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マツバラン [デジタル化]

過去の屋久島20
 これまで「過去の屋久島」で取り上げてきた多くのシダは,亜熱帯~熱帯に分布するものや屋久島に行かなければ見られないものがほとんどである。まさに恩師Y先生のご指導によるものである。
 今回のシダは秩父地方にも分布しているが,和名のごとく「松葉」数本が岩場から生える極めて貧弱な個体で,このような大株になるものは全くない。ヒモランを思わせるが,ヒカゲノカズラ科の特徴はない。本質的に空中湿度が高い環境を好むらしく,熱帯植物を栽培している温室などでは野生のものより大きく生長する。写真下のような個体が一般的なマツバランである。
matsubaran.jpgmatsubaran2.jpg
マツバラン(マツバラン科)Psilotum nudum 
 伊豆諸島(大島,利島,新島,三宅島,御蔵島,八丈島,青ヶ島)・本州(主に関東地方以西,まれに宮城県)・四国(香川県を除く)・九州(本土,天草諸島,種子島,屋久島,奄美諸島)・沖縄(沖縄本島,八重山諸島,南北大東島,魚釣島)・小笠原諸島(父島,母島,火山列島)に分布,世界中の熱帯~亜熱帯に広く分布する多年生の常緑草本。
 南部ほど空中湿度がやや高い山地林下の樹上に着生し,崖の斜面や地上にも生え,分布の北限付近では岩の裂け目に生じることもある。
 枝の断面は3角形で,植物体には葉も根もない。茎や枝に見られる小さい葉のような突起には維管束はない。胞子体が基物に付着する部分は根ではなく,単細胞の仮根である。地上茎の高さは10-40㎝で枝は二叉分岐で生じ,分岐する面が1回毎に90°ずつ交互に変化しながら1~数回繰り返す。枝には葉のような突起と単体胞子嚢群が疎らに生じる。 (写真上1995.7.6 写真下1984.8.9)
【参考文献等】
安田啓祐 著,生活環から観た日本のシダ 2018.12.25 学校図書株式会社

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