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ヤマコウバシ

雨水
 二十四節気に相応しい温かい朝を迎えた。市街地に近いセツブンソウ自生地では蕾を確認できるようになった。今回取り上げたのは目立たないヤマコウバシの冬芽,理由は次の3点である。
 ・クスノキ科クロモジ属Lindera で混芽を着けるのは本種のみであること
 ・日本には雌株のみが分布で単為生殖を行うこと
 ・日本のヤマコウバシは1株の雌株から生じたクローンであること(2021,Forests)
 同じ仲間のアブラチャンダンコウバイクロモジなどに比べると花も地味であるが,2月中旬でも枯れた葉が落ちないので見つけるのは容易である。近年では「落ちない」ことから受験生の縁起物になっているとか。
 ※ 写真は上から順にA~D
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ヤマコウバシ(クスノキ科)Lindera glauca 山香ばし
 本州(関東地方以西)・四国・九州に分布,山地や丘陵地に普通に生える高さ3-5mの落葉低木。
 はじめ新枝には曲がった短い毛が生える。2年枝の樹皮は淡褐色で,縦に細い割れ目(写真A,B)が入る。
 冬芽は紡錘形,芽鱗は赤褐色,1つの冬芽には葉と花が入る混芽となる。
 葉は互生し,葉身は長楕円形~楕円形で長さ5-10㎝,幅2.5-4㎝。先端は鈍く,基部は広い楔形,縁は全縁で波打つ。葉はやや厚くて硬い。表面は濃緑色で光沢はなく,裏面は灰白色。葉は枯れても枝に残り,翌年の春に落ちる。
 花期は4月。展開しはじめた葉の間から淡黄色の小さな花を着ける。花は雌雄別株,日本には雌株しかなく,雄株なしで結実する。
 果実は液果,径約7㎜の球形で10-11月に黒く熟す。(AB2023.2.17,CD2023.2.18)

【参考文献】 中村みずほ・ななみさとし・奥野聖也・広田 俊・松尾あゆみ・須山義久・徳本隼人・吉原しずえ・伊藤朗 2021. 日本における無性生殖および有性生殖するリンデラ種(クスノキ科)の遺伝的多様性と構造.Forests,12(2):227

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