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スズサイコ

梅雨明けの朝に
 開花条件の表記が図鑑によって異なるようである。実感では,日没前後から開花し,翌日の午前8~9時には閉じると思われる。曇天や雨天時には日中でも開花すると報告されている。写真A,Bは午前6時30分前後に撮影,すでに陽は照り,朝露にしっとり濡れた花は平開状態。午前7時過ぎに自生地を後にしたが,依然として平開したままで,まだ閉じる気配はなかった。花期は終盤,すでに袋果をつけはじめた個体(写真D)もあった。写真Cでは単子葉植物を思わせるが,葉(写真E)を観察するとキョウチクトウ科という雰囲気も多少ある。
 「半自然草原」という言葉がある。湿潤な気候帯にある日本では,草原は遷移の進行とともにほとんどが森林に移行する。ところが人間活動(火入れ,草刈り,放牧など)によって遷移が妨げられ,草原が維持される。高度経済成長以降,こうした半自然草原は激減し,この環境に適応した動植物は絶滅の危機に瀕している。本種は半自然草原を代表する植物の一つといわれている。

 今年の梅雨の中休みもなく雨天続き,除草もままならなかった。空き屋状態になった実家は草ボウボウ。この日(8月1日)は早起きして,除草前にこの自生地に立ち寄った。山からは梅雨明けの秩父盆地(写真F)を臨むこともできた。まさに早起きは三文の徳。 ※写真は上からA~F
suzusaiko.jpgsuzusaiko2.jpgsuzusaiko3.jpgsuzusaiko4.jpgsuzusaiko5.jpg20200801chichibu.jpg
スズサイコ(キョウチクトウ科)Vincetoxicum pycnostelma 鈴紫胡
 北海道~九州に分布,日当たりの良いやや乾いた草地に生える多年草。茎は細く,直立して高さ40-100㎝,地下には多数のやや太いひげ根がある。葉は長披針形~線状長楕円形,ほとんど無柄でやや厚く,無毛または表面の縁にわずかに短毛があり,長さ6-13㎝,幅4-15㎜。花期は7-8月。花序は茎の先や上部の葉腋から出て,2-3㎝の総花柄があり,集散状に疎らに花をつけ,小花柄は細く,長さ1-1.5㎜。萼裂片は3角状披針形。花冠は黄褐色で裂片は開出し,無毛で長さ5-8㎜。副花冠は直立し,卵形,鈍頭で蕊柱より短い。袋果は細長い披針形で長さ5-8㎝。種子は卵形でやや翼があり,長さ4-5㎜,先には長い白毛がある。
 和名は,全体がミシマサイコ(セリ科)に似て,花の蕾が丸く鈴を思わせることに因る。 (写真C:2019.6.19 他の写真:2020.8.1)

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