アカイシリンドウ

リンドウ科稀産種の花巡り３
　今回の花巡りでは、前述の稀産2種が見つかれば十分と考えていた。低く構えてサンプクリンドウを観察していると様子の異なるリンドウに気づいた。期待していなかったアカイシリンドウではないか！開ききっていないが、見られただけで満足。

アカイシリンドウ（リンドウ科）Gentianopsis yabei var. akaisiensis 赤石竜胆
　南アルプス、栃木県に分布、高山帯でまれに生える1年草、越年草。シロウマリンドウの変種と別種とする2つの考え方がある。現在では、変種扱いとすることが多いようだ。茎の高さは4-30㎝。花冠の長さは7-25㎜、先端は4裂、裂片は淡青紫色。裂片の先が丸みを帯びて、その縁は細裂する。この日、ほとんどの花は半開き状態で、花冠喉部にあたる部分が櫛状に裂けているのが確認できる。花期が過ぎたのか、あるいは必要とする光条件を満たしていないのか、きれいに咲いているものはなかった。それでも、この地に分布する三つの稀産種をすべて見ることができたのは奇跡的である。
　ヒメセンブリやサンプクリンドウに比べ、個体数はかなり少ない。茎の高さも10㎝未満のものが多い。本種も環境省カテゴリでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されている。(2017.9.10)