SSブログ

ムヨウラン [ランの仲間]

再び菌従属栄養植物-ムヨウラン属の正体はいかに?
 6月2日,「3箇所でムヨウラン属を確認した」(写真A,D)の情報があり,次の2件が直感的に浮かんだ。1つは,数日前に確認した棒状の個体(写真C),2つめは正体不明の「クロムヨウラン?」(2017.12.6掲載)である。クロムヨウランについては,花期を迎えた翌年8月に再三訪れたが,出現しないので正体不明のままである。
 6月2日以降,確認した
ムヨウラン属の自生地は増えて6箇所(15個体)となった。いずれも徒歩30分の範囲で野生キノコの産地でもある。ムヨウランはベニタケやチチタケの菌類の仲間に寄生する菌従属栄養植物で,光合成を止めた植物と考えられている。花茎に残る数個の鞘状の苞葉(写真C,D)は,この植物の進化過程の証であろうか。

 同定のために各個体の花茎の高さ,花数,花被片の長さ,花柄子房の長さを測定した。その結果からムヨウランと思われたが,花がほとんど開かない個体から同定に迷った。ムヨウランの花は半開するが,写真E,Fを除いてほとんどが開かないので他のムヨウランの可能性もある。別の自生地で撮影したムヨウラン(写真G)を参考に掲載した。
 写真Bは写真Aの5日後の状態で,花柄子房部を残して副萼部から先が欠落している。夏以降,この子房部分が膨らみ,「クロムヨウラン?」(2017.12.6掲載)のように変化するのかを注視したい。
 ムヨウランの分布は,埼玉県平野部のごく一部のみで確認された(1998年版埼玉県植物誌)だけで,秩父地方での自生は記録されていない。今年は各地でムヨウランが豊作というが,菌従属栄養植物がどのような環境を好むのか,分布の拡大などとあわせて興味深く,継続して観察したい。
※写真は上から下へA~G
muyouran1_1.jpgmuyouran1_3.jpgmuyouran5_1.jpgmuyouran3_2.jpgmuyouran1_2.jpgmuyouran2-4.jpgmuyouran_t.jpg
ムヨウラン(ラン科)Lecanorchis japonica 無葉蘭
 本州(岩手県以南)・四国・九州・沖縄に分布,暖温帯~亜熱帯の常緑広葉樹林,落葉広葉樹林,アカマツ林などの林床に生える。地上茎は高さ30-40㎝,毛はなく,数個の掌状の苞葉を疎らにつける。花期は5-6月,花は数個つき,長さ15-25㎝,子房は長さ約4㎝。花色は黄褐色が普通だが変異が大きい。背萼片,側萼片は倒披針形,長さ17-25㎝,側萼片は背萼片よりやや長い。側花弁は倒卵状披針形,萼片とほぼ同長,唇弁は倒卵形~倒披針形で先端は3裂し,長さ15-20㎜,中裂片の内面には黄色の長毛が密生する。
(写真A,C,D,E:2019.6.3 写真B:2019.6.8 写真F:2019.6.18 写真G:2019.6.19)

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。