SSブログ

ウラジロガシ

照葉樹林の構成種2
 本種は埼玉県では貴重な群落を形成することがある。特に県西南部の山地には大径木の本種を優占種とする群落(写真C)があり,天然記念物に指定されている。植生はチャート質の急傾斜地に成立し,ウラジロガシの他,ツクバネガシ,ヤブツバキ,ヒサカキ,アオキなどで構成されている。幹回り3m前後の大径木(写真C・D)の樹冠は欠損しているが,落雷または暴風によるものと想像した。急斜面には古い倒木も見られた。内陸でありながら房総半島や伊豆半島の暖帯照葉樹林を思わせる。この群落からわずか数㎞離れた標高約800mに冷温帯のブナが分布することも興味深い。このような植生が見られる場所は,県西南部の山地で東から南東方向に開けた渓谷に限られる。
 尾状に伸びる葉先や斜上気味の鋸歯と波立つような葉縁(写真B),薄い革質の葉質などで
シラカシと区別できる。本種(写真A)の果実は翌年の秋に熟す。
 ※ 写真は上から順にA~D
urajirogashi.jpgurajirogashi2.jpgurajirogashi3.jpgurajirogashi4.jpg
ウラジロガシ(ブナ科)Quercus salicina 裏白樫
 本州(宮城県・新潟県以西)・四国・九州・沖縄に分布,山地に生える常緑高木。高さ20m,直径80㎝ほどになる。
 葉は互生,葉身は長さ9-15㎝,幅2.5-4㎝,長楕円状披針形で薄い革質。先端は鋭く尖り,基部は広い楔形,葉身の2/3以上にはやや鋭い鋸歯がある。表面にははじめ軟らかい伏毛が散生するが,のち無毛となり,光沢がある。主脈は裏面に突出する。裏面にははじめ黄褐色の絹毛芽密生するが,のち蝋質を分泌して粉白色になる。葉柄は1-2㎝,托葉は長さ1㎝ほどの線形で,開葉後まもなく落ちる。
 花期は5月。花は雌雄同株。長さ5-7㎝の雄花序は新枝の下部から数個垂れ下がる。雌花序は新枝の上部の葉腋に直立する。
 果実は堅果。長さ1.2-2㎝の広卵形で,翌年の秋に熟す。殻斗にできる同心円状の環は7個。
(A:2022.11.4 BCD:2022.11.17)


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。