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ユウシュンラン [ランの仲間]

キンラン属Cephalanthera 1種追加
 ユウシュンランに関するある文献を参考に県内の石灰岩地を25年ぶりに訪れた。骨折した人に伴って,地形図を見ながらゆっくり下山したことがあるので,今でもこのルートは記憶している。当時の明るい樹林地にはスギが植林されて少し様子が変わっていた。希少種なのであまり期待していなかったが,登山道に沿って自生は3箇所,その内1箇所では数10個体を確認することができた。
 落葉樹林の腐植土の厚い斜面に生育するとされているが,腐植土の厚い斜面に生育している個体(写真上・中)もあれば,腐植土が流出した登山道上に生える個体(写真下)もあった。写真上の中央左には露出した白粉のような菌糸がぼんやりと写っている。菌糸が発達するような環境に生える個体は大きく生育していた。これでキンラン属Cephalanthera 5種1品種キンランギンランササバギンランクゲヌマラン,ユウシュンラン,ヤビツギンランを見ることができた。
 種小名subaphylla は,接頭語sub-(=ほとんど)及び aphylla→aphyllus(=無葉の)と解釈することができる。
※ 写真は上から順に上,中,下
yuushunran.jpgyuushunran2.jpgyuushunran3.jpg
ユウシュンラン(ラン科)Cephalanthera subaphylla 祐舜蘭
 北海道~九州に分布,亜寒帯~暖温帯の落葉広葉樹の林床に生育し,都市近郊でも見られる。開花時の高さ10-15㎝。葉は退化して1-2枚の鱗片状で,長さ約3㎝,幅1-1.5㎝。小型になっているのは,菌への栄養依存が高く光合成機能が退化しているためと考えられる。
 花期は4-6月。花序あたり花を2-5個つける。白花は上向きで半開。萼裂片は披針形で,長さ約9㎜,側萼片は歪んでやや長い。唇弁には褐色の筋があり,距が長く突き出る。
 ギンランの変種とする見解もあるが,葉とともに,花被片相互の間に少し隙間があるなど,花の形態が異なっているため,独立種とするのが適当である。
 和名は,植物学者の工藤祐舜(1887-1932)氏に因む。(2022.5.6)

【引用文献】遊川知久,2015.日本のランハンドブック1低地・低山編:61

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