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ヤワタソウ

鹿除けネット守られて
 奥多摩,秩父山地,多野山地などの標高500~1000mでは,この地味な花をめっきり見られなくなった。最も個体数が多いと思われる多野山地を案内していただいたが,花を着けた個体には出会えなかった。原因はシカの食害。期待していた多野山地では,数年前までは林道脇で群生が見られたという。特徴的な根生葉は確認できたものの,花茎を伸した個体は全く見られなかった。
 この撮影地は数年前に食害で壊滅状態になった場所である。その後,鹿除けネットを設置したことでここまで回復してきた。保護区周辺の下草はほとんど食べ尽くされた状態だ。多くのシカが,このヤワタソウをネット越しに恨めしく見ていることだろう。角などでネットをこじ開けようとした場所があった。シカも生きるのに必死である。撮影しながら虚しい気持ちになるが,この花を愛でるには今のところこの方法しかない。
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ヤワタソウ(ユキノシタ科)Peltoboykinia tellimoides 八幡草
 本州中部以北に分布,谷沿いの陰湿な斜面に生える多年草。根出葉は1-2個,光沢があり,円形または卵円形で,基部は深い心形,径20-30㎝,7-13浅裂し,縁には低い鋸歯がある。葉柄は長さ15-30㎝,腺毛を散生する。茎葉は数個で根生葉とほぼ同形だが,柄ははるかに短い。花期は5-7月,花茎は高さ30-60㎝。花弁は淡黄色,倒卵形または楕円形で,上縁には少数の鋭鋸歯があり,基部はくさび形,先端は鋭形,短い腺毛を密生し,長さ8-11㎜,花時に斜開し,花後に脱落する。花は最初下向きに咲くが,その後水平から上向きになる。裂開直前の葯は淡黄色だが,裂開後は黒色に変わる。(2019.6.26)

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