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イワオウギ

北岳・亜高山帯の植物7ー最終
 本種は亜高山帯だけでなく、高山帯にも分布する。ここに掲載した理由が二つ、一つは、北岳の同じようなところに生育するタイツリオウギと区別すること。もう一つは、数年前まで北岳の亜高山帯にあった群生地の消滅についてである。消滅はシカの食害によるものだ。北岳をはじめとする南アルプスでシカの食害が甚大な影響を及ぼしていることを感じる花巡りでもあった。この山をよく知る方が「数十年間と比べ花が十分の一になってしまった」と嘆いておられた。
 2年前に次のような一文を読んだ。「よく知られている通り、ここ数十年の間に日本のシカは激増している。農作物や、樹皮同様、高山植物も甚大な被害を受けている。シカの増加、高山への進出スピードは非常に速く、対応に乗り出したころには、もはや手遅れという地域も少なくない。南アルプスは、そうした地域の代表的な一つといえる。」(岳人2016年8月号 P.63抜粋)
 山深く広大な山域を有する南アルプスには昔から憧れがあった。退職して自由に行ける身分になったものの、今少し早くから登ればよかった、という後悔の念に駆られている。まだ紹介したい写真もあるが、7月半ばの花で最早旬とはいえない。下記でタイツリオウギと比較して北岳シリーズを終了したい。
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イワオウギ(マメ科)Hedysarum vicioides subsp. japonicum var. japonicum 岩黄耆 別名 タテヤマオウギ
 北海道、本州中部以北に分布、高山の礫地草原や高緯度地方では山地の草原にはえる多年草。高さは20-80㎝、葉は奇数羽状複葉、小葉(先端は鋭頭)は全縁で小托葉を欠く。小葉は11-25個、長さ1-3㎝、幅4-10㎜、裏面に伏した白軟毛がある。花序は浅黄色の花を多数つけ長さ3-8㎝、花柄は5-15㎝。
 一方のタイツリオウギAstragalus shinanensis は小葉が鈍頭で、両面に白軟毛がある。花は先端部に固まってつく。両種の大きな違いは果期にある。イワオウギの豆果は一つ一つくびれた節果、タイツリオウギの豆果は丸く膨らみ1室(釣り上げられた鯛に似る)。今回は両種とも果期にはほど遠く、タイツリオウギの良い写真の撮れなかった。(写真上2015.7.29 写真下2018.7.18)

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