SSブログ

キイイトラッキョウ [ネギの仲間]

二年越しの願い叶う
 昨年の10月中旬、別の花を目的に東海地方を訪れた際に本種に出会った。まだ開花前で花の観察はできなかったが、地元の方から貴重な情報提供していただき実現した。
kiiitorakkyou.jpgkiiitorakkyou2.jpgkiiitorakkyou3.jpgkiiitorakkyou4.jpg
キイイトラッキョウ(ヒガンバナ科)Allium kiiense 紀伊糸辣韮
 本州(和歌山県、岐阜県、愛知県、山口県)に分布、渓流沿いの明るい岩上や岩の隙間に生える多年草。ラッキョウに似た鱗茎から細い糸状の葉を伸ばす。葉はネギのように中空、葉を揉むとネギ臭を発するが、この仲間の臭いとしてはあまり強くない(個人的な感想)。ネギ属Allium では、根茎がないこと、花茎に葉がないこと、この2点で分類しているようだ。クロンキストやエングラーではユリ科として分類されている。また、長崎県に分布するイトラッキョウの変種 A. virgunculae var. kiiense として扱う考え方もあるが、学名インデックスYListにしたがって表記の学名とした。雄蕊が花被よりはるかに長いことがイトラッキョウとの大きな違いといわれている。
 はじめ和歌山県で発見され、のちに岐阜県や山口県でも採集された。この地方でも産地は少なく、環境省のカテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。台風22号通過直後のため川は増水し、濁流が轟音をあげていた。最高水位時には、キイイトラッキョウは冠水していたと思われる。一部の土壌は流失して根が露出していた。付近に自生するアオヤギバナやホソバコンギクも確認できたが、濁流に痛めつけられていた。キイイトラッキョウのたくましさ、しなやかさには驚くばかりである。

 情報提供をいただきましたO氏には心より御礼申し上げます。 (2017.10.31)

【参考文献等】
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info
佐竹義輔他 編(1982), 「日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類」 平凡社

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。