シロバナサンヨウブシ

白花の鳥兜
　以前から気になっていた白花のトリカブトをじっくり観察することができた。無毛の花柄，葉も茎も無毛，トチノキやカツラなどが混じる典型的な水流沿いの温帯林に生えること，などからサンヨウブシA. sanyoense の白花品種とした。ここでは青紫色の花を見つけることが難しいほど，随所で白花が見られた。
 ※ 写真は上から順にＡ～Ｆ

シロバナサンヨウブシ（キンポウゲ科）Aconitum sanyoense f. leucanthum　白花山陽附子　別名 シロバナトリカブト
　本州・四国に分布，温帯林の林縁や林内に生える大型の擬似1年草。温帯域の水流沿いに生えることが多い。
　茎の高さ60-200㎝，斜上して先端は垂れ，中部でよく分枝する。根出葉はときに花期に枯れる。
　茎葉の葉身は膜質～草質で腎円形，5-7浅裂～中裂するか，ときに5角形で3深裂する。中裂片は倒卵形，先端は鈍く，広卵形の鋸歯がある。
　花期は7-10月。花は長さ5-22㎝の総状～円錐状花序に2-15個が着くか単生し，鈍い光沢があり，長さ3.5-4.5㎝。
　花柄は長さ2-8㎝，無毛。小苞は線形～披針形で長さ3-5㎜，花柄の中部に着く。
　上顎片は僧帽形，長さ20-60㎜，幅16-24㎜，嘴は長い。
　花弁は無毛，舷部は長さ12-19㎜，距に向かってしだいに細くなり，距は太くかつ長く，180度以上に内曲し，唇部は長さ2-6㎜，先端は2浅裂し，反り返る。
　雄蕊はふつう無毛ときに有毛。雌蕊は3個，無毛あるいは斜上毛がある。(2023.8.31)