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オニヤブソテツ [シダの仲間]

多様な形態をもつシダ
 海無し県に居住しているが,海岸付近に広く分布するこのシダを何度も見る機会があった。葉が痛んでいたり,裸葉であったりなどで被写体として物足りず,撮影をパスすることが多かった。ツワブキ(2020-12-11写真上)の背景にある典型的なオニヤブソテツを撮りたいが,対面の崖に生えているため近寄れない。諦めて車に戻る時,こぢんまりした個体を見つけた。海岸近くの岩の隙間に生えるオニヤブソテツは矮小化してヒメオニヤブソテツに類似するが,羽片や胞子嚢の形態からオニヤブソテツと思われる。
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オニヤブソテツ(オシダ科)Cyrtomium falcatum 鬼藪蘇鉄
 北海道(本土の南西部)・伊豆諸島(大島,利島,新島,三宅島,御蔵島,八丈島)・本州(本土,飛島,粟島,佐渡,淡路島,隠岐)・四国・九州(本土,対馬,壱岐,五島列島,天草諸島,甑島列島,黒島,種子島,屋久島,口永良部島,喜界島,奄美諸島)・沖縄(本島,久米島,八重山諸島,魚釣島)・小笠原諸島(父島,北硫黄島)に分布,海岸近くの岩の隙間~地上まで至る所に普通に生育し,暖地ではかなり内陸にも生える。
 根茎は塊状に直立し,多数の葉を叢生する。根茎や葉柄基部の鱗片は褐色~黒褐色,卵形~卵状披針形で光沢があり,大きく波立つ。葉柄は藁色で基部には鱗片が密生する。葉身は単羽状複生の広披針形,頂羽片は明瞭だがやや小さく,基部は羽状深裂することがある。側羽片は7-18対あり,卵状長楕円形で鎌状に曲がり,基部付近で幅は最大で,先方に向かって徐々に狭まり,先端は鋭尖頭または尾状に伸びる。基部は円形で短柄があり,辺縁は全縁でわずかに肥厚する。葉質は深緑色の厚い革質で強い光沢がある。葉脈は数列の網目をつくる。胞子嚢群は円形で裏面中に散在する。包膜は灰白色の円形で,中心部は黒褐色を帯びるものが多いが,黒みを帯びない個体もかなり多く,胞子の成熟後に胞子嚢群中に埋まることが多い。染色体数はn=2n=123の3倍体でアポガミーである。胞子は1胞子嚢中に通常32個ずつ形成される。 (2020.11.20)

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