SSブログ

スギナ [シダの仲間]

おびただしいほどの純群落
 「ツクシ誰の子 スギナの子・・・」 懐かしい詩の一節だ。個人的には小川の土手沿いに広がる草地を連想する。写真上はこのイメージとは全く異なる光景だ。ここは広々した湿り気のある耕作放棄地と思われる。肥沃な平地にもかかわらず,耕作されている面積の方が狭い。農地の形態を維持するために除草剤を散布しているのだろう。
 地獄草という別名をもつスギナは難防除雑草の代表で,除草剤で除去するのが困難である。なじみ深く優しいイメージに反して強かな植物ともいえる。トクサ類は古生代石炭紀に発達したシダ植物の生き残りと考えられており,様々な地球の環境変化に耐えられる性質を持ち合わせているのかもしれない。

sugina.jpgsugina2.jpg
スギナ(トクサ科)Equisetum arvense 杉菜
 北海道~九州(奄美大島以北)に分布,山野,畑地,路傍,鉄道線路沿い,市街地の空き地や陽の当たる荒地などに群生,極めて普通に見られる草本で胞子体は夏緑性。根茎は地中約20㎝の深さを這い回り,分枝を繰り返して長く伸びる。胞子体全体に関節があり,関節の周囲には退化・癒着した小葉が数枚ずつ輪生する。植物体にはケイ酸塩が含まれ表面はざらつく。地上へは栄養茎(スギナ)と胞子茎(ツクシ)だけが直立して出るが,胞子茎は早春の短い間だけに限られる。写真下では青っぽい胞子が胞子茎に残っている。
 胞子体にケイ酸塩が含まれるのはトクサ科の特徴的な形質であり,含有量の差が種による硬さの違いになっている。トクサ(砥草)が硬いことは古くから知られ,こけしなどを磨くのに使われていた,という。(写真上2019.4.12 下2019.4.9)
【参考文献】
安田啓祐 著,生活環から観た日本のシダ 2018.12.25 学校図書株式会社

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。