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ミチタネツケバナ

急速な侵入拡大
 約10年前から気になる「雑草」がある。道ばたではふつうに見られ,農地及びその周辺でも珍しくない。手入れの悪い我が家の庭でも猛威を振るう。自殖性が高く,よく結実し,果実に触れると弾けて種子を飛ばす。文献に記載されているものを抜粋させていただいた。
 1970年頃に侵入し,ここ数十年で急速に日本中に分布を拡大したヨーロッパ原産の外来植物である。現在,本州の都市部で道ばたに生えているタネツケバナ属植物は,そのほとんどがミチタネツケバナである。さらに,北海道,四国,九州でも分布拡大中である。この侵入は,ミチタネツケバナが在来のタネツケバナに置き換わるという形で進んだわけではない。むしろこれまで日本産のタネツケバナ属が生育しなかった比較的乾燥した場所である道ばた,植込み,芝地などに,ミチタネツケバナが侵入した結果である。農耕地においても,湿った畦には端手付けバナとミチタネツケバナが混在する場所があるものの,水田中はタネツケバナ,畦にはミチタネツケバナという明瞭な生育環境の差がある。その原因の一つとして,種子の湛水条件への耐性の差がある。
 アブラナ科の花は普通,6本の雄しべをもつ。そのうち4本は長く,2本は短いため四強雄蕊ともよばれている。ミチタネツケバナでは,2本の短い雄しべが欠けて,雄しべが4本である花が多い。(工藤洋. 2017)
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ミチタネツケバナ(アブラナ科)Cardamine hirsuta 道種漬花
 ヨーロッパから東アジアに分布し,北アメリカなどに帰化している越年生草本。葉は羽状複葉,小葉は長楕円形で大きさはほぼ同じ。長角果が直立し,花を取り囲むようになる。茎は無毛であるが,葉柄の付け根に散毛(写真下)がでる。在来のタネツケバナの茎や茎葉の基部は普通有毛。その他,
果時にも根生葉が生存する,花弁の長さ2-3㎜,雄しべ数4本のものが多い,開花が早いなど,の点で識別する。(上・下:2020.3.21 中:2020.3.19)
【参考文献】
工藤洋 2012. 日本産アブラナ科タネツケバナ属雑草の生物学 雑草研究62(4)
清水矩宏他 2011 日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会 

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