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トネハナヤスリ [シダの仲間]

丸形の鑢
 本種も環境省のRDBカテゴリが絶滅危惧ⅠA類(CR)から絶滅危惧Ⅱ類(UV)に格下げとなった。一部の自生地で多くの個体増が確認にされたことに因ると思われる。
 種小名は,本種の発見者であると同時に長年にわたって分類の困難なハナヤスリ属を生態的な面から解明しようとしてきた行方冨太郎氏への献名である(西田誠・栗田子郎,1969)。
 栄養葉と胞子葉のからなる様子は,普通に見かける一般的なシダに比べるとやや異質な感じを受ける。胞子嚢に触れると白っぽい胞子が飛散した。生長したヨシに被われて目立たなくなり,6月になれば地上部は枯れてなくなる。和名は胞子囊をつけた胞子葉穂を鑢(やすり)に例えたと思われる。
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トネハナヤスリ(ハナヤスリ科)Ophioglossum namegatae 利根花鑢
 利根川水系及び淀川水系のヨシ原の生える氾濫原に群生し,4月~6月ぐらいまで葉を出している多年生小型草本。根茎は匍匐し,8-25㎝の高さの葉を疎らに出す。担葉体は長さ4-10㎝,栄養葉は広披針形~羽状3角形。鋭頭~円頭,長さ2.5-11㎝,幅1-4㎝,基部は楔形で長さ1-2.8㎝の葉柄に流れ込む。葉脈は細かい網目をつくり,二次脈もはっきりしている。胞子葉は長さ6-15㎝,穂の長さは1.5-3.5㎝。胞子外膜の網目模様は細かい。染色体数はn=240で4倍体。河川敷の開発によって生育地を失いつつある危急種である。
(2022.5.2)
【引用文献】西田誠・栗田子郎,1969. ハナヤスリ属の一新種トネハナヤスリ.植物研究雑誌 44(8):247-254


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