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カザグルマ

まだ残っていた貴重種
 環境省カテゴリでは準絶滅危惧(NT),埼玉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定のカザグルマを発見した。車道沿い約50mにわたり点在し,開花総数は約50,白花を中心に淡紫色など,株数も10を越えるとみられる。それだけに野生の自生地とは信じられず,数年間慎重に調べてきた。よくぞこれだけのものが残っていたと感心している。

 約25年前,秩父で開かれたある植物写真家の講演で「本に掲載したカザグルマは秩父地方で撮影したが,翌年訪れると跡形もなくなくなっていた」という何とも切ない話を拝聴した。美しい花のカザグルマは盗掘の対象になりやすく,秩父地方の自生地は消えたと思っていた。人の手が加えられたカザグルマの自生地が数箇所あるので,栽培していたものが逸出したものと思っていた。
 今年は3日連続で訪れ,蕾から開花までを撮影した。写真AとBからは,大きな花被片は萼片であることが分かる。また,大きな花被片は折りたたまれて蕾に収まり,開花から2-3日で平開(写真D)するようだ。道路脇にあることから撮影では人の関心を惹くので,人目に気づかれないような所で観察した。今年は花の数も多く一際美しい。この貴重な自生地を大切に見守りたい。
※写真は上からA,B,C,D
kazaguruma.jpgkazaguruma2.jpgkazaguruma3.jpgkazaguruma4.jpg
カザグルマ(キンポウゲ科)Clematis patens 風車
 本州・四国・九州北部に分布,主として林縁に生える落葉性のつる草。茎は褐色で木化する。葉は対生し,羽状複葉,小葉は3-5枚,卵形で先は尖り,時に3裂するが鋸歯はない。今年伸びた枝に1-3対の葉をつけ,1個の花を頂生する。花期は5-6月,花は上向きに完全に開き,径7-12㎝。萼片はふつうは8枚,白色~淡紫色,狭倒卵形,上部は広がり,先端は急に尖る。花糸は扁平で無毛。花柱は3-4㎝で強く曲がり,黄褐色の長毛がある。湿り気の多いところを好み,湿地にも生える生える一方,蛇紋岩地帯にも見かける。花は美しいために,園芸品種を作出する場合のもっとも重要な母種となっている。(写真A,C 2019.5.16 写真B 2019.5.15 写真D 2019.5.14)

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