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ミヤマスカシユリ

武甲山を代表する植物
 石灰岩採掘が急ピッチで進む武甲山の本体は、南方にあった火山島といわれている。火山活動を終えた海山にできたサンゴ礁が石灰岩のもとと考えられている。秩父地域の地質は古く、古代秩父湾、秩父島という時代があったと教えられてきた。山深い秩父地方は太古の時代は海岸に面していた。そこには海岸性のスカシユリが自生していたと勝手に想像してきた。長い時間をかけて内陸性の環境に適応してきたと考えるのは無理だろうか?
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ミヤマスカシユリ(ユリ科)Lilium maculatum var. bukosanense 深山透百合
 1941年武甲山で発見され、スカシユリの新種として命名、学名にもbukosanense として示されている。他に茨城県、岩手県にも分布しているが、自生地は極めて限られる。太平洋岸側の海岸に生育する個体群・スカシユリ(野生種全般をイワトユリと呼ぶ場合がある)から分化した変種と考えられている。花被片が強く反り返ることが、この個体群の特徴といわれている。茎は下垂し、葉は広線形、7月上向き(写真参照)に花をつける。2016年武甲山で、38年ぶりに新たな自生地が見つかり話題になった。新しい自生地も鉱区内で一般者は立ち入ることはできない。

 撮影地は武甲山でも他県でもなく、秩父盆地内にある。数年前、自宅からそう遠くないこの場所を訪れた時に気づいた。見つけたときは我が目を疑った。絶滅危惧ⅠB類指定の希少種が里山の岩場に7株も生育しているである。根元を見るとすべての個体にナンバーがついていた。公的機関が保護の目的で試験的に移植したようだ。数年経過するがほとんどの個体が根付いている。その時は驚き、疑念もいだいていたが、今ではこうした保護手段もあるのかなと考えている。ここでは採掘、盗掘、食害の心配は少ない。移植地は石灰岩ではなく礫混じりの砂岩である。石灰岩地に生育すると考えられてきたが、より多様な環境にも適応できるのだろう。今年は花期が早く、最後の一輪を撮影した。 (2018.7.13)

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