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ノミノツヅリ

雑草の美しさ
 肉眼で見るノミノツヅリはとても小さく弱々しい。径5㎜ほどの小さな花に目を向ける人は限りなく少ない。乾燥した道ばたや人家の庭にも普通に見られ,厄介もので草むしりの対象となる。ところがクローズアップで撮影すると雑草の花とはとても思えない。
 分子系統解析に基づくナデシコ科の分類体系では,オオヤマフスマ属Moehringia は狭義のノミノツヅリ属Arenaria の内群になることが分かった。(邑田,2012)
 オオヤマフスマの他,同じ仲間にはカトウハコベ,チョウカイフスマ,メアカンフスマ,アポイツメクサなどがある。カトウハコベ以降はなかなか見られない稀少種である。本種だけが雑草扱いとなっている。
 和名の由来は,ノミノフスマと同様で,ノミノ(蚤のように小さな),ツヅリ(布切れなどをつぎ合わせた粗末な衣服)といわれている。

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ノミノツヅリ(ナデシコ科)Arenaria serpyllifolia var. serpyllifolia 蚤の綴り
 ユーラシア原産で,今では世界中に雑草として広がり,日本でも北海道~沖縄に見られる。道ばた,荒地,畑地などに生える越年草。茎は細かく枝を分けて横に張り,下向きの短毛があり,高さ5-25㎝になる。葉は柄がなく、広卵形~長卵形,長さ3-7㎜,幅1-5㎜,先は鋭形,両面に毛がある。花期は3-6月。花は葉腋に単生し,全体として集散花序になる。萼片は長卵形,先は鋭尖形,3脈あって,長さ3-4㎜。白色花弁は倒卵形で萼片より短い。雄しべは10個,花柱は3個。
 全草に腺毛のある変種をネバリノミノツヅリ var. viscida といい,各地に分布する。(2021.5.24)

【参考文献等】
邑田仁・米倉浩司 2012.
日本維管束植物目録. 159. 北隆館

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