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タカネアオチドリ [ランの仲間]

北岳・亜高山帯の植物
 北岳山頂部「高山の岩礫地を彩る」を含めて計15回にわたって掲載してきた。標高2200~2700mの亜高山帯でも貴重な植物に出会った。あと数回、北岳の植物にお付き合いいただきたい。
 7月上旬の大雨で大樺沢コースに架かる橋が流され、広河原からのコースは白根御池小屋を経由するしかない。急登がひたすら続く辛いコースでできれば避けたいが、タカネマンテマ自生地へは必須のコースである。この植物はこの急登途中で見つけたもので、観察できたのは1個体のみ。途中で時間を費やすと山頂部での撮影時間が不足するため、翌日下山するときに撮影した。
 はじめて見るランで少し様子が異なる。アオチドリに似ているが、花や花茎に見られる紫褐色がほとんど見られない。帰宅後、図鑑や文献等で南アルプスにはタカネアオチドリがあることを知った。
takaneaochidori.jpgtakaneaochidori2.jpg
タカネアオチドリ(ラン科)Coeloglossum viride var. akaishimontanum(学名ステイタス:シノニム) 高嶺青千鳥
 南アルプスの高山帯に分布、高さが10㎝以下と低く、唇弁の長さも5㎜(アオチドリの唇弁は長さ8-10㎜)と短い。里見信生氏によれば、標高2600mの草地に分布するという。この個体が自生していた標高もほぼ同じである。このブログで用いる通常の学名は、「植物和名ー学名インデックス YList」(略称:YList)に準じ、学名ステイタスも標準を用いている。このYListではタカネアオチドリはDactylorhiza viridis(学名ステイタス:標準)と表記され、和名もアオチドリと(別名:ネムロチドリ、タカネアオチドリ、チシマアオチドリ)なっている。APG体系の分類が進められているため、見直しがあったのかもしれない。分類学に関する知識が乏しいので何とも言いがたい。ここでは、例外として図鑑における学名を用いた。
 一般的なアオチドリは唇弁全体が紅紫色を帯びて長く、先端が3深裂し、側裂片が中裂片よりも大きい、という。写真のタカネアオチドリの唇弁は紅紫色が薄く、唇弁の側裂片は中裂片の大きさとあまり変わらない。 (2018.7.19)
【参考文献等】
里見信生 (1969.4),「タカネアオチドリについて」 植物研究雑誌 第44巻 第4号
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info
佐竹義輔他編(1982.1)日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類 平凡社

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