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エゾノツガザクラ [ツツジの仲間]

分布南限地を訪ねる
 この自生地における本種の花期は例年6月20日ごろ,残念ながら6月下旬は悪天候続きで予定を延ばしてきた。先ずは安全第一。7月に入ったので残り花状態であることは覚悟していた。
 北半球の寒帯に広く分布しているが,この自生地は分布の南限と思われる。アオノツガザクラと混在していることが多く,いくつかのパターンで自然雑種が報告されている。登山ルートの3箇所で自生を確認した。いずれも付近にはアオノツガザクラが見られた。
 純系のエゾノツガザクラの花冠は,表面に腺毛,細長い形,紅紫色,といわれている。
分布南限地では花冠のほとんどが,疎らな腺毛,球状壺形,淡紅紫色,であった。萼片も含めて両種の特徴が混在するハイブリッドと思われる。日本で純系のエゾノツガザクラの自生は北海道の限られた山域だけのようだ。
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エゾノツガザクラ(ツツジ科)Phyllodoce caerulea 蝦夷の栂桜 別名 エゾツガザクラ
 北海道・本州(東北地方)の高山に分布,高山帯のやや湿り気のある岩場や草地に生える常緑小低木。茎は地をはい,上部は斜上し,多数の葉を密に着け,高さ10-25㎝。葉は線形で縁に微小な鋸歯があり,長さ7-12㎜,幅約1.5㎜。中脈の裏面に白毛の生える条があり,その幅は葉身の約1/4。
 花期は6-8月。枝先に4-7個の下向きの花を着ける。花柄は細く長さ2-2.5㎝,微毛と腺毛が生える。萼片は狭披針形で紫色を帯び,長さ4-5㎜で,背面の基部に腺毛を密に着ける。
 花冠は卵状壺形で先は5浅裂して反り返り,紅紫色,外面に腺毛が疎らに生え,長さ8-10㎜。葯は黒紫色。花糸の基部に長毛がある。
 花は下向きに咲くが,果期には上向きになり,蒴果は球形で径約4㎜。

 アオノツガザクラと混在していることが多く,しばしば両者の中間型がある。花冠がやや小型で,外面が無毛のものをコエゾツガザクラ var. yezonensis というが,これも両者の雑種性のものかと考えられる。
(2022.7.2)

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