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ヤナギノギク [キクの仲間]

植物の分布に関連する地質
 秩父地方・長瀞に「地球の窓」と呼ばれる岩畳がある。この近くに博物館があり,小学生の頃からよく通った。岩畳が三波川変成帯の結晶片岩であることも,ここで教えていただいた。それから60年近くも経つことになる。
 三波川帯は,長野県諏訪湖付近から西南日本に延びる中央構造線の外帯に接し,全長約1000㎞に達する広大な変成岩帯で,南側の四万十帯へと続く。三波川帯は四国中央部では最も広い幅で東西に延びている。この三波川帯と四万十帯に挟まるようにして一部は秩父帯や黒瀬川帯となるが,この周辺では蛇紋岩地が確認されている。高知市北部では広大な蛇紋岩地が広がり,一部は鉱山として今でも稼働している。秩父地方の三波川帯にも同様な蛇紋岩地があり,日本最初の流通貨幣・和同開珎となる銅の採掘跡もこの一帯にある。以前から遠くて近い存在と感じていた。ヤナギノギクの母種は静岡県以西に分布するヤマジノギク,同じような地質が秩父地方にあるが残念ながら本種の分布域ではない。
 こうした貧栄養の蛇紋岩地は植物の生育に不適とされるが,この環境に適応できる植物には格好の場所なのだろう。植栽されるトサミズキは高知県蛇紋岩地の固有種である。
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ヤナギノギク(キク科)Aster hispidus var. leptocladus 柳野菊
 静岡県・愛知県・高知県に分布,日当たりの良い蛇紋岩地に生える越年草。暖地に生育する蛇紋岩狭葉変型で,茎や葉は紫色を帯びる。茎は細く,高さ30-80㎝で,枝を多く出し,時に斜めに倒れる。葉は花期にはないことも多く,線形で長さ3-6㎝,幅1.5-3㎜,無毛。花期は10-11月。頭花は径2.5-3㎝。総苞片は2列,線状披針形でほぼ同長。痩果は倒卵形で長さ3㎜,軟毛がある。(2020.11.21)

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