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ナチシダ [シダの仲間]

分布域拡大のシダ
 アジアの熱帯~亜熱帯に広く分布する常緑性のシダを日本最初の発見地で観察した。亜熱帯気候地の希少なシダと思っていたが,現在この地方では随所に生育している。適切な表現ではないが,雑草のごとくといっても過言ではない。大型のシダなので上方からのアングルでは撮り難いが,スギ植林地を通る旧道では幼株を真上から写せる(写真上)。この林下での優占種はナチシダである。聞くところでは,温暖化のうえにシカ忌避植物であることが,分布拡大の主な要因であるという。国指定天然記念物の自生北限地が,見直されることがあるかもしれない。
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ナチシダ(イノモトソウ科)Pteris wallichiana 那智羊歯
 本州(関東地方南部以西)・四国(香川県を除く)・九州・沖縄・小笠原諸島(父島)に分布,山地の湿った林下,林縁や崖下に堆積した土砂などに多く生育し,陽の当たる湿った場所にも生える。胞子体は大形で常緑のシダでアジアの熱帯~亜熱帯に広く分布する。初夏~初秋まで葉を展開し続ける。
 根茎は短く斜上し,葉柄基部とともに薄くて茶褐色の鱗片がある。葉柄は黄褐色,暗紫色で太く(親指ほど),高さ1mに達するものが多い。葉身は長さ・幅ともに1mを超えるものが多く,5角形状だが,基本的には頂羽片と一対の側羽片が先ず3岐し,さらに各側羽片の基部後側が鳥足状に大きい小羽片を分岐したものである。胞子嚢群は裂片の辺縁近くに線状に並び,辺縁は裏面へ折り返って偽包膜となり,胞子嚢群を外側から包み込む。
 和名は最初の発見地である那智山に因む。 (上2020.10.20 下2020.10.21)

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