カンボク

5裂片の装飾花
　本種を含め，ヤブデマリやオオカメノキは5裂片の装飾花をつけることで知られている。これまで観察して気づいたことをまとめた。

	種　名		装飾花の大きさ		葉
	カンボク		5枚が同形		広卵形で3裂
	ヤブデマリ		1枚が小さい		楕円形～広楕円形，基部は楔形～円形
	オオカメノキ		5枚が同形		円状～広卵形，基部は心形，葉脈は凹む

カンボク（ガマズミ科）Viburnum opulus var. sargentii 肝木　別名 ケナシカンボク
　北海道・本州（中部地方以北）に分布，山地の林内や林縁でやや湿り気のある所に生える落葉小高木。よく分枝して高さ6mほどになる。樹皮は古くなると縦に割れ目が入り，暗灰褐色。若い枝は緑色，のちに赤褐色を帯びる。
　葉は対生し，長さ幅ともに4-12㎝の広卵形で，中部まで3裂する。裂片は通常尖り，ときに尾状に長く伸びる。葉縁上部には粗い鋸歯がある。基部は切形または円形～広い楔形で，表面は無毛，裏面は全面に毛がある。葉柄は長さ2-3㎝で無毛。上部に密腺が対生する。
　花期は5-7月。枝先に径6-12㎝の散房花序を出す。花序は無毛，中心部に小さな両性花が多数着き，その周辺に径2-3㎝の装飾花が着く。装飾花は通常深く5裂して平開する。
　果実は核果，6-9㎜の球形で，9-10月に赤く熟すが苦味が強い。クロンキスト及びエングラー分類体系ではスイカズラ科に分類される。(2022.6.16）