須川長之助に献名した植物
 須川長之助(1842ー1925)という名を知ったのは30年前のことである。東北の名峰・早池峰山を下山後、麓の大迫町立山岳博物館(大迫町は花巻市と合併、博物館は廃館)に立ち寄った。地元(紫波町)の偉人として展示コーナーが設けられていた。そこでは、ロシア人植物学者・マキシモヴィッチ博士(1827~1891)と植物採集助手・須川長之助との関係が詳細に解説されていた。マキシモヴィッチ博士については、学名の最後につける命名者Maxim. で学生の頃から知っていたが、博士の偉大な業績に須川長之助の献身的な標本採集があったことをこの展示で知った。

 和名の命名者は牧野富太郎博士、新種ではないが日本ではじめて採集した長之助にちなんだといわれる。特徴的な葉は花をつけなくても一目でチョウノスケソウと分かる。この花々は少し見ごろを過ぎているが、各種の開花に合わせて高山帯に登るのは厳しいものがある。