ属および近縁種(ユキノシタ科)の自然史」(奥山雄大.2015)という論文が見つかった。論文には次のような記載があった。
 従来近畿地方に分布するオオチャルメルソウとされていたものだが,著者による分子系統解析と交配実験の結果,四国,九州のオオチャルメルソウとは全く異なる種であることが明らかとなった(Okuyama and kato 2009)。近畿の大和地方が分布の中心であるため,この和名を与えた。雌性両全性異株。なお,開花期であれば形態でも花序あたりの花数,花弁の分裂数,雌蕊の形状などでオオチャルメルソウとは比較的容易に区別できる。また本種はオオチャルメルソウとと異なり,ミカドシギキノコバエの訪花を受けない点で生態的にも異なっている。また花には鼻で感じられるにおいがほとんど無くライラックアルデヒドも放出しない。<以下略>
 ここでは学名は標準ではなく,根拠となる論文に従って異分類のものを引用した。
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サツマイナモリ

異形花柱花
 本種には,長い花柱で位置の低い雄蕊をもつ花(長花柱花:写真A)と短い花柱で高く位置する雄蕊ももつ(短花柱花:写真B)の2タイプがある。サクラソウ属も同様である。
 分布の東限である房総半島でも見られるが,ヤマビルの猛威が恐ろしくて行く気になれない。今回訪れた自生地にはヤマビル情報は皆無,安心して白い絨毯を堪能した。
 ※ 写真は上から順にA~F
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アオハコベ

地味で花弁のない花
 ヤマハコベ S. uchiyamana var. uchiyamana を基本種とする変種で花弁のないタイプ,10年程前に本変種の存在を教えてもらった。目的のサイコクサバノオに満足して遅い昼飯をとっていた近くの草地に存在することを把握していたので,偶々居合わせた方と一緒に探した。期待していなかったが,わずかな時間で見つかった。種小名apetala は「花弁のない」である。
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ミヤコアオイ

都に多し
 比較的広く分布する種といわれている。この日歩いたコースの随所で見かけた。写真上は山麓の歩道脇で,下は中腹の沢沿いで写した。先が地面に埋もれたような状態で咲き初めていた。下の写真では表土が流されて節くれ立った葉痕が見える。
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カタクリ

カタクリの寿命
 秩父地方では小鹿野町や旧荒川村(現秩父市)に有名な群生地があった。拙ブログでも2017-02-07桃源郷の春で紹介した。どこでも見られる植物だったが,シカの食害や落葉広葉樹林の荒廃でこれらは消滅した。やむを得ず多地域の数箇所で春の訪れを味わった。

 種子から発芽して花を咲かせるまでに7-9年の歳月を要すことは知っていたが,その一個体にも寿命があることを体感した。数個体が残る自生地で継続観察してきたが,数年前から個体小さくなり,今年は花を着けなくなった。カタクリの寿命に関する分献等は見つからなかったが,諸説があり平均寿命は40-50年と推定されている。見守ってきた個体の寿命は40年足らずと思われ,意外と短い。白花品の種小名  f. leucanthum は「白い花の」である。

 長年にわたりカタクリを観察してきてカタクリの生育斜面には一定の方位があると感じていた。興味深い研究報告を見つけた。この論文に次のような要旨がある。
 カタクリの生育地は北向きの斜面に偏る傾向があり,10調査地点では,N90°E(真東) ~ N88°W(ほぼ真西)の間に限られていた。海抜400mを超える地点では,生育地の斜面方位が西に偏る傾向がわかった。(須永 智 1998 「カタクリの生育斜面の方位特性について」 群馬県立自然史博物館)
 ※ 写真は上から順にA~E
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キバナノアマナ

写欲をそそる群生
 2017-04-05以来,2回目の投稿となる。前回と同じ自宅近くにある自生地で撮影した。久しぶりに良い個体が群生していた。
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シロボウエンゴサク

紅紫色の次郎坊
 一般的な傾向では平野部で普通に見られるようだ。山間部の秩父地方ではヤマエンゴサクが優占し,ほとんど見かけない。伊勢地方で本種を「次郎坊」,スミレを「太郎坊」と呼んだことが和名の由来という。花の色は紅紫色から青紫色で色の薄いものもある。
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シデコブシ

大古に存在した湖の周辺に分布
 本種は庭木として普通に植栽されている。野生種は周伊勢湾の丘陵地の限られた湿地に生える希少固有種である。自生地は数百万年前に存在していた大きな湖の周辺とほぼ一致するという。この湖に堆積した良質の粘土は有名な焼き物産業の原料になっている。
 モクレン属Magnolia の別の種と交雑が確認されているが,撮影地はほぼ純粋のものと考えられている。
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クリハラン

4月はシダでスタート
 ムカゴネコノメソウイワボタンが生育する沢沿いでは随所に群生していた。関東地方南部以西から九州,沖縄本島を主な分布とする。埼玉県RDBカテゴリーでは絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されている。大柄で光沢のある単葉はよく目立つ。ここでは被写体として状態の良いものが多く少々時間をかけて撮影した。
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ハヤザキヒョウタンボク

上品な花を堪能
 まだ山眠る頃,他に先立って開花する。冬枯れの中でも目立ちにくい花はクローズアップするととても美しい。
 季節が早く進んだ昨年2023年,すでに葉が伸びて花の面影は全くなかった。今季は開花がより早い別の自生地を先に訪れた。記録的な暖冬から急激な寒の戻りで開花を心配したが,尾根沿いで独特な樹皮に咲く花を運良く発見。花づきの悪いものが多く黄ばんだ花も見かけた。最も大きな個体でなんとか撮影することができた。

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セツブンソウ2024

2024年花巡りスタート
 2023年12月から2024年2月の平均気温は過去2番目に高い記録的な暖冬という。秩父地方も同様で三大氷柱は僅かな期間で終了した。暖冬の影響を受けて恒例のセツブンソウ巡りも早まると思われたが,2月5~6日に降った雪(積雪27㎝)の影響で開花はほぼ平年並み。これ以降にも降雪が数回あり,今季は背景に雪のあるセツブンソウ(写真CDF)を写すことができた。
  過去のセツブンソウは2017201820192020202120222023を参照していただきたい。
 ※ 写真は上から順にA~F
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ミヤマシキミ

億両まであったとは・・・
 昔から「千両万両有り通し」(=お金は1年中いつも有る)と縁起を担いできた。一両には音が同じアリドオシをあてた。すでにマンリョウ(万両センリョウ(千両)カラタチバナ(百両)ヤブコウジ(十両)アリドオシ(一両)は掲載してきた。本種を億両とする根拠はよく分からないが,赤い実をたくさん着けることに因るのかもしれない。赤い実とともに多くの蕾を着けていた。仏事や神事に用いられるシキミとは別の仲間(マツブサ科)となる。
 2024年元旦の記事として準備したが掲載を取り止めた。縁起を担ぐどころではない元旦になってしまった。
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センリョウ

正月の縁起物(その2)
 冬に赤い実をつけることから,正月に切枝として珍重される。葉よりも上に実があるので美しさは万両を凌ぐ。野生化するマンリョウに比べて関東地方では出会える機会は少ない。9年前に某自生地で撮影したものを掲載した。
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マンリョウ

正月の縁起物
 埼玉県植物誌(1998年版)に次のような記載がある。
 マンリョウ(逸) 自然分布域は房総半島より南の暖地性植物,本県では栽培品が野生化し広い範囲に生育,<略> 縁起物に利用,種子は鳥が散布,自然発芽で繁殖。

 調査から四半世紀が経過し,逸出した植物は自然発芽の繁殖を繰り返し野生種といわれても違和感を感じない。西川材となるスギ植林下で群落を形成していた。
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ネコシデ

未同定の植物から(その1)
 未整理の写真から数種を同定することができた。最初は今年オゼソウを撮影後,下山途中で観察したものを取り上げた。
 樹皮,枝の皮目,果穂からすぐにカバノキ科と分かったが,気に入る写真ではなかったのでお蔵入りしていた。同定には葉縁の「鋭く粗い重鋸歯」が決め手となった。「シデ」がつくアカシデイヌシデはクマシデ属Carpinus に,本種はカバノキ属
Betula に分類されている。
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ノササゲ

目立つ豆果
 落葉が舞う季節になった。花はほぼなくなり,被写体は実に変わる。つる性の多年草は珍しいものではないが,草刈りや伐採などで果期にはなくなることもある。本種はどちらかといえば半日陰で見かけること多い。具体的には東向きの林縁で午後は日陰になるような場所で観察してきた。 
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ヤブサンザシ

赤い果実が映える
 2021-11-29は果期終盤であったが,自宅近くにある自生地2023-04-05では旬を迎えた果実を見ることができた。緑と赤のコントラストがとても美しい。
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ヤシャビシャク

至近の着生植物
 2019-05-15では花が葉などに紛れて見え難かったが,この株は大径木の視界の良い樹幹に着生していた。径1㎝ほどの果実が肉眼でも確認できる高さにある。
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オクトリカブト

残り花で満足
 草紅葉の季節で花は期待していなかったが,「屈毛が密生する花柄」「目立たない疎らな屈毛がある葉柄」を確認できる残り花があった。長い猛暑の影響で枯れたものも散見された。形態的変異が著しく,草原に生えるものは茎が直立,林内や林縁では斜上して先端は垂れる傾向にあるといわれている。茎が直立するものをオゼトリカブト(写真BC)と呼ぶが分類上では区別しない。
 ※ 写真は上から順にA~D
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スギナモ

初見の水生植物
 水底が全く見えないほど清らかな流水に水草が繁茂していた。1960年頃,尾瀬沼で異常繁殖したコカナダモを一瞬疑った。近づけない距離にあったのでカメラ内で拡大すると初見の種と感じ,帰宅して図鑑等で改めて確認した。北半球の寒冷地にも分布する北方系の植物と思われる。花期になると水上に立ち上がり葉腋に花を着ける。
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ヒツジグサ

半世紀ぶりの尾瀬ヶ原は観光
 開花時刻は未の刻とは限らない。昼間に開き夜は閉じる。これを数日繰り返し寿命を終えると思われる。埼玉県では野生絶滅となっているが、環境省のカテゴリーでは無指定である。栽培種が多く,野生自生種はかなり少ないようだ。
 今回は尾瀬ヶ原を見たことがない妻のリクエストで訪れた。快晴,無風,花はなく草紅葉は見頃でまさに観光,三脚は持たずスナップ写真に徹した。
 山の天気は激変しやすく,この数日後至仏山(写真C)の山頂部は冠雪した。花期はとうに過ぎているので別の地で写した未公開の過去写真(写真DE)を取り上げた。この時は三脚を立てて無風状態を待って撮影した。

 ※ 写真は上から順にA~E
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ミズオオバコ

沈水植物の花
 富栄養化の浅い水域の代表的な水田雑草であったが現在では絶滅危惧Ⅱ類(UV)に指定されている。空気中では水分を保てないので沈水葉となり花だけが水面に現れる。
 水田に繋がる古い用水路で撮影中,「何を撮っているのかい?」「数日前に水路の水を抜いた」など,水路に隣接する水田で雑草駆除中の方と様々な会話ができた。この水田では多くの雑草は水路から侵入するという。
 稲作では厄介な植物であるが,開花期と水路の落水時期が重なり葉も観察することができた。

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トチカガミ

葉裏に浮袋のある水草
 水田地帯の湖沼などに生える浮葉性の多年草,花(雌雄異花)は1日で萎む。花後の昨年をふまえて早めに訪れた。嬉しいことにまさに見頃,多くの雄花に混じって雌花も確認できた(写真下)。水面下でランナーを伸ばして増殖し,混み合ってくると葉は立ち上がる。
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アブラガヤ

風景に映えるカヤツリグサ科
 見晴らしの良い風景が広がる場所では不得意の植物も魅力的に見える。別のカヤツリグサ科を狙ったつもりが,普通に生えるアブラガヤを誤って写してしまった。
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