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フクジュソウ

シオジ谷の花園
 シオジ谷という名はなく、私が勝手につけたものである。古老に教えていただいた約30年前は,ごく一部の者だけが知る自生地であった。地元に居ながら約10年ぶり、今回が通算で3度目となる。一時はササが群落内に侵入して心配な状況にあったが,10年前の2度目にはササは全くなくなった。一方で多くの人が訪れるようになり、踏みつけによる影響が出てきた。環境保護に関わる方から「最近はツアーが入って困るんだ」という嘆きを伺っていた。また、途中の植林地で大規模な崩落があることも承知していた。そのような理由から三度目の訪問となった。曇天気味でツアーもないことを確認し、少しでも人の少ない日を選んだ。

 大規模な崩落は治まっていたが、シカの食害防止柵が幾重にも張り巡らされて柵内の出入りは面倒だ。沢のガレ場を急登する所では秩父特有のシオジ林となるが、このようなところにも明瞭な踏み跡がある。それだけ人が入っている証拠だ。この日すれ違った人は20人近くになる。天気の良い週末には多くの人々が入山するに違いない。◯◯の花園と検索すると何件もの該当記事がヒットする。中にはGPS軌跡や群落内での記念写真などがあり、最早秘密の場所とはいえない。この写真からは分からないが,10年前には見られなかった踏み跡が網目状に広がっていた。
 この群生地は貴重であることは否定しないが、「人為的なもの」と勝手に思っている。標高1000mを越えた山奥に突然として出現するのが不思議でならない。別の自生地が途中にあってもおかしくはない。麓は限界集落化して久しいが、戦後間もない頃には3つの小中学校(30年前にすべて廃校)や幾つもの集落があった。シオジ谷の下部にはワサビ田の名残もあるように,当時は山での仕事が生業として成り立っていた。タンパク源としてイワナを魚止めの滝上部に放流していたとも聞く。人為的であることの根拠は全くないが、群生する個体間の変異はほとんど見られず,それぞれがクローン状態のような感じがする。
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