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イワハタザオ

変異の多い仲間
 本変種の基本種は富士山に生えるフジハタザオ A. serrata var. serrata といわれている。形態的,生態的に変異の多い種といわれ,いくつかの変種や品種が認められている。分類上では顕著な特徴はなく,微妙な違いが多く識別が難しいともいわれている。過去に静岡県でシコクハタザオ A. serrata var. shikokiana を見たことがあるが,同定するまでに数年を要した。決定づける文献も少なく,分布域で判断していることが多いようだ。
 秋田駒ケ岳や岩手山には花柱の短いイワテハタザオ A. serrata var. japonica f. fauriei があることは承知していた。そのため,今回の秋田駒ケ岳では本変種についても注視して登った。スタートの8合目からほどなくして出現し,戻るまでに数箇所で撮影した。写真上は火口原,写真中は大焼砂,写真下は稜線,それぞれで写した。ネット上では,この山塊のヤマハタザオ属 Arabis の多くはイワテハタザオとして紹介されている。本州中部の高山型としてウメハタザオ f. grandiflora,北海道から本州北部にはエゾノイワハタザオ var. glauca があり,まさに識別が難しい。一度は3枚の写真をすべてイワテハタザオとしたが,特徴的な短い花柱は確認できなかった。最終的には一番無難なイワハタザオとした。率直な疑問として,果期になるにつれて花柱はしだいに伸長していくように思うのだが.....。疑問は解けそうにない。iwahatazao.jpgiwahatazao2.jpgiwahatazao3.jpg
イワハタザオ(アブラナ科)Arabis serrata var. japonica 岩旗竿
 本州(中北部)に分布,深山に生える多年草。細い地下茎があり,茎は高く15-45㎝になる。茎には星状毛,根生葉には長柄がある。茎葉は茎を抱き,長楕円形で長さ2-5㎝,両面に星状毛があるが,無毛のこともある。葉縁の鋸歯は浅い。花期は5-6月。茎頂に花を総状につける。長角果は長さ3-6㎝の線形で湾曲する。 (2020.6.23)

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